テレワークの導入やフレックスタイム制などにより働く場所や働く時間など、働き方の多様性が広がりました。
働き手は自分が働きやすい環境で働くことができるようになり、仕事に対するモチベーションも向上したかもしれませんが、勤務状況を管理する管理者には今まで違った管理体制が求められるようになってしまいました。
働き方の多様化による問題として挙げられるケースが多いのが勤怠管理の効率化です。
勤怠管理の効率化と言われても、そもそも「勤怠」について正しく理解できていないという方も多いのではないでしょうか。
勤怠の意味や勤怠管理の必要性、おすすめの勤怠管理システムなどについて紹介します。
「勤怠」とは?
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そもそも勤怠とは、出勤や退勤、休暇などの出勤状況を表したものです。
社員の出社日数や残業時間、有休消化率などを把握することで従業員が適切に働けているのかがわかるようになります。
このような働き方に関する詳細や、社内の就労規則を準拠して働いているかを管理することを広く勤怠管理といいます。
勤怠管理を行うことで給与計算や従業員の健康状態の把握などが可能となるので、決して蔑ろにできる業務ではないので、企業は勤怠管理体制に注力する必要があります。
出勤·退勤、出社·退社とどう違う?
普段から当たり前のように使っている「出社」や「出勤」、「退社」や「退勤」にはどんな違いがあるかご存知でしょうか。実はこれらの言葉は厳密には違う意味合いを持ちます。
出社の意味
まずは「出社」についてです。
普段何気なく使っている出社という言葉ですが、これは自分が所属している会社のオフィスや営業所などに到着することを指します。オフィスに到着して一歩でも進入すれば出社したとみなすことができ、業務を開始しているかどうかは出社の要素に含まれません。
出社は自分が属するオフィスに出向いたときに成立するので、同じ会社の別拠点の営業所や系列会社に出勤したとしても出社扱いにはなりません。
それと反対に、自分が属する会社から帰宅する場合は「退社」という言葉を使います。
退社の意味
「退社」は出社と違い2つの意味を持ちます。
出社と反対で、1日の業務を終えて会社から帰宅することを退社と表す場合や、会社自体を退職する場合にも使われます。
普段使う際には特に意味合いを間違えるようなことは少ないですが、他社の人やグループ会社の人に説明する際に、退社したという言葉だけを伝えると2通りの意味合いでとられる可能性があるので、帰宅している場合であれば退社した時間を一緒に伝えてあげると良いでしょう。
出勤·退勤の意味
「出勤」や「退勤」は実際に労働した時間を表す際に用いられます。
午前9時に会社に着いて9時30分から業務を開始した場合は出社時間は9時、出勤時間は9時30分となります。同様に、17時に業務が終了して17時30分に帰宅する場合は退勤時間は17時、退社時間は17時30分と表すことができます。
自社に出社していなくても、取引先に出向いて商談など勤務を開始していれば出勤の扱いになり、そこから直帰するのであれば退社はしていませんが退勤はしていることとなります。
勤怠管理とは?なぜ必要か
勤怠管理は従業員が社内就労規則や労働基準法を守って適切に働けているかを把握するだけでなく、給与計算や健康状態の把握も可能になることから非常に重要な業務です。
また、勤怠管理が行われることで、従業員は自分が働いた実績を確認することができ、モチベーションの維持につなげることもできるので会社として決してないがしろにして良い業務ではありません。
昨今では、テレワークなどのオフィス以外での勤務形態も増えており、出勤日や休暇状況などを把握しているだけで労働時間を詳細に把握できなかったことから長時間労働を黙認してしまったり、従業員の健康障害を引き起こしてしまったというケースも少なくはありません。
政府から働き方改革が提唱され、残業時間の管理や有休の取得·消化について厳しい罰則が設けられるようになったこともあり、労働時間の把握ができる勤怠管理の必要性が非常に高くなったと言われています。
