KPT、KPT法とは、効果的な振り返りを実行するためのフレームワークです。
企業や組織が業務やプロジェクトを遂行する際、ただ闇雲に次から次へと進めるだけではなく、きちんと振り返って成果を評価することは非常に重要です。
ここではスムーズな分析を行えるKPT法について解説し、次に進むべき道を明確にする手段を紹介します。
KPTとは?意味と目的を解説
KPT(ケプト)は、「Keep」「Problem」「Try」から日本で発展させた振り返りの手法です。
元はITストラテジストでプロジェクトウィッチドクターのアリステア コックバーン博士が考案した「Keep these」「Try these」「Problems」(The Keep/Try Reflection)から生み出されました。
これを日本人にもわかりやすいようにアレンジしたのが、アジャイルソフトウェア開発のコンサルタント天野 勝氏です。
目的は課題を共有すること、改善すべき点を明確にすることです。
業務やプロジェクトを進める中、振り返って現状を見直す際の指針となり、
Keep=このまま継続するものは何か
Problem=課題は何か
Try=解決策は何か
の3つの項目をリストアップすることで、その後の進路を決定するプロセスとなります。
解説されればとてもシンプルで当然のことのように見えながら、あらゆる局面で活用可能であり、単独でもチームでも規模にかかわらず有効活用可能という、万能なフレームワークと言えるでしょう。
またプライベートな取り組みにも活用可能で、何かを見直したいときに最適な振り返り法と言えます。
おすすめの目標管理システム
類似サービス: HRBrain
(4.5)
月額費用 | 要見積もり | 無料お試し | 7日間無料 |
---|---|---|---|
初期費用 | 要見積もり | 最短導入期間 | 最短即日〜 |
HRBrainとは、株式会社HRBrainが運営するタレントマネジメントです。 組織診断サーベイからタレントマネジメントまでをワンストップで実現することができ、あらゆる人材データを一元管理することで、業務の効率化やデータ分析・活用が可能です。
人事評価を効率化
HRBrainを導入することで、煩雑化していた人事評価の集計作業を完全自動化することが可能です。 進捗管理や未提出者に対する催促もワンクリックで可能なため、人事評価業務にかかっていた工数の大幅な削減につながります。
人材データの一元管理、スキルの見える化を実現
HRBrainによって、紙やExcelなどに分散していた人材データを一元管理することが可能です。氏名などの基本情報に加え、スキルや特徴の見える化も可能とします。
最適な人材配置が可能になる
人材配置に必要なデータを一元管理して、異動候補者を見える化、適切な人材配置を可能とします。 人材データをクロス集計して、客観的なデータを元にした人材配置を行うことで、勘や経験に頼った人事からの脱却、人材育成の活性化につながります。
類似サービス: JobSuite TALENTS
(4.5)
月額料金 | 要問い合わせ | 無料お試し | 要問い合わせ |
---|---|---|---|
初期費用 | 要問い合わせ | 最短導入期間 | 要問い合わせ |
JobSuite TALENTS(ジョブスイートタレンツ)は、従業員のさまざまな情報を集約し、厚みのある人材データベースを継続的に構築していくための、人事業務プラットフォームです。
「社員と組織の見える化」と「人事業務のプロジェクト化」を同時に実現
従来の人材管理システムの要素に、人事の業務プロジェクト管理の要素をプラスした人事業務プラットフォームとして、JobSuite TALENTSを生み出しました。JobSuite TALENTSは、社員データベースとしての活用のみならず、日常の人事業務を計画的に実行するための支援機能を備えることで、毎日の人事業務のクオリティ向上に寄与します。
導入企業にあった柔軟なカスタマイズが可能
JobSuite TALENTSを運営するステラスは、有名大手企業での複雑な業務プロセスへの対応実績があり、導入の課題解決に最適な機能を個別にカスタマイズすることが可能です。自社で人事データベースをゼロから構築する場合や、大手HRM(Human Resource Management)パッケージを導入する場合と比較して、低価格かつ柔軟性に優れているため、自社オリジナルの運用しやすいシステムの構築が実現できます。
より広範な人事領域のDXを実現
JobSuite TALENTSを導入することで、より広範な人事業務のDXを実現することが可能です。一例としては、JobSuite TALENTSによって自社で活躍している人材の傾向が把握できるようになることで、JobSuiteシリーズの「JobSuite CAREER」や「JobSuite FRESHERS」を用いた採用活動において、そのデータを活かすことができるようになります。
類似サービス: カオナビ
(4.5)
月額料金 | 要問い合わせ | 無料お試し | 要問い合わせ |
---|---|---|---|
初期費用 | 要問い合わせ | 最短導入期間 | 要問い合わせ |
カオナビとは、従業員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステムです。 経営者や人事のニーズ、多種多様な導入企業から得られた知見やノウハウを基に開発されており、使いやすい機能と充実したサポート、活発なコミュニティが特徴です。 あらゆる人事情報をカオナビに集約することで、効率的な人材採用、配置、育成、評価を実現。昨今注目を浴びる人的資本経営や人事労務DXにも対応しています。
人事課題を解決する多種多様な機能
