ビジネスではよく聞かれる「プロジェクト」。しかしながらその語句の意味は明確に理解できているでしょうか。またプロジェクトはどのように管理し、進めていけばよいのでしょう。
そこでここではこれらを明らかにし、あわせてプロジェクトを進めるうえでのポイントなどについても解説します。
プロジェクトとは?管理が必要な理由
プロジェクトとは目的を達成するための計画や業務を指します。なかでもビジネスにおいては比較的規模が大きく、期限が設けられており、他者の協力なども含む複数人のメンバーで進行するものです。
また次のような観点から、明確に管理することも求められます。
期限を守るため
プロジェクトはまず、決められた期限までに完了させなければなりません。そのために従業員やスタッフはそれぞれの業務に取り組んでいます。しかし、これらはひとつでも遅れると、プロジェクトが完了しなくなってしまいます。
こうした事態を避けるため、プロジェクトは進捗状況を適切に把握し、遅延が生じた場合に備えて修正できるよう、体制を整えておくことが求められます。
効率化するため
期限同様、プロジェクトはいかに効率的に進められるかも重要です。このためプロジェクトを進める際には、事前に業務を洗い出し、削減・短縮できるポイントを入念にチェックしておく必要があります。
また、プロジェクトが開始されれば、各メンバーの業務状況をリアルタイムに把握することも求められます。そのなかで効率的ではない業務を改善し、変更や再配分などをおこなうことで、プロジェクト全体はスリム化されていなければなりません。
リスクを最小限するため
上記のような期限の遅延、業務効率の低下によるコスト増、また納品物の品質の低下なども、プロジェクトでは本来すべて排除しておくべきリスクに該当します。しかしいかに優れた計画であっても、現実的にはこうしたリスクを完全に排除することはできません。そこでプロジェクトを進めるにあたっては、リスクを把握し、最小限にするための管理が必要です。
プロジェクトの進め方
プロジェクトの進め方はさまざまですが、プロジェクト管理の手法にPMBOK(Project Management Body of Knowledge)という考え方があります。このPMBOKは、プロジェクトの開始から終了までを「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・管理」「終結」の5つのプロセスに分類しています。
立ち上げ
PMBOKでは、まずプロジェクトの立ち上げ時に、「開発期間」「予算」「リソース」「リスク」を洗い出します。これらはプロジェクトリーダーがチェックをおこなうだけでなく、第三者からのチェックも必要です。これにより、予算や開発期間などにかんする見落としを未然に防ぐことができます。
計画
次に計画段階ではプロジェクトにおけるリソースの配分をおこないます。そこで、各業務に必要なリソースを把握し、不足している場合には調達することで計画を遂行可能なレベルに引き上げます。
実行
計画を策定したら、これをもとに各メンバーに業務を割り振り、プロジェクトを実行に移します。ただし、大規模プロジェクトほどメンバーそれぞれの状況把握が難しくなるため、情報共有やコミュニケーションを活発にし、稼働状況の可視化が必要です。
監視・管理
プロジェクトでは実行段階に至っても条件や仕様の変更が想定されます。このため実行中は進捗や工数をリアルタイムで管理・監視することによりこれらに迅速に対応します。また変更内容についてはメンバーで共有し、業務の遅延を最小限に食い止めます。
終結
プロジェクトは最終的に成果物をクライアントに引き渡しこれを完了させます。
また完了したプロジェクトの内容は評価・分析し、保守・改修に利用するほか、次回のプロジェクトにも役立てます。
誤解しがちな語句との違いについて
プロジェクトについて理解が深まったところで、次にプロジェクトと同様のシーンで使われる語句についてもみていきましょう。これらはビジネスにおいてプロジェクトと意味や捉え方が混同されやすいため、注意が必要です。
タスク
プロジェクトとその意味合いが混同されやすい語句としてまず挙げられるのがタスクです。しかし、タスクとはいわば一つひとつの業務を指すことから、プロジェクトを構成する要素であり、そもそも規模感も異なります。
プロダクト
プロダクトはその語感からプロジェクトと混同されやすい語句ですが、本来は「生産物、成果物」という意味を持ちます。このためむしろプロジェクトによって生み出される結果と捉えることができます。
マネジメント
マネジメントはタスク同様、プロジェクトの要素のひとつです。プロジェクトでは計画決定からメンバーの状況把握、ケアなど多岐に渡る業務を担当するスタッフをプロジェクトマネージャーと呼ぶことがあります。つまりこうした観点からマネジメントとはプロジェクトを円滑に進めるための管理をすることです。
プロジェクトを成功させるためのポイント
プロジェクトを立ち上げるのであれば、これを達成に導かなければなりません。そこでここからはプロジェクト達成のために押さえておくべきポイントをいくつか挙げていきます。
ゴールを設定する
プロジェクトはまず、どういった状態を達成とみなすのか、ゴールを明確にすることが大切です。また、それに対しメンバーそれぞれが、認識を共有していなければなりません。これにより、全員が同じ場所を目指してプロジェクトを推進し、かつ長期化などにより引き起こされるトラブルも未然に防げます。
個々が当事者意識を持つ
プロジェクトの推進にはメンバーがゴールを共有するのはもちろん、高い当事者意識も求められます。このため、プロジェクトマネージャーだけに責任を委ねるのではなく、メンバー各々が自分に与えられた役割をしっかりと理解し、遂行する必要があります。
また、プロジェクトの進捗状況を確認し、必要であればメンバー同士お互いにフォローすることも忘れてはいけません。
リスクを回避する
一定のリスクが伴うプロジェクトでは、常に不測の事態が発生する可能性もあります。このため想定されるリスクはあらかじめメンバー同士で話し合い、これについても共通認識を持つことも大切です。いざリスクに直面してもある程度想定されていればスムーズに対応でき、かつ円滑にプロジェクトを進めることができます。
プロジェクトの管理や進め方を知り成功に導こう
プロジェクトを円滑に進めるためにはその管理やプロセスが重要です。そして、これらを明確にイメージできればプロジェクトに対する姿勢もおのずと変わってきます。またあわせてそのポイントを知っておくことが、プロジェクト成功への道しるべとなるでしょう。