勤怠管理が適切に行われていれば、従業員一人ひとりの業務量が把握できるようになり、効率化を検討すべき部分を見つけやすくというメリットも生まれるので必要性が高い業務なのです。
なぜ勤怠管理は難しいのか?打刻忘れや改ざんなど
勤怠管理は重要度が高い業務ですが、実際にはなかなかうまくいかないといったケースも多いようです。
なぜ勤怠管理は難しい業務と言われるのか、具体的な要因を挙げていきます。
管理者を悩ませる打ち忘れ
出勤簿やタイムカードなどで勤怠管理を行っている企業もまだまだ多いと思います。ですが、多くの従業員が働いている企業では、打刻漏れ(打ち忘れ)や記入ミスが起きてしまうのも現実です。
また、外回りの営業がメインという営業部門では、直帰してしまうケースも少なくないのでタイムレコーダーに打刻することができない場合もあります。メールなどで報告して勤怠管理者が代わりに打刻するというケースもありますが、申請忘れの問題もありますし、大勢から打刻修正依頼が届いた場合は担当者に大きな負担がかかってしまいます。
タイムカードを持ち歩いて打刻してもらっているという企業もありますが、わざわざタイムカードを持ち歩くのはめんどくさいという従業員もいるでしょうし、タイムカードを忘れてしまった場合には打刻ができないという問題もあります。
勤怠管理はどの会社にも絶対に当てはまるという手法はなく、会社にあった勤怠管理方法を模索しなければならない点が難しさの1つと言えます。
不正改ざんを行う場合も
タイムカードでの勤怠管理の場合、悲しいことに不正打刻や不正改ざんを行うケースも発生します。
仕事が終わっているのにタイムレコーダーで打刻を行わず、雑談をしているといった場合、特別な業務指示でもない限り時間外労働にはあてはまらず、賃金は発生しないものです。
また、同僚に頼んで打刻をしてらもう不正打刻が発生しているケースも実際にあり、管理者の悩みの種となっています。勤怠管理者は、把握できているケースについては黙認せずに厳格な態度で注意する必要がありますが、これも管理者の負担を大きくするもので、勤怠管理の難しさを表している例と言えるでしょう。
これも労働時間に入る?グレーゾーン労働
労働時間の定義については、厳格な規定はなく、会社によってまちまちであることが多いです。グレーゾーンと捉えられることが多いケースについて解説します。
始業前の準備時間
例えば、10時から始業と決まっている会社の場合、9時30分に出社したり遅くとも9時50分までには出社していることがほとんだと思います。このような場合、出社してから始業するまでの準備時間は出勤扱いとなるのでしょうか。
これは、ケースバイケースで、特に強制されたわけでもなく、自主的に早く出社してコーヒーを淹れたりする場合は出勤扱いんはなりません。ですが、くつろいでいる際に、上司から業務に関する命令を受けた場合は出勤扱いとなるので、会社側は賃金を支払う義務が発生します。
業務に関する命令の重要度に問わず、上司からの命令には時間外手当てが発生すると覚えておくと良いでしょう。
自主的に、業務に関するメールをチェックしたり、その日のタスク整理を行う場合は、会社の規程によって異なります。
着替え時間
会社によっては、制服や作業服に着替えて業務を開始する場合もあるでしょう。このような着替え時間は出勤時間に当てはまるのでしょうか。
着替えが業務における義務であるならば、これは出勤時間とみなされ、賃金を支払う義務が発生します。逆に、着替えが任意である場合には労働時間とはみなされません。
研修時間
研修や教育訓練に参加している時間は労働時間とみなされるのでしょうか。
これは、着替え時間と同様に義務付けられているものであれば労働時間とみなされ、賃金の支払い義務が生じます。
逆に、自由参加の研修などであれば労働時間には当たらず、賃金を支払う必要もありません。ですが、研修への参加の有無が減給処分の対象となっている場合や、研修に不参加の人は業務を行うことができないといった事実上研修への参加を強制するような場合は労働時間に該当するので注意が必要です。
勤怠管理システム導入のメリット
