【初心者でもわかりやすく解説】バリューチェーンとは?意味や事例、分析方法を解説

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事業において利益を出すためには、あらゆる分野で効率良く物事を進めなければいけません。
製造段階はもちろんのこと、流通や宣伝の段階でもより利益を出せるような仕組みを作れるかは極めて重要になってくるでしょう。
自社が手掛けている事業が効率良く運用されているかどうかを考えるにあたって、バリューチェーンという概念を学んでおく必要があります。
今回はバリューチェーンとは何か、そして具体的にバリューチェーンの概念をうまく導入している企業はどこか、といったことについて紹介していきましょう。

バリューチェーンとは?初心者にもわかりやすく解説

バリューチェーンとはValueとChainを組み合わせた造語です。
それぞれ、「価値」と「つながり」という意味を持つ英単語ですが、それらを組み合わせるとどういった意味合いになるのでしょうか。
そもそも、何か物を売るにあたっては様々な段階を経なくてはいけません。
ここではお米の生産を例にとってみましょう。
お米を作るには原材料となる稲を作ることが欠かせません。
さらに稲を植えるための田んぼや育てるための水も欠かせないでしょう。
そして、いざお米ができたら流通し、おいしいお米であると宣伝する必要もあります。
このように何かを作って売る際には、それぞれの段階で価値が生じています。
そして、各段階の価値を最大限に連鎖していこう、とする考えこそがバリューチェーンなのです。

提唱者は誰?

バリューチェーンの概念を始めに提唱したのはマイケル・ポーターという経営学者です。
彼は1985年に発表した『競争優位の戦略』という本の中で、これからの時代は低コストでより多くの利益を獲得しなければならない、と主張しました。
バリューチェーンの概念もそうした文脈から理解しなければいけません。
低コストでより多くの利益を生み出すためには、サービスを展開する過程を一つひとつ分析する必要があるのです。

バリューチェーンとサプライチェーンの違い

バリューチェーンと似たような言葉にサプライチェーンという言葉があります。
あまり耳馴染みがない人にとってはどう違うのか区別がつかないでしょう。
混同を避けるためにもここでサプライチェーンについてもしっかりと解説していきます。
supplyは英語で「供給」を意味する英単語です。
ここにチェーンという言葉が加わると、供給の連鎖、という意味になります。
そして、ビジネスの業界では物が消費者のもとに供給されるまでの流れのことをサプライチェーンと呼んでいるのです。

サプライチェーンは「供給」を、バリューチェーンは「価値」を重視する

サプライチェーンにおいては価値が加わっているかはあまり重視しません。
どういう流れで物が作られているのか、どういう過程をたどってサービスが消費者のもとに届けられるのか、といった連鎖を分析していくだけです。
それに対してバリューチェーンは、物が作られる段階でどれだけ価値が生まれているのか、といったことを一つひとつ丹念に見ていく分析方法となっています。
また、どれだけの企業がチェーンに加わっているか、という違いもあります。
供給は基本的に複数の企業を通して行われるものです。
一方で、価値の生産はあくまで一つの企業だけで完結するものとなっています。

バリューチェーンの実例を紹介

バリューチェーンは提唱されてから約35年が経っています。
その間多くの企業がこの概念を取り入れ、経営の効率化に取り組んできました。
ここからはバリューチェーン分析をうまく行ったことで成功した企業をいくつか紹介していきましょう。

東京ガスグループ

まず私たちの生活になくてはならないガスを供給している東京ガスを取り上げます。
ガスの供給は行っているけれど、生産に関しては他社に任せている、というガス会社は少なくありません。
それに対して東京ガスでは、液化天然ガスを海外から調達し、生活に使えるものとして作り変え、そして家庭に供給する、という行程を一通り行っているのです。
こうした方式を取り入れることによって各段階でより価値の高いガスが作れるようになり、今や日本でも有数の企業となりました。

伊藤園

お茶を売る企業として有名な伊藤園では早くからバリューチェーンの概念を導入した例として有名です。
伊藤園はまずお茶の産地に向けてさまざまな支援活動をしていることでよく知られています。
現在日本では農業の後継者不足が深刻化していますが、伊藤園ではこうした事態を早くから察知し、茶葉農園の後継者を育成するよう努めてきたのでした。
こうした伊藤園の取り組みは企業イメージのアップにつながるだけでなく、よりクオリティの高い原材料を調達できる仕組みさえ整えているのです。

バリューチェーン分析とは?分析方法を解説

先程も紹介したマイケル・ポーターは、バリューチェーン分析のフレームワークを編み出したことでも知られています。
ここからは彼の作り上げたテンプレートを紹介していきましょう。

バリューチェーンの把握

そもそも自社のサービスがどのようなチェーンに基づいて成り立っているのか把握することは欠かせません。
原材料の調達から製造、そしてサービス供給までの一連の流れを書き出していきましょう。
バリューチェーンをやり始めたばかりの頃は大雑把な分析でもかまいません。
しかしながら、慣れてきたらより細分化した分析ができるようになりましょう。

コスト分析

バリューチェーンの洗い出しが終わったら、各段階でどれだけコストがかかっているかを算出していきます。
コストの算出が終わったら、このコストは本当に適正な数字なのかを分析していきましょう。
無駄なコストがかかっているということは、その分だけ価値の損失が生まれてしまっています。
逆にいえばコストをカットすることでより多くの価値が生まれることにもなるのです。

長所と短所の分析

続いて各段階が持っている強みと弱みを分析していきます。
うちは流通段階は他社に比べると弱いけれど、製造段階は他社に負けない強みを持っている、といったことを分析していきましょう。
そうした分析を行うことによって、どういった広告を打って消費者にアピールしていくか、といった戦略が立てやすくなります。

VRIO分析

最後にVRIO分析を行いましょう。
VRIOとはValue(価値)、Rareness(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)から成り立っている言葉です。
自社の取り扱っているサービスがどれだけ価値を持っているか、どれだけ世間にとってレアなものなのか、といったことを分析していきましょう。

バリューチェーンのメリット・デメリット

バリューチェーン分析をする一番のメリットは何といっても利益を最大化できるところにあります。
うちの会社は最近中々利益を出せていない、というときはバリューチェーン分析を試してみるのも良いでしょう。
また、自社が取り扱っているサービスの流れを改めて点検できるというメリットもあります。
従来ならば最初に作った流れでうまくいったけれど、これからの時代はここの部分を見直したほうが良いかもしれない、といった気づきにつながる可能性もあるでしょう。
一方で、バリューチェーン分析にはデメリットもあります。
それはサプライチェーンなどと違って、一社で完結した流れしか分析できないという点です。
製造段階や調達段階を他社に任せている場合はバリューチェーン分析は不向きなので、ほかの分析を採用するようにしましょう。

まとめ

経営の効率化、という言葉はよく耳にします。
しかしながら、いざ効率化を始めようとは思ったもののどこから手をつければ良いかわからない、といった人は少なくないでしょう。
そんな方は今回紹介したバリューチェーン分析を使いながら利益をアップできるよう頑張ってみてください。

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