繰り返しの定型業務やホワイトカラーの業務を自動化して、業務効率化を可能にするとして、RPAを導入する事例が増えていますが、RPAの導入に成功している事例が多い反面、なかなか業務効率化につながらなかったという失敗事例も多く聞かれます。
本記事では、RPAについて、導入が広まっている背景や、導入で失敗しないための注意点などを解説します。
RPA導入が広がっている背景
RPA自体は、近年導入数が増えていたサービスですが、なぜ導入が広がっているのか。
RPAが注目を集めるようになった要因としては、「生産年齢人口の減少による労働力不足」や「働き方改革の推奨」といった社会的な背景が挙げられます。
少子高齢化が進んだことで、働き盛りの20代30代の人口が減少、多くの業界で人材不足が課題と挙げられる中、人に代わる労働力としてロボット技術が注目され、主に大企業でRPAの導入が始められました。
初期のRPAは、買い切り型のサービスが多く、導入費用が高額となることから、大手企業をターゲットとしているものが多かったのですが、クラウド技術が発展したことにより、中小企業でも導入しやすい価格帯のRPAが多く登場し、さらに注目されるようになっています。
また、昨今では新型コロナウイルスをきっかけとして、テレワークを導入した企業が増えたということもあり、DX化を目的としてRPAに注目する企業が増えたことも導入が広まった背景と言えるでしょう。
RPAの導入方法
RPAを導入する手順をプロセスごとに解説します。
現状の業務を見直す
まずは、今存在する業務の中で、どんな業務があって、どの業務がRPAに代用できそうかを見直しましょう。
業務を見直してからRPAを実装しないと、RPAに任せようと思っていた業務が対応できないということもあります。
RPAは繰り返しの定型業務や、事務的な作業を自動化するのが得意なため、自社業務のどのプロセスが代用できそうか見直すことで、業務の全体像をしっかりと把握できるようになります。
RPAに任せる業務を決める
業務プロセスの見直しが完了したら、RPAに任せる業務を決めます。
RPAは、Excelへの転記作業や、決められた条件下でのデータ抽出などの作業を得意とします。
RPAを導入した場合に、どれくらいの時間を削減できるか、作業者の精神的な負担がどれくらい軽減されるのかを算出した上で選定すると効果がわかりやすいでしょう。
RPAツールの選定、導入
RPAは、様々なベンダーからリリースされており、それぞれの特徴も幅広いものとなっています。
オンプレミス型のものは、導入費用が高額というデメリットはありますが、柔軟なカスタマイズができ、セキュリティも自社で管理できる点がメリットです。
クラウド型は、初期費用が比較的安価で、中小企業でも導入しやすく、保守作業をベンダー側に任せることができます。
また、高機能なRPAですと、プログラミングの知識が必要となるものもあるため、自社で情シス部門がない場合には扱いきれない場合があります。
さらに、RPAは海外製品も多いため、日本語でのサポートに対応していなかったり、UIが日本人にとっては馴染みにくいものである可能性もあるため、無料のトライアルが利用できるサービスを選定して、まずは操作感を確かめると良いでしょう。
無料トライアルを経て、操作感やサポート体制に納得がいけばツールの導入になります。
RPA導入で失敗しないためのポイント
RPAは、導入したからといって必ず成果が期待できるものではありません。導入にあたっては以下のポイントに注意しましょう。
マニュアルの作成
RPAの導入にあたっては、マニュアルを作成すると良いでしょう。
運用を一人の担当者に任せていると、担当者不在の時や急な退職時に運用方法がわからず、1から運用しなければいけないことになる場合もあります。
人であれば、なんとなくでわかっていた部分が、ロボットには伝わらないため、例外的な部分まで詳細にマニュアルを作成しておくことで、属人化を防ぐことができます。
RPAに関する知識をつけておくことで、万が一のトラブルにも柔軟に対応できるため、ベンダー側が提供しているセミナーに参加するのも有効です。
トラブル時の対策を決めておく
万全の運用体制を整備していても、トラブルは起きるものです。
例えば、長期的なシステム障害によってRPAを稼働させることが難しくなった場合に、すぐ人による作業へ戻すことができるような体制を事前に構築しておけば、業務が止まってしまう時間を最小限にすることができます。
そのためにも、普段からRPA人材の育成に力を入れておくことが重要です。
企業によっては、RPAの導入にあたって専任のチームを編成するケースも多く、時間をかけてRPA導入までのプロセスを計画しています。
RPAを導入して業務効率化を実現
RPAについて、導入方法や、導入に失敗しないための方法を紹介しました。
RPAの導入には、しっかりとした事前準備が必要となりますので、ベンダー側の導入前サポートを受けながら、自社でRPAを導入することがどれくらい費用対効果があるのかを算出した上で導入を進めていくことをおすすめします。