日本の再生可能エネルギーの導入率(発電電力量に占める割合)は16%程度ですが、30%代である欧州と比較すると、後塵を拝していると言わざるを得ません。
一方で、太陽光発電システムを自宅に導入するには、一般的には150〜200万円程度は最低でも必要と言われており、なかなか気軽には踏み出せない現状があります。
そんな中、ユーザーの費用負担は一切なく、自宅に太陽光発電システムを導入するという驚きのサービスを提供しているのが、『シェアでんき』です。
『シェアでんき』を運営する、株式会社シェアリングエネルギー・事業開発室長の井口和宏氏にお話を伺いました。
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株式会社シェアリングエネルギー 事業開発室長:井口和宏
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、アイアンドシー・クルーズ(現じげん社)にて、新電力会社設立、国内最大級プロパンガスのスイッチングサービス等、主にエネルギー領域における新規事業開発に従事。2018年1月に当社参画。経済産業省委託「再エネ電力のブロックチェーンを用いた取引スキームに関する標準化調査委員(2018)」
ユーザーが完全無料で太陽光発電システムを導入できる仕組みとは?
――『シェアでんき』では、戸建てオーナーなどの一般ユーザーが一切の費用負担なく、自宅に太陽光発電システムを導入できるとのことですが、なぜそんなことが可能なのでしょうか?
井口氏:「第三者所有モデル」という提供方法で、ユーザー様の自宅屋根等に、弊社所有の太陽光発電システムを設置するからです。
「第三者所有モデル」では、まずユーザー様の敷地・戸建ての屋根を借り、弊社が太陽光発電システムの所有者として設置を行います。
屋根で発電した電力は、自家消費電力としてユーザー様がお使い頂けるので、日中の電気料金が無料もしくはとても安価になります。(※1)
その自家消費電力以外の余剰電力を、弊社が売電させて頂き、その売電収入が弊社の収益源になります。
※1*自家消費量が所定の無料枠を超えた場合、超過使用量×26円/kWh(税別)が発生します。
――なるほど。つまりユーザーとしては、屋根のスペースを貸し出すことで、日中の電気料金が無料になる、というメリットがあるということですね。ユーザーにとってデメリットや必要経費などは一切無いのでしょうか?
井口氏:ユーザー様にとってデメリットは一切ありません。
まず初期費用・追加費用は一切かからず、太陽光発電システムの所有者は弊社なので、メンテナンスなどの費用も弊社が負担します。
また、システム設置後10年経過したものは、ユーザー様に無償で譲渡させて頂き、その後の発電した電力は、ユーザー様が売電して収益を得ていただくことができます。
ユーザー様の経済的なメリットとしては、20年間で最大110万円程度の電気代削減、売電収入が得られることになります。
ユーザーからの好反応で、契約数が拡大中
――素晴らしいビジネスモデルですね。リリース後の市場やユーザーの反応についてはいかがでしょうか?
井口氏:当初は「そんな美味しい話あるのか?」「何か裏があるのではないか?」といった疑問の声もいただきましたが、現在は東京都庁様や神奈川県庁様をはじめ、自治体が太陽光発電システムの第三者所有サービスに補助金を出して普及の支援をしてくださっていることもあり、認知度は増している実感があります。
実際のところ、有り難いことにシェアでんきの契約件数は、全国で急上昇している状況で、既存のユーザー様にも大変ご満足頂いております。
国内では認知が低いことが今後の課題
――ユーザーにとってメリットばかりですが、なぜ国内ではまだ普及しきっていないのでしょうか?
井口氏:それは、まず1つに国内においては「第三者所有モデル」の認知が低いという課題がありますね。米国では「第三者所有モデル」が太陽光発電の普及を牽引してきた背景があるですが、日本ではまだまだ知られていません。ですから、弊社だけでなく、事業の提携パートナーと一緒にこのサービスを広げています。
たとえば、新築のビルダー様です。全国で250社以上のビルダー様と提携しており、新築購入を検討されているお客様に対して、太陽光発電システムが無料で設置できるシェアでんきをご提案いただいています。
「分散電源で再エネ100%の世界を作る」というビジョン
――最後に、「シェアでんき」として目指す世界観や今後のビジョンなどをお教えいただけますでしょうか?
井口氏:弊社のビジョンは、「分散電源の創出を通じて、再エネ100%の世界をつくる」です。
その第一歩として、太陽光発電システムの「第三者所有モデル」というサービスを通じて、分散電源の拡大を進めています。
その後は、プロシューマーであるシェアでんきユーザー様に対して、更なる付加価値を提供できればと考えています。
具体的には、蓄電池などのエネルギーリソースの提供や電気の小売販売、またエネルギーマネジメントサービスの提供を想定しています。
たとえば、現在オーストラリアのブロックチェーン開発企業であるPower Ledger社と提携して、P2P(Peer to Peer)電力取引の実証事業を展開しているのですが、このような実証を通じて新たなサービス展開を企画しています。
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今回お話を伺ったサービス: