本記事では、リファレンスチェックについてQ&A方式で解説しております。
個人情報保護を意識したリファレンスチェックのポイントについてよくある疑問
A.前提として、リファレンスチェックで得られる情報は個人を識別できる情報なので「個人情報」にあたります。
個人情報保護の観点から、リファレンスチェックを用いるためには求職者本人の「同意」が必要です。
同意を得る前に、求職者に対して情報の取得範囲と利用目的を説明する必要があります。
また求職者が提供した個人情報に関しては、必要最小限の範囲で取り扱わなければなりません。具体的には、求職者の名前や職歴に関する情報以外は、リファレンスチェックに必要のない情報であるため、収集や使用を避けなければいけません。
Q.違法性のあるリファレンスチェックとは?
A.違法性があるリファレンスチェックは以下のようなものが考えられます。
【本人の同意が無い】
リファレンスチェックでは、本人の同意を無しに職歴やスキルなどの情報を収集することはできません。
【必要のない情報の収集や使用がある】
リファレンスチェックで収集される情報は、候補者の採用に必要な情報に限定する必要があります。また、収集した情報を必要以上に使用することも禁止されています。
リファレンスチェックにおける、必要な情報とは「勤務期間」「担当業務」「人間性」などが該当します。その他、不必要な情報は「家族構成」「宗教や政治的信条」などが挙げられます。
【リファレンスチェックの後の内定取り消し】
内定が出されてから労働契約が成立するまでの期間は、法律上は「内定期間」として扱われます。内定期間中には、労働契約が成立する前提で、就業開始日や条件などが取り決められます。
内定期間中にリファレンスチェックを行い、その結果を理由に内定を取り消す場合、労働者に対して不当な取り扱いを行ったと判断され、違法行為にあたる可能性があります。
Q.個人情報保護を意識したリファレンスチェックのポイントとは?
A.リファレンスチェックにおけるポイントを解説します。個人情報は、法律に直結することなので確認をしましょう。
【不必要なデータはすぐに削除する】
リファレンスチェックにおいて収集された情報は、あくまでも採用の可否判定に用いられるものです。そのため、候補者の採用・不採用が決まれば早急にデータを削除しましょう。
【セキュリティ対策は万全にする】
個人情報を漏洩させないために、不正アクセスやウイルス対策などセキュリティを強固にしておく必要があります。
また、個人情報を扱う従業員に対しての教育やトレーニングを行い個人情報保護の意識を高めることもセキュリティ対策になります。
【情報の正確性の確認をする】
リファレンスチェックで得た情報が正確かどうかを確認することも重要です。例えば、情報提供者が求職者をよく知っていなかった場合、情報が正確でない可能性があります。
情報が正確でないと、採用する側にとっては思っていた人材では無かったということが発生することが考えられます。また本当は、必要な人材であったので不採用になってしまうケースも想定できます。
このように採用の可否に誤りが生じることになるので、情報の正確性の確認が大切です。
リファレンスチェックの目的についてよくある疑問
Q.リファレンスチェックの目的とは?
A.リファレンスチェックの目的は、中途採用でのミスマッチを防ぐことです。
前職の勤務状況や人柄を関係者に問い合わせることで、書類や面接ではわからなかった短所や長所を確認できます。
経歴や学歴の詐称を防ぐといった目的もあり、採用リスクを減らすことができるでしょう。
採用候補者の情報が正しいことを確認できれば、信頼関係を構築することにもつながります。
自社により適した人材を採用するためには、リファレンスチェックが必要です。
Q.リファレンスチェック実施のタイミングや流れとは?
A.リファレンスチェックを実施するタイミングと、基本的な流れを紹介します。
【リファレンスチェックのタイミング】
リファレンスチェックを行うのは、オファーレター(雇用契約書)の前です。
内定通知前の最終確認として実施します。
人柄重視の選考をする場合は、参考の初期段階でリファレンスチェックを行って人材を絞り込むのがおすすめです。
最終面接前のタイミングでリファレンスチェックをすれば、結果をふまえたうえで面接ができます。
リファレンスチェックの目的にあわせて、適切なタイミングで行いましょう。
【リファレンスチェックの流れ】
リファレンスチェックの流れは以下の通りです。
・採用候補者に合意を得る
まずは採用候補者に、リファレンスチェックの説明をします。
同意を得たことを書類に記録しましょう。
・採用候補者から推薦者に依頼してもらう
2人以上の上司や同僚を推薦者として、採用候補者からリファレンスチェックを依頼。
推薦者と日程調整をして実施する日を決定します。
・リファレンスチェックを実施する
あらかじめ決めておいた質問内容にそって、リファレンスチェックを実施しましょう。
主に対面や電話、ビデオチャットなどで実施します。
リファレンスチェックが終わったあとは、回答内容をまとめて整理します。
Q.リファレンスチェック実施のメリットは?
A.リファレンスチェックを実施するメリットをまとめました。
【ミスマッチを防ぐ】
企業と採用候補者の間で発生する認識のズレを防ぐのが、リファレンスチェックを実施する主な目的です。
より正確な情報を知ることで、働き方や社風とマッチしているか確認することができるでしょう。
【早期退職を防ぐ】
リファレンスチェックをすれば、書類や面接ではわからない勤務態度の確認が可能です。
さらに退職した理由を知って採用候補者にあった働き方を提供することが、早期退職を防ぐことにつながります。
【採用候補者を正確に評価できる】
リファレンスチェックによって、採用候補者の性格や能力をより詳しく評価できるでしょう。
短所はもちろん、第三者の評価によって思わぬ長所が見つかるケースもあります。
企業側の理解度が深まることで、入社したときの配置や業務配分が適切にできるのが魅力です。
Q.リファレンスチェックの目的を果たすためのポイントは?
A.リファレンスチェックの目的を十分に果たすための、ポイントをチェックしておきましょう。
【質問内容が重要】
必要な答えを引き出すためには質問内容が重要です。
勤務実績や経歴、人柄、勤務態度、職務能力、長所・短所など、何を知りたいかを明確にします。
採用候補者やリファレンス先にあった質問を用意しておくことが、目的の達成につながるでしょう。
【総合的に判断する】
リファレンス先がすべて正直に回答するとは限りません。
すべての回答を鵜呑みにして採用するのは、避けたほうがよいでしょう。
書類や面接での印象をふまえたうえで、総合的に判断することが重要です。
【個人情報保護法に注意】
リファレンスチェックでは、個人情報の取り扱いに注意しましょう。
必ず採用候補者本人の同意が必要。
人種や信条、病歴、犯罪歴、支持政党、家族の職業などの質問はNGです。
リファレンスチェックのデメリットについてよくある疑問
Q.リファレンスチェックの目的とは?
A.リファレンスチェックとは、前職での実績や勤務状況を確認することです。
同僚や上司にヒアリングを行って、採用の判断基準にします。
リファレンスチェックの主な目的は、書類や面接ではわからない情報を知ることです。
実績や人柄、コミュニケーション能力、実務能力などを、第三者の視点からチェックします。
採用候補者を多面的に見ることで、自社の求める人物像とのミスマッチを防ぐことが可能。
経歴や学歴の詐称などトラブルの防止や、書類では不明だった長所や短所の把握ができるのがメリットです。
Q.リファレンスチェックのデメリットとは?
A.リファレンスチェックを実施する前にチェックしておきたい、デメリットをまとめました。
【採用希望者から嫌がられる】
日本の企業ではリファレンスチェックにあまり馴染みはなく、抵抗を示す方も一定以上存在します。
応募書類や面接で、多少の嘘をついたり誇張したりすることは珍しくありません。
「嘘が発覚してしまう」と考える方も多いでしょう。
そのためリファレンスチェックは嫌がられやすく、反発を招く可能性があるのがデメリットです。
【採用希望者が辞退する恐れがある】
前職の退職理由を知られたくない、といった理由で採用希望者が辞退するケースです。
人間関係やトラブルが原因で退職した場合、知られたくないと感じるのは当然でしょう。
また、秘密で転職活動をしているときにリファレンスチェックを行えば、在職中の企業にバレてしまいます。
リファレンスチェックを避けたい採用希望者が辞退する可能性があるので、注意が必要です。
【労力や時間がかかる】
リファレンスチェックを実施する場合、質問項目を作成したり日程調整をしたりと、さまざまな準備が必要になります。
通常の選考と比較して担当者の負担が重く、労力や時間がかかるのがデメリットです。
リファレンスチェックサービスを利用すれば手間は省けますが、コストがかかってしまいます。
【情報が間違っている可能性がある】
採用希望者は、なるべく良い情報を提供してくれる推薦者を選ぶのが一般的です。
トラブル防止のために、無難な回答をしようとするリファレンス先もいます。
一方でわざと悪い情報ばかりを伝えるリファレンス先の存在も、否定できません。
リファレンスチェックの情報だけで判断するのはNG。
あくまで選考基準の一つであることを、念頭においておきましょう。
Q.デメリットを踏まえたリファレンスチェック実施の注意点は?
A.デメリットとあわせて知っておきたい、リファレンスチェック実施の注意点を紹介します。
【採用希望者の承諾が必要になる】
リファレンスチェックの実施には、採用希望者による承諾が必要です。
個人情報保護法に抵触する可能性があるので、拒否された場合は実施できません。
目的や流れを丁寧に説明したうえで、承諾を得てからリファレンスチェックを行いましょう。
【実施後の内定取り消しはできない】
リファレンスチェックを実施したあとに、内定を取り消すのは違法とみなされる可能性があります。
学歴や職歴の詐称や犯罪歴の発覚など重大なケースでない限り、内定取り消しは認められません。
内定を出す前に、リファレンスチェックを実施することが重要です。
Q.リファレンスチェックと個人情報保護の関係とは?