企業はさまざまなデータを保有・管理しています。
経営における意思決定をはじめ、あらゆる決断はデータ分析によりなされることが多いのではないでしょうか。
しかし、企業が蓄積しているデータは、統一されたルールに基づいていないなど不完全である場合も多く問題となります。
こうした不完全さを解消する作業が、データクレンジングです。
本記事では、データクレンジングの概要と具体的な進め方を解説します。
データクレンジングとは?言葉の意味と概要
企業は顧客情報や取引履歴といった、さまざまなデータを保有しています。
しかし、それらのデータは登録者のクセなどにより不揃いで、そのままでは活用できない場合も多いのではないでしょうか。
例えば、「株式会社〇〇」「(株)〇〇」というように、表記の揺れにより同じ会社と認識されないことです。
また、電話番号のハイフンの有無もデータの不備となります。
こうした不備を改善し、活用できるデータに加工する作業をデータクレンジングといいます。
データクレンジングの必要性とメリット
データクレンジングはなぜ必要なのでしょうか。また実施することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
データクレンジングの必要性
これまでの企業活動で蓄積してきたデータは、その企業の財産であり、重要な資料となりうるものです。
しかし、収集や保管のルールが明確でなかったため、欠損や重複、表記揺れにより十分に活用できていない企業が多い現状があります。
また、意外と多いのが同一の情報を各セクションで管理することにより、データの不一致が発生している状態です。
スピーディーな変化対応が求められる現代ビジネスにおいては、こうしたデータの有効活用は必須のものとなっています。
データクレンジングを実施して、分析に活用できるデータとして整備する必要があるのです。
データクレンジングのメリット
データクレンジングによりデータベースを整備するメリットは以下の3点です。
データ分析の精度アップ
保有するデータをすべて同じ形式に統一することで、蓄積したすべてのデータが有効活用できるようになります。
参考データが多ければ多いほど、分析結果の精度は上がり、ミスジャッジが起きにくくなります。
データ分析の効率化
データの整備を行うことで、必要なデータを必要なときに瞬時に取り出し、活用することが可能になります。
データ検索に余計な時間を取られることなく、営業活動に専念できるなど、本来の業務に集中できるようになります。
信頼を守る
取引先の社名や、顧客の氏名など固有名詞の誤りは致命的なミスとなります。
ひとたび間違いがあれば、大きく信用を損なう事態となるでしょう。
定期的なデータ整備を実施しておけば、こうしたミスは限りなくゼロに近づけることができます。
データクレンジングの方法は?名寄せや前処理の具体的な進め方を解説
ここではデータクレンジングの方法と、具体的な手順について見ていきます。
一般的にデータクレンジングは以下の手順にそって行われます。
データの品質把握
保有するデータの品質を把握します。以下のポイントについて把握する必要があります。
・完全性:欠損の有無
・適合性:表記揺れの有無
・一貫性:不整合の有無
・精度 :誤りやノイズの有無
・重複度:重複の有無
こうした基準をもとに、保有データの品質を診断します。
診断結果をもとにデータ整備の方針を決め、作業にとりかかります。
データの整備
診断により把握できたデータのエラーを修正するプロセスです。
社名は正式なものに統一する、電話番号はハイフンを入れ表記する、というような一定のルールに基づき、表記揺れの修正や欠損の補完を施していきます。
データの名寄せ・統合
重複データを統合する作業です。
各部署で独自に作成したデータを管理している場合などでは、データの重複が発生していることが多くあります。
キーとなる情報、例えば電話番号とメールアドレスが同じ登録データは、同一データとみなし統合する作業です。
このプロセスは前段階のデータ整備が、一定のルールのもと確実に行われていることが前提となります。
データの品質維持
データの整備、名寄せは一度実施して終わりではありません。
定期的なメンテナンスを行うことで、品質を維持する必要があります。
データクレンジング・名寄せの実施後も、新たなデータが登録されます。
登録ルールが守られているか、定期的な確認も必要となるでしょう。
データクレンジングを自動化するには?
データクレンジングを人海戦術で行うことは、大変な労力が必要で現実的ではありません。
また、整備ルールの解釈に個人差が生じるなど、結果として整備が進まない事態も想定されます
外部サービスやツールを活用し自動化することが、現実的な選択肢となるのではないでしょうか。
データクレンジングに便利なツールをご紹介
それでは、データクレンジングに活用できるツール・サービスを紹介します。
Datorama
Datoramaは、Datorama Japan株式会社が提供しているプラットフォームです。
マーケティング分野に特化した、データ整備ツールとして定評があります。
最大の特徴はあらゆるマーケティングデータを自動で統合・アップデートできる点です。
膨大なデータを一元管理でき、データ整備の作業に時間を取られることがありません。
操作性も良く、従業員間でデータの共有がしやすい点も強みとなっています。
uSonar
uSonarは、株式会社ランドスケイプ社が提供する、社内データ統合を支援するクラウドツールです。
自社で構築した、日本国内の企業や事業所のデータベースを保有していることが特徴です。
このデータベースと顧客企業が保有するデータを連動させることで、データクレンジング・名寄せを支援してくれます。
自社データにない企業の情報も取り込むことができ、新規開拓にも強みを発揮します。
Precisely Trillium
Precisely Trilliumは、株式会社アグレックスが提供するデータクレンジングツールです。
高い精度のデータクレンジングはもちろん、業務に合わせた名寄せ条件を柔軟に設定できることが特徴です。
情報の整備だけでなく、過去の販売履歴といった詳細な情報も紐づけて管理できます。
優良顧客の抽出やDMによるアプローチなど、営業活動まで幅広く支援してくれるツールです。
まとめ
企業がこれまで蓄積してきたデータを活用できないことは、大変な損失であるといえます。
貴重な財産であるデータを有効活用するには、ある時点で思いきった整備を行う必要があります。
変化が激しい現代のビジネス環境では「データ」の活用は必須のものとなります。
データクレンジングや名寄せによるデータ整備は、コストをかけてでも早急に実施する価値がある施策ではないでしょうか。
さまざまなサービス・ツールが展開されています。自社の現状と照らしぜひ導入を検討してみてください。