勤怠管理に課題を抱えている方には勤怠管理システムの導入がおすすめですが、勤怠管理システムを導入することでどんなメリットが生まれるのでしょうか。
コストカットができる
タイムカードなど紙での管理が不要になるだけでなく、効率的に勤怠管理ができることで集計作業などに用していた人件費のカットも可能となります。
労働時間が管理しやすい
勤怠管理システムは、従業員一人ひとりの残業時間や有休の消化状況についても可視化できるようになるので、超過労働の防止が可能となります。
不正打刻や打刻修正についてもGPSや指紋認証など厳格化することができるので、管理体制を強化できるというメリットもあります。
連携機能で幅広い業務を効率化
勤怠管理システム導入のメリットとして、他サービスとの連携も挙げられます。
例えば、給与計算システムと連携すれば、勤怠データを元に自動で従業員の給与を計算してくれるようになります。
勤怠管理システムの導入メリットについては以下記事でも解説していますのでご覧ください。
おすすめの勤怠管理システム9選
KING OF TIME(キングオブタイム)
特徴
KING OF TIMEは、17,000社以上の企業での導入実績があり、勤怠管理ソフトの中でも高い知名度です。
強固なセキュリティとダブルバックアップ体制が採用されているのでデータ漏洩や紛失の心配もありません。法改正が会った際にも迅速に対応してくれます。
主な機能機能
- シフト管理
- 管理者権限機能
- 申請承認機能
- 休暇管理機能
- アラート機能
KING OF TIMEの料金
- 初期費用/0円(打刻機材代のみ)
- 月額費用/300円/1ユーザー
2020年12月現在/詳細は公式サイトを確認
画像・データ出典:KING OF TIME公式サイト
スマレジ・タイムカード
特徴
スマレジ・タイムカードは勤怠管理だけでなく、給与計算や年末調整までもが効率化できるシステムです
テレワークなどの離れた拠点での勤務にも対応しており、その利便性の高さから導入数は80,000店舗を突破しています。
主な機能機能
- 複数の打刻方法に対応
- マルチデバイス対応
- 不正防止機能
- 掲示板機能
- 検索機能
スマレジ・タイムカードの料金
- 初期費用/0円
- スタンダードプラン/0円(勤怠管理機能のみ)
- プレミアムプラン/月額2,000円/10ユーザーまで
- エンタープライズプラン/月額6,000円/10ユーザーまで
※規定数以上の従業員で利用する場合は要追加料金
2020年12月現在/詳細は公式サイトを確認
画像・データ出典:スマレジ・タイムカード公式サイト
Gozal(ゴザル)
特徴
Gozalはクラウド型の労務管理サービスで、勤怠管理だけでなく、Web給与明細の発行も可能という特徴があります。
導入企業数は2,000社を突破しており、確かな実績があるサービスと言えます。
主な機能
- 勤怠管理機能
- 給与計算機能
- オンライン明細発行機能
Gozalの料金
- 初期費用/0円
- 月額プラン/700円×従業員数
- 年額プラン/590円(月額換算の場合)×従業員数
2020年12月現在/詳細は公式サイトを確認
画像・データ出典:Gozal公式サイト
jinjer勤怠
特徴
従業員の労働時間をリアルタイムで把握して勤怠管理ができるjinjer勤怠。
従業員の残業時間を把握して、超過労働の可能性がある場合にはアラートを飛ばすことができるなど管理者と従業員双方にメリットが生まれるシステムと言えます。
主な機能
- 勤怠データの自動集計
- ワークフロー機能
- シフト管理
- 有休管理
- 予実管理
jinjer勤怠の料金
- 初期費用/0円
- 月額費用/300円〜/1ユーザー
2020年12月現在/詳細は公式サイトを確認
画像・データ出典:jinjer勤怠公式サイト
シュキーン
特徴
シュキーンは、クラウド型の勤怠管理システムとして、そのシンプルな操作性と豊富な機能を搭載していることから多くの企業で導入されています。
また、勤怠管理システムの中でも低コストで導入できることに特徴があり、初めて勤怠管理システムを導入する場合にもおすすめと言えます。
主な機能
- シフト管理
- 休暇管理
