コロナ禍の影響により、「リモート」という言葉を頻繁に聞くようになりました。なかでも「リモートワーク」はその最たるものといえるでしょう。
そこでここでは、リモートが持つ意味をはじめとして、その使い方、事例、類義語との違いなどをみていきましょう。
リモートとは?
リモートとは本来、遠隔の、離れた、隔たりのある、あるいは間接的といった意味を持つ英単語です。語源はフランス語で「移動させる」という意味を持つ「removeo」に由来します。またこのremoveoは「re-(後ろへ)」と「moveo(動かす)」からなっており、「moveo」は、「遠くにあること」や「離れていること」を前提とした意味を持っています。
特にIT分野では、人や機器など遠隔にある二者が通信回線やネットワークなどを通じて結ばれていることを指し、近年では単に「リモートで」と表現する場合、インターネットを介して遠隔でさまざまなことをやりとりするケースがほとんどです。
一方、リモートの対義語としては「ローカル(local)が挙げられます。これはIT用語としてのリモートが「ネットワークを介した外部からの接続」を意味するのに対し、ローカルは、「コンピュータや入力機器を直接操作すること」、あるいはその利用環境を意味するからです。
このほか直接接する様をあらわす「ダイレクト」も、リモートの対義語として用いられることがあります。
リモートの使い方
ではリモートは実際にどのようなシーンで使われるているのでしょうか。その用例をいくつかみてみましょう。
所属部署ではリモートを推奨している
この場合、リモートは職場以外の場所というニュアンスとなり、「離れた」という意味を持ちます。
迅速な対応を実現するためリモート管理をおこなっている
リモート管理はIT用語のひとつで、ネットワークに接続された機器を利用して各種設定や状況判断をおこなうことです。
リモートアクセスが可能な機器を導入する
リモートアクセスとした場合には、インターネット回線を利用して外部のデバイスと接続することを指します。
リモートを使った言葉の意味と事例
リモートは単語としてよりも、複合語としても使われることの方が多い語句です。そこで、リモートと組み合わされた言葉の意味と事例もいくつかみてみましょう。
リモートワーク(remote work)
オフィスから離れた自宅などの場所で、インターネット回線で接続された端末操作して業務をおこなうことは「リモートワーク(remote work)」あるいは「テレワーク(tele work)」ともいいます。また、離れた場所にいるメンバー同士がWeb会議システムやオンラインミーティングサービスなどを利用して会議や打ち合わせなどをおこなう場合には「リモート会議」や「リモートミーティング」といったように表現します。
ただし英語では「WFH(Work From Home)」と呼ぶのが一般的です。
リモートコントローラー(remote controller)
リモートを用いたもっとも身近な複合語のひとつに「リモートコントローラー(remote controller)」いわゆるリモコンがあります。リモコンは家電製品などを遠隔で操作し、本体のボタンやスイッチなどに触れなくても室内の場所から使用することができる装置です。
リモートアクセス(remote access)
「リモートアクセス(remote access)」とした場合には室内や建物内の通信網であるLANではなく、広域・公衆通信回線であるWANを通じ地理的に離れた場所からアクセスすることを意味するようになります。
リモートとオンラインとの違いについて
リモートと似通った意味で用いられる語句にオンラインがあります。ではこれらにはどのような違いがあるのでしょうか。
「離れている」という意味を持つリモートに対し、オンラインはインターネット回線につながっている状態です。このため、EメールやチャットといったWeb上のツールを使用するなど、常にインターネット回線に接続されていなければなりません。
一方、リモートの場合には離れていたとしても、必ずしもインターネット回線に接続されていないケースも考えられます。
そこで、さらに近年よく聞かれる、「オンライン会議」と「リモート会議」、また「オンライン授業」と「リモート授業」を例に、その違いを掘り下げてみましょう。
オンライン会議とリモート会議
オンライン会議といった場合、インターネット回線を利用し、参加者それぞれが離れた場所でおこなうものです。しかし、リモート会議はオンライン会議同様、参加者同士が離れておこなうのであれば、電話回線や専用回線を利用する電話会議やテレビ会議なども含まれます。
オンライン授業とリモート授業
オンライン授業とリモート授業も会議と同じようにインターネット回線の利用の有無がその違いです。さらにオンライン授業の場合にはWeb上のツールなどを使用する場合もあります。これに対しリモート授業には動画をダウンロードするなどして、自由な時間に授業を受けることができる「オンデマンド授業」なども含まれます。
今後も利用機会の増加が予想されるリモート
リモートはIT業界を中心として、主に専門用語としてさまざまな複合語に含まれる語句です。また、コロナ禍をきっかけとして、人と人とが離れた場所で活動する機会が増えたことから、今後もより身近に、仕事や生活の中で使う機会が増加する言葉といえそうです。