目次
KPT、KPT法とは、効果的な振り返りを実行するためのフレームワークです。
企業や組織が業務やプロジェクトを遂行する際、ただ闇雲に次から次へと進めるだけではなく、きちんと振り返って成果を評価することは非常に重要です。
ここではスムーズな分析を行えるKPT法について解説し、次に進むべき道を明確にする手段を紹介します。
KPTとは?意味と目的を解説
KPT(ケプト)は、「Keep」「Problem」「Try」から日本で発展させた振り返りの手法です。
元はITストラテジストでプロジェクトウィッチドクターのアリステア コックバーン博士が考案した「Keep these」「Try these」「Problems」(The Keep/Try Reflection)から生み出されました。
これを日本人にもわかりやすいようにアレンジしたのが、アジャイルソフトウェア開発のコンサルタント天野 勝氏です。
目的は課題を共有すること、改善すべき点を明確にすることです。
業務やプロジェクトを進める中、振り返って現状を見直す際の指針となり、
Keep=このまま継続するものは何か
Problem=課題は何か
Try=解決策は何か
の3つの項目をリストアップすることで、その後の進路を決定するプロセスとなります。
解説されればとてもシンプルで当然のことのように見えながら、あらゆる局面で活用可能であり、単独でもチームでも規模にかかわらず有効活用可能という、万能なフレームワークと言えるでしょう。
またプライベートな取り組みにも活用可能で、何かを見直したいときに最適な振り返り法と言えます。
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KPT法を使ったの例を紹介
経路検索アプリ「駅すぱあと」で有名な株式会社ヴァル研究所が実施したKPT法の事例を紹介します。
同社は、業務の属人化や部署間の孤立化から脱却するという課題と、メンバーの精神的負担の軽減という課題においてKPT法を用いました。
リストアップされた課題は、トラブル対応ができる人とできない人の存在、構成図データの管理者や管理方法が曖昧、という2点で、その改善策としてデジタル管理からアナログ管理に切り替え、構成図の見える化シートを作成し、ホワイトボードに配置するという案が浮上しました。
このことでチームメンバーのコミュニケーションが促進され、同じ問題に対して全員が取り組むチーム意識と体制とが確立されたと言います。
プロジェクト進行において誰もがポジティブな意見を交換し、課題の早期解決につなげられたことは大きな成果と言えるでしょう。
KPTの具体的なやり方・進め方・テンプレートについて
それではKPTを実際に現場に取り入れるため、具体的なやり方をまとめてみましょう。
進め方としてはまず自社でテンプレートを作成し、フォーマット化するのが近道です。
KPTのやり方
KPTの本質はリストアップですので決まったフォームが必要なわけではありませんが、一度作った表をずっと使い続けられる手法ですので、テンプレートを持っておくと良いでしょう。
ステップ1:ブロック分け
紙ベースであれば、A4用紙を横にして使うと良いでしょう。
まず、真ん中に縦線を引いて左右に分けます。
次に、左側のみ真ん中に横線を引いて上下に分けましょう。
これで3つのブロックに分けることができますので、左上に「Keep」、左下に「Problem」、右に「Try」と書きます。
これがテンプレートです。
ステップ2:リストアップ
まず「Keep」に継続することを書き込みます。
うまくいったこと、現在うまく行っていることを書いてください。
次に「Problem」に問題や課題を書き込みます。
最後に「Try」にこれから実践すること、解決のためにすべきことを書きます。
ステップ3:実践と振り返り
KPT法は、書き出したTryを実行し、その結果を再度振り返り反映することで精度を上げていく手法です。
Tryで成功したもの、うまくいったことがあれば、今度はそれをKeepのブロックへと移し、さらに進めていくことになります。
KPT法のメリットとは
KPT法は非常にシンプルでありながら有効なフレームワークです。
振り返りは普段から各自が実行していることですが、一人の頭の中で単に反省を繰り返していると堂々巡りになりがちです。
出口のない問題に何度も突き当たると、モチベーションが下がり挫折するリスクがあります。
一度問題を見える化し、関わる人員すべてが共通認識を持つことには大きなメリットがあると言えるでしょう。
そのメリットをまとめます。
課題と成果の見える化ができる
頭の中だけで悶々と反省するのではなく、文字で書き出すことにより見える化できることが最大のメリットです。
また、KPTの良いところはKeepすべき事柄、つまり「うまく行っていることは何か」も同時に可視化できる点が秀逸です。
課題解決を焦るばかりに、せっかく成果が出つつある項目を潰してしまうという、誤った判断に陥ってしまう例は少なくありません。
ProblemだけでなくKeepとTryがセットになっている点がKPTの優れた点と言えます。
全員が意見を出せる
KPTはもちろん個人でも実施可能ですが、チームで実施する場合は、参加する全員が同じ課題に向き合える環境を作ることができます。
プロジェクトチームではメンバーが集まってホワイトボードに表を作成することが多いですが、通常の会議と違う点は、全員が同時に同じ方向を向けることです。
立場が違っても向かう問題は同じですので、他者の反応を警戒して正直な意見を控える必要はありません。
誰もが意見を出しやすくなるのがKPTのメリットであり、実行する意義でもあると言えます。
事実、多くの会議ではいつの間にか「人vs人」の対立になることが少なくありません。
KPT法では常に「人vs問題」の構図を提示できるため、不要な対立を避け、問題や課題の攻略に集約できる点が高く評価できます。
反省ではなく改善ができる
KPT法で最終的に導き出すのは、あくまでTryです。
課題や問題があるからこそのTryですが、単なる反省会ではなく、改善のための施策につなげられる点が大きなメリットです。
単独で実施する際にもそれは同じで、単にネガティブになったり、後悔したりするために実施するものではありません。
これも問題を客観視できることが理由ですが、きちんと認めるべきKeepを明確にする点が重要なポイントだと言えるでしょう。
KPTとYWTとの違いとは?
ここまで読み進めて、KPTとYWTと何が違うのかわからないという人もいるでしょう。
YWTは「やったこと」「わかったこと」「次にすること」という日本語の振り返り手法です。
ただ見比べればわかるように、最終的にすべきことを導き出す点は同じでも、そこに至る道すじはまったく異なることが理解できるでしょう。
整理すると以下のようになります。
やったこと=経験
わかったこと=学び
次にすること=学びを踏まえた行動
つまりYWTは、効率的に試行錯誤するための振り返り手法であり、経験を振り返って見出したポイントを適用し、次の行動に移るのに役立ちます。
対して、KPTは振り返りの対象がプロジェクトや業務です。
目標が達成できるか否かを評価基準とし、達成のための改善を実行することが目的となります。
一概に言えませんが、どちらかといえばYWTのほうがパーソナルなイメージとも言えるでしょう。
個人の経験を振り返るには適しています。
KPT法を活用して課題の明確化を
KPT法は、業務やプロジェクトにおいて振り返りを実施するのに最適なフレームワークです。
個人でもチームでも実施可能であり、非常にシンプルでありながら効果的に活用できる手法だと言えます。
課題を明確にするだけでなく、維持すべき内容、評価されるべき事柄も認識できるため、より前向きに次の行動に移れる点も秀逸です。
人と人とがぶつかる会議体ではなく、人と問題が対峙できる環境を構築し、それを効率的に回していくのに大いに役立つでしょう。