- 管理者権限機能
- 統計表示機能
シュキーンの料金
- 初期費用/0円
- 月額費用/200円〜/10ユーザーから
- 最大2ヶ月間無料で利用可能
2020年12月現在/詳細は公式サイトを確認
画像・データ出典:シュキーン公式サイト
IEYASU(イエヤス)
特徴
IEYASUは、クラウド勤怠管理システムの中でも従業員数の制限なく無料で利用できるという大きな特徴があり、導入実績も13,000社以上と非常に高い人気を誇っています。
無料版はオペレーターサポートがないこと、システム画面にバナー広告が表示されること、勤怠データの保存期間が1年間という制限があるので注意が必要です。
主な機能
- 勤怠データ集計
- 承認機能
- 申請機能
- 日報機能
- レポート機能
- アラート機能
IEYASUの料金
- 初期費用/0円
- フリー/0円/利用人数制限なし
- ベーシックS/月額3,800円/39名まで
- ベーシックM/月額9,800円/149名まで
- エンタープライズS/月額29,800円/499名まで
- エンタープライズM/月額59,800円/999名まで
2020年12月現在/詳細は公式サイトを確認
画像・データ出典:IEYASU公式サイト
MINAGINE(ミナジン)
特徴
MINAGINEは、人事評価システムや勤怠管理システム、給与計算システムなど総合的に人事管理ができるシステムです。
働き方改革にも対応することが可能で、使いやすいUIが高いユーザー満足度を実現しています。
主な機能
- 労働時間管理
- 休日出勤管理
- 残業管理
- 休暇管理
MINAGINEの料金
- 初期費用/400,000円
- 基本料金/月額30,000円(1人〜30人)
- 31人〜200人/月額300円(1名につき)
- 201人〜500人/月額250円(1名につき)
- 501人〜1,000人/月額200円(1名につき)
- 1,001人〜/月額150円(1名につき)
2020年12月現在/詳細は公式サイトを確認
画像・データ出典:MINAGINE公式サイト
kincone(キンコン)
特徴
kinconeは勤怠管理と交通費精算に特化した勤怠管理システムで、導入コストも低価格なことから人気なサービスです。
打刻方法は交通系ICカードを利用することができるので、ペーパーレス化も実現できます。
主な機能
- GPSによる打刻場所の把握
- アラート機能
- 訪問先の自動登録
- 有休管理
- 英語表記に対応
kinconeの料金
- 初期費用/0円
- 月額費用/200円/1ユーザー
- 5名から利用可能
2020年12月現在/詳細は公式サイトを確認
画像・データ出典:kincone公式サイト
ネクストICカード
特徴
ネクストICカードは、交通系ICカードを利用した勤怠管理管理システムとして人気のサービスです。
勤怠管理だけでなく、交通費精算や経費精算も行えることから利便性が高く、交通系ICカードを利用して打刻ができる点から導入のハードルも低いシステムと言えます。
主な機能
- ICカード打刻
- 勤務データの自動集計
- 休暇設定
- アラート機能
- 締め日設定
- 権限別データ編集設定
ネクストICカードの料金
- 初期費用/端末代
- 基本利用料/月額10,000円
- 勤怠管理機能/月額200円/1ユーザー
- 交通費精算機能/月額400円/1ユーザー
2020年12月現在/詳細は公式サイトを確認
画像・データ出典:ネクストICカード公式サイト
働き方改革には勤怠管理の見直しを
多様な働き方に柔軟に対応し、従業員が働きやすい環境を構築するには自社の勤怠管理状況を見直すことが重要です。
有休の消化状況や超過労働に対しては厳しい罰則が課せられるようになったので、従来の勤怠管理のままでは法令違反となってしまう可能性もあります。
勤怠管理を効率化するには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
勤怠管理システムの導入にはいくつか注意点もありますので、本記事や下記の記事も参考にして、自社に最適な勤怠管理システムを導入してください。