トークンとは、直訳すると「しるし」や「象徴」という意味で、ネット決済時のワンタイムパスワードや、NFTの暗号資産にその言葉が使われます。
同じトークンという言葉ですが、2つの立場では役割が違ってくるので注意が必要です。
今回は、キャッシュレス決済と仮想通貨におけるトークンの意味と役割について説明します。
トークンとはそもそも何?
トークンを直訳すると「しるし」「象徴」という意味です。
そこから、近年ではキャッシュレス決済などの認証や、仮想通貨のデジタルコインのことをトークンと呼びます。
各業界でのトークンの意味と役割について
トークンは、キャッシュレス決済と仮想通貨では意味合いが違ってきます。
その意味と役割についてまとめました。
キャッシュレス決済でのトークン
キャッシュレス決済でのトークンは、ネット決済の際に1回のみ有効な「ワンタイムパスワード」を表示する認証デバイスのことです。
ワンタイムパスワードは60秒で切り替わるので、セキュリティ対策として、ネットバンキングなど多くの企業が導入しています。
こちらのトークンには2種類あります。
ハードトークン
ハードトークンとは、液晶にワンタイムパスワードを表示させるキーボルダーほどの大きさの端末のことです。
手元にある端末のパスワードを使用するので、セキュリティの大幅な向上に繋がります。
ソフトトークン
ソフトトークンはスマートフォンに専用のアプリをダウンロードして、そこに表示されるパスワードを使用する方法です。
スマートフォンそのものがトークンになるので、セキュリティの向上と、トークンの紛失予防にも繋がります。
仮想通貨でのトークン
仮想通貨でのトークンは、既存のブロックチェーンにて発行される仮想通貨のことです。
ブロックチェーンとは、データの改ざんや不正利用などができないようプログラムされた技術です。
各取引情報がブロックとして記録され、それがチェーンのように繋がることにより、正確な取引履歴が維持されます。
一般的に知られる仮想通貨のビットコインやイーサリアムは、独自のブロックチェーンにて発行されるため、これ以外の仮想通貨がトークンと言ってもいいでしょう。
その中でも、近頃話題になっているNFT(Non-Fungible Token : 非代替性トークン)は、仮想通貨の中でも代替のきかないトークンを指します。
トークンとブロックチェーンの関係性について
トークンとブロックチェーンは、とても相性がいい関係性にあると言えます。
それは、トークンの2つの特徴が大きな理由です。
1.使える場所や対象が限られる代用通貨であること
2.認証権限が1回限りの使い捨て
今までの資金調達の仕組みであったのはICO(Initial Coin Offering)です。
しかし、企業や団体が独自の仮想通貨を発行するこのシステムは、たびたび詐欺などの問題が取りだたされてきました。
そのため、近年ではブロックチェーンのトークンに有価証券の機能を与えて資金を調達する方法のSTO(Security Token Offering)が注目されています。
STO派政府機関から正式に発行・販売が認められた証券であることから、ICOよりも安心して利用でき、海外ではすでに巨額の取引があります。
トークンを使うメリットとデメリット
トークンを使うメリットとデメリットをまとめました。
ネット決済でトークンを使うメリット
ネット決済でトークンを使用する場合、以下のメリットがあります。
セキュリティ面の強化
トークンの認証権限は1回限りのため、セキュリティ面はかなり高められます。
たとえば、ネット決済で万が一ワンタイムパスワードが漏洩したとしても、その番号は60秒ごとに切り替わるため、1分以上経過した場合は不正利用のリスクがありません。
ユーザーが頻繁にパスワードを変えなくて済む
ネット決済を行う場合、IDとパスワードが流出すると、アカウントを第三者に乗っ取られてしまう可能性があります。
そこにトークンのワンタイムパスワードによるログイン設定をしておくと、1度しか使えないワンタイムパスワードが必要になるので、不正ログインの可能性が減ります。
仮想通貨(NFT)でトークンに投資するメリット
仮想通貨(NFT)でトークンに投資するメリットは以下のとおりです。
リターンへの期待
仮想通貨としてトークンを保有している場合、トークンの発行元が事業に成功した場合、価値が上がり、そのタイミングで売った差額は、利益として手に入れられます。
少額から投資可能
投資を始めたいと考えても、株式投資は最低でも10万以上の予算が必要になりますが、NFTは500円前後から始められます。
まずはお小遣い程度の金額から始めたい場合は、NFTが適しているのではないでしょうか。
サービスが利用できる
トークンを取得すると、発行元が提供するサービスが利用できる場合があります。
サービスの内容はさまざまなので、提供しているサービスを見て取得するのも1つの手です。
ネット決済でトークンを使うデメリット
ネット決済でトークンを使うデメリットは以下のとおりです。
時間が過ぎるとパスワードが使えなくなる
トークンのパスワードは60秒ごとに切り替わります。そのため、パスワードを取得してから1分以内に決済が終わらなかった場合、取得したパスワードは無効になります。
入力する際には、パスワードが切り替わったのを確認した時点で入力すると、余裕を持って決済できるでしょう。
紛失の可能性がある
ハードトークンを使用している場合、キーホルダーほどの小型なため紛失するリスクがあります。
保管には十分気をつけましょう。
仮想通貨(NFT)でトークンに投資するデメリット
仮想通貨(NFT)でトークンに投資するデメリットは以下のとおりです。
手数料が上昇しやすい
NFTの手数料はガス代といいます。
この手数料は出品者が自由に設定できるので、需要によって手数料が上昇しやすいのが特徴です。
購入の際には手数料にも注目しましょう。
デジタル上のみの所有になる
仮想通貨のトークンはデジタル資産のため、実際に手に取ることができません。
そのため、保有している実感が湧きにくいというのがデメリットの一つに挙げられます。
法的整備が後手に回っている
IT業界に革命をもたらすと考えられているNFTは急速に発達したため、法的な整備が追いつきません。
そのため、所有者の権利や著作権問題など、気をつけなければならない点が数多くあります。
トークンには2つの意味がある
IT用語のトークンには2つの意味があります。
・キャッシュレス決済の際のワンタイムパスワード
・仮想通貨の暗号資産
それぞれメリット・デメリットがあるので、把握した上で利用するようにしましょう。