新しいアイディアが思いつかないときや考えをまとめたいときに、役に立つのがKJ法です。
この手法を用いれば、企画書、プレゼンテーション用などの資料の作成も、スムーズに行えるようになります。
今回は、このKJ法の特徴、基本的な考え方・やり方、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説していきます。
KJ法とは?基本を解説
最初に、KJ法がどんなものなのかについて見ていきましょう。
KJ法の考案者は川喜田二郎さん
KJ法を考案したのは、地理学者・文化人類学者の川喜田二郎(かわきた じろう)さんです。
文化人類学の調査・研究で集めた膨大なデータをどうやって整理するかを考えていたときに、カードを活用する方法を思いつき、KJ法を生み出しました。
川喜田二郎さんは、KJ法に関する著書も出版していますので、ぜひ参考にしてみると良いでしょう。
KJ法の名前の由来
KJ法という名称は、考案者の川喜田二郎さんの本名が由来です。
「Kawakita Jiro」のイニシャルを取って、「KJ法」と名づけられました。
KJ法の基本について
KJ法の基本は、紙にアイディアを書き出すことで、思考を整理することです。
とりあえず思いついたことを紙に書き出していき、それらを並べることやグループ化する手法が用いられています。
このような工程を行うことで、アイディアをあぶりだすことや思考の整理がしやすくなるのです。
KJ法のメリット・デメリットとは?
KJ法には、メリットとデメリットの両方があります。
この手法を用いる際には、その点をよく理解しておくようにしましょう。
KJ法のメリット
では、まずKJ法のメリットについて細かく見ていきましょう。
①思考や情報の整理ができる
KJ法のメリットは、思考や情報の整理ができることです。
思いついたことを紙に書き出すことで、頭の中にある考えを視覚的に捉えられるようになります。
考えを視覚的に認識することで、客観的な視点も持てるようになり、さまざまな思考を整理することが可能となるのです。
大量の情報を整理する際にも、非常に有効的な手法と言えます。
②新しいアイディアを生むきっかけがつかめる
また、KJ法には、新しいアイディアが思いつきやすくなるというメリットもあります。
考えを図解化することや文章化することで、新しいアイディアを生み出すきっかけが作れるのです。
良いアイディアが出てこないときは、KJ法を実践してみると良いでしょう。
③気軽に実践できる
KJ法は、紙と筆記用具があれば、いつでもどこでも実践することができます。
誰でも気軽に取り組めるのが、KJ法の良いところです。
④情報の共有ができる
KJ法は、ほかの人たちと情報や意識を共有したいときにも、役立つ手法です。
お互いの意見をすり合わせることができるようになるため、少数意見を活用しやすくなるという利点もあります。
KJ法のデメリット
では、KJ法にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
見ていきましょう。
①事前の準備が必要
KJ法のデメリットは、準備の手間がかかることです。
紙、カード、鉛筆などを用意しておかなくてはなりません。
複数人でKJ法を行う際には、メンバーを招集する手間もかかります。
②偏りが生じる場合がある
偏りが生じてしまうことも、KJ法のデメリットです。
同じコミュニティに属している人たちでKJ法を行った場合だと、似たような意見しか出てこなくなることもあるので、注意が必要です。
③人間関係に左右されることもある
メンバーの人間関係が影響される場合があることも、KJ法のデメリットです。
上司と部下の立場でKJ法を行った場合には、下の立場の人が遠慮して意見を出せなくなるということもあるかもしれません。
KJ法とブレインストーミングの関係性
KJ法と似たような手法としては、ブレインストーミングがあります。
ブレインストーミングとは?
ブレインストーミング(Brain Storming)は、1950年にアメリカで考案された会議方式のことです。
考案者は、実業家・著作家のアレックス・F・オズボーンさん (Alex Faickney Osborn)です。
複数人で行うことから、「集団発想法」、「集団思考」などとも呼ばれています。
ブレインストーミングの特徴は、以下の通りです。
・判断や結論を出さない
・10名程度の人数で行うのが良いとされている
・ほかの人のアイディアを批判しない
・質よりも量を意識して行う
・複数のアイディアを組み合わせて考える
KJ法とブレインストーミングはセットで行われる
KJ法とブレインストーミングは、セットで行われるのが一般的です。
最初に、ブレインストーミングでアイディアをたくさん出しておき、KJ法を用いて整理・整頓していくのです。
KJ法の具体的なやり方を詳しく解説
次は、KJ法のやり方について見ていきましょう。
KJ法を行い際には、付箋紙やノートなどの小さめの紙類、鉛筆やペンなど筆記用具が必要です。
複数人で行う際には、メンバーも集めておきましょう。
KJ法の手順
KJ法の手順は、以下の通りです。
①最初に、ブレインストーミングを行い、そこで出てきたアイディアを紙へ記入していきます。
1枚の紙には、1つのアイディアを書いていくのが原則です。
②紙への書き出しが終わったら、意味が近いアイディアをまとめて小グループを作成して、ラベル化を行います。
似ているものがないアイディアに関しては、無理にグループ化する必要はありません。
③小グループ化した紙をさらにまとめて、中グループ、大グループにしていきます。
④グループ化した紙を並べて、関連性のある事柄で並べ換えを行い、関係性を図解化します。
⑤最後は、紙に書かれた情報の関係性を把握したうえで、文章化を行います。
文章化する際には、紙に書き出した言葉をできるだけ使うのがポイントです。
KJ法に便利なアプリやツールをご紹介
最後に、KJ法を行う際におすすめのアプリ・ツールをご紹介します。
Lucidchart
Lucidchartは、Lucid Software Inc.が提供しているKJ法ソフトです。
作図や資料作成機能が搭載されており、データの図式化、ラベル化、文章化を簡単に行うことができます。
リアルタイム共同編集もできるので、複数人で情報を整理することや共有することも可能です。
そのほかに、ビジネスチャット機能、外部アプリ連携、コメント追加などの便利な機能も搭載されています。
Lucidchartの料金プランは、以下の通りです。
・Individualプラン:月額800円~
・Teamプラン:月額1,000円~
・法人向けプラン:要問い合わせ
Lucidchartには、フリープランも用意されており、無料で利用できます。
フリープランは機能制限がありますが、最大で3つまでの文書編集が可能です。
100種類以上のプロフェッショナルなテンプレート、共同編集やサービス連携機能も利用できます。
2021年7月現在/詳細は公式サイトを確認
画像·データ出典:Lucidchart公式サイト
まとめ
今回は、KJ法の基本、メリット・デメリット、やり方などをご紹介しました。
KJ法は、思いついたアイディアを紙に書き出すことで、思考を整理・整頓できる手法です。
最初に、ブレインストーミングを行ってアイディア出だしを行ってから、KJ法を用いるのが一般的になっています。
紙と筆記用具を用意しておけば、いつでもどこでも実践できるのがKJ法のメリットです。
手書きが面倒だという方は、本記事でご紹介したアプリを活用してみると良いでしょう。