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サイトのアクセス数を増やすことやシステムをより多くの人に使ってもらえるようにするためには、さまざまな方法を採用する必要があります。
いずれの方法を採るにせよ、本当にその方法がユーザビリティに優れているかを考えることは欠かせません。
最近ではデザイン性を重視するあまり、ユーザビリティに欠けたシステムを作る人も増えてきました。
その結果、ユーザーを置き去りにしてしまい、アクセス数などが減るようでは意味がありません。
ここは原点にかえって、そもそもユーザビリティとはなんであるかを一から知る必要があるでしょう。
今回はユーザビリティの定義を教えるのはもちろんのこと、どうすればユーザビリティを高められるかといったことまで詳しく紹介していきます。
ユーザビリティとは?意味と定義をわかりやすく解説
ユーザビリティとは英語で使いやすさを意味する言葉です。
この道具はユーザビリティに優れている、これはユーザビリティに欠けている、といった文脈で使われます。
IT業界でもしばしば使われる言葉ではありますが、一般的な用法とは必ずしも意味が同じだとは限りません。
それだけでなく、使う人によって定義がまちまちであることがあります。
こうした事態を重く見たヤコブ・ニールセンという方は、ユーザビリティを5つの項目に分けて定義しました。
- 効率性:システムなどを使っているユーザーが効率良く使い方を覚えられるか
- 学習のしやすさ:ユーザーにとって平等に使いやすいか
- 記憶しやすさ:一定期間システムを使っていなくてもすぐに使い方を思い出せるか
- エラー発生率:エラーが発生しづらいシステムかどうか
- 満足度:ユーザーが快適に使うことができるか
ユーザビリティとUI、デザインの関係性について
システムエンジニアにとって、いかに優れたUIを作れるかはその人の能力を示す指標になるでしょう。
もちろん、デザイン性に優れたUIを作り出すのも大切なことです。
しかしながら、UIはユーザーのことも考えなくてはいけません。
いかに工夫が重ねられたデザインを作ったからといって、ユーザビリティに欠けているようでは優れたUIとは言えないのです。
かといって、ユーザビリティを重視しすぎるとデザイン性に欠けたUIになってしまう、かというとそうではありません。
ユーザビリティとデザイン性は十分に両立し得るものです。
重要なのはシステムエンジニアがUIを作る際、いかに独りよがりにならずに政策を進められるかでしょう。
先程も挙げたユーザビリティの定義を参照しつつ、どうすれば満足度の高いUIにできるか、どうすれば効率性のあるものに仕上げられるか、といったことを考えていかなくてはいけません。
もちろんユーザーの視点に立ったうえでこのデザインは優れているか、と試行するのも大切です。
まずユーザビリティを考えたうえで、その後から装飾としてデザインを加えてみる、といった制作方法でもバランスの取れたUIは作れるでしょう。
ユーザービリティテストの方法と具体例
システムやサイトを作り上げたら、必ずユーザビリティテストを行わなくてはいけません。
同じような手法として、実際に数ヶ月運用しているサイトなどを使っているユーザーにアンケートを採るものがあります。
それとは違って、ユーザビリティテストはこれから運用を予定しているシステムを試験的に使ってもらわなければいけません。
システムを作っている間には想定していなかったエラーなどが起きないか、実際にユーザーに使ってもらったらどういった感想を抱くか、といったことを検証するのです。
評価項目を用意する
ユーザビリティテストを行う前には必ず評価項目を用意するようにしましょう。
漠然とユーザーの感想を聞くだけではなく、具体的にこの項目はどう評価するか、といったことを調査したほうがより有益な意見を聞けます。
ユーザビリティテストの具体例としては、対面型やオンライン型などが挙げられるでしょう。
対面型は実際に目の前でユーザーにサイトなどを使ってもらって意見を募ります。
それに対してオンライン型はWebカメラなどを使って感想を聞かなくてはいけません。
リモート時代になった今、ユーザビリティテストもオンライン型が主流になっていくでしょう。
ユーザビリティを向上させるための施策とは?
実際にユーザビリティが大切、と言われてもどうすれば良いかわからない方は多くいるでしょう。
そこで、ここからはユーザビリティ向上の方法をいくつか紹介していきます。
目的意識を持つ
まず、なぜユーザビリティを高めなければいけないか、という目的意識を持たなくてはいけません。
漠然とユーザビリティの向上だけを目的として、あれこれと良さげなアイディアを取り込み続けた結果、統一感のないシステムになってしまっては意味がないのです。
そうではなく、たとえば売上を伸ばすためのシステムを作る、といった目的に沿った方法を取り入れるようにしましょう。
情報の取捨選択
続いて、情報量の取捨選択を効果的に行わなくてはいけません。
初めてサイトなどを訪れた人が、情報量の膨大さに圧倒されてすぐにブラウザバックしてしまうというケースは多々あります。
どの情報が伝えたいものなのか、この情報は必要なのか、といったことを吟味することもユーザビリティの向上につながるでしょう。
最後にユーザーのミスを想定したシステムづくりを心がけましょう。
ユーザーがミスしてもフォローしてくれる、といったシステムを作ればユーザーが安心感を持って利用することができるのです。
ユーザビリティとアクセシビリティの違いと関係性
ユーザビリティと似たような言葉にアクセシビリティという言葉があります。
IT業界ではこちらもよく使われる言葉ですが、どういった違いがあるのかいまいちわからない、という人も少なくないのではないでしょうか。
ユーザビリティは基本的に一つのターゲットに絞った使いやすさの指標です。
たとえば若者に使ってもらいたいサイトなら、若者向けのユーザビリティに特化したデザインに仕上げると良いでしょう。
それ以外のユーザーがアクセスしてユーザビリティに欠けていると感じられたとしても、それはそれで仕方ない、と捉えるのが一般的です。
一方で、アクセシビリティは特定のユーザーに絞り込むといったことはしません。
ですから、アクセシビリティに優れたサイトというときは、老若男女問わずいろいろなユーザーが使えるサイトのことを指しています。
また最近ではなんらかの障害を負った人のためのアクセシビリティという観点を持つことも大切になってきました。
たとえば視覚に障害を負っている人のためのサイトを作る、といったこともアクセシビリティの観点からすれば欠かせない工夫です。
ユーザビリティを意識して優れたサイト制作を
今回はさまざまな観点からユーザビリティとは何か、どういったことがユーザビリティなのかといったことを考えてきました。
とはいえ、ユーザビリティに優れているというのは一元的に決められるものではありません。
各々がじっくりと時間をかけてシステムと取り組むことで、ようやくユーザビリティとは何かが見えてくるものです。
ユーザーの視点に立ちながら何がユーザビリティなのかを考える時間を持つようにしましょう。