カオナビにはタレントマネジメントに必要な機能が揃っており、様々な人事課題に役立ちます。 人事情報活用のはじめの一歩である人材データベースの構築から、データを活用した人材採用、配置、育成、評価の効率化、昨今注目を浴びる人的資本経営やリスキリングへの対応も可能です。
誰でも使いやすい操作性
タレントマネジメントでは、蓄積した人事情報を社内全体で活用することが重要です。 だからこそカオナビは、人事担当者に限らず、経営者から従業員までの誰もが使いやすい設計になっています。
やりたいことを実現できるカスタマイズ性
カオナビは、カスタマイズ性にも優れています。 たとえば、自社独自の管理項目があったり評価制度を運用したりしている場合でも、柔軟に対応可能です。
KPT法を使ったの例を紹介
経路検索アプリ「駅すぱあと」で有名な株式会社ヴァル研究所が実施したKPT法の事例を紹介します。
同社は、業務の属人化や部署間の孤立化から脱却するという課題と、メンバーの精神的負担の軽減という課題においてKPT法を用いました。
リストアップされた課題は、トラブル対応ができる人とできない人の存在、構成図データの管理者や管理方法が曖昧、という2点で、その改善策としてデジタル管理からアナログ管理に切り替え、構成図の見える化シートを作成し、ホワイトボードに配置するという案が浮上しました。
このことでチームメンバーのコミュニケーションが促進され、同じ問題に対して全員が取り組むチーム意識と体制とが確立されたと言います。
プロジェクト進行において誰もがポジティブな意見を交換し、課題の早期解決につなげられたことは大きな成果と言えるでしょう。
KPTの具体的なやり方・進め方・テンプレートについて
それではKPTを実際に現場に取り入れるため、具体的なやり方をまとめてみましょう。
進め方としてはまず自社でテンプレートを作成し、フォーマット化するのが近道です。
KPTのやり方
KPTの本質はリストアップですので決まったフォームが必要なわけではありませんが、一度作った表をずっと使い続けられる手法ですので、テンプレートを持っておくと良いでしょう。
ステップ1:ブロック分け
紙ベースであれば、A4用紙を横にして使うと良いでしょう。
まず、真ん中に縦線を引いて左右に分けます。
次に、左側のみ真ん中に横線を引いて上下に分けましょう。
これで3つのブロックに分けることができますので、左上に「Keep」、左下に「Problem」、右に「Try」と書きます。
これがテンプレートです。
ステップ2:リストアップ
まず「Keep」に継続することを書き込みます。
うまくいったこと、現在うまく行っていることを書いてください。
次に「Problem」に問題や課題を書き込みます。
最後に「Try」にこれから実践すること、解決のためにすべきことを書きます。
ステップ3:実践と振り返り
KPT法は、書き出したTryを実行し、その結果を再度振り返り反映することで精度を上げていく手法です。
Tryで成功したもの、うまくいったことがあれば、今度はそれをKeepのブロックへと移し、さらに進めていくことになります。
KPT法のメリットとは
KPT法は非常にシンプルでありながら有効なフレームワークです。
振り返りは普段から各自が実行していることですが、一人の頭の中で単に反省を繰り返していると堂々巡りになりがちです。
出口のない問題に何度も突き当たると、モチベーションが下がり挫折するリスクがあります。
一度問題を見える化し、関わる人員すべてが共通認識を持つことには大きなメリットがあると言えるでしょう。
そのメリットをまとめます。
課題と成果の見える化ができる
頭の中だけで悶々と反省するのではなく、文字で書き出すことにより見える化できることが最大のメリットです。
また、KPTの良いところはKeepすべき事柄、つまり「うまく行っていることは何か」も同時に可視化できる点が秀逸です。
課題解決を焦るばかりに、せっかく成果が出つつある項目を潰してしまうという、誤った判断に陥ってしまう例は少なくありません。
ProblemだけでなくKeepとTryがセットになっている点がKPTの優れた点と言えます。
全員が意見を出せる
KPTはもちろん個人でも実施可能ですが、チームで実施する場合は、参加する全員が同じ課題に向き合える環境を作ることができます。
プロジェクトチームではメンバーが集まってホワイトボードに表を作成することが多いですが、通常の会議と違う点は、全員が同時に同じ方向を向けることです。
立場が違っても向かう問題は同じですので、他者の反応を警戒して正直な意見を控える必要はありません。
誰もが意見を出しやすくなるのがKPTのメリットであり、実行する意義でもあると言えます。
事実、多くの会議ではいつの間にか「人vs人」の対立になることが少なくありません。
KPT法では常に「人vs問題」の構図を提示できるため、不要な対立を避け、問題や課題の攻略に集約できる点が高く評価できます。
反省ではなく改善ができる
KPT法で最終的に導き出すのは、あくまでTryです。
課題や問題があるからこそのTryですが、単なる反省会ではなく、改善のための施策につなげられる点が大きなメリットです。
単独で実施する際にもそれは同じで、単にネガティブになったり、後悔したりするために実施するものではありません。
これも問題を客観視できることが理由ですが、きちんと認めるべきKeepを明確にする点が重要なポイントだと言えるでしょう。
KPTとYWTとの違いとは?
ここまで読み進めて、KPTとYWTと何が違うのかわからないという人もいるでしょう。
YWTは「やったこと」「わかったこと」「次にすること」という日本語の振り返り手法です。
ただ見比べればわかるように、最終的にすべきことを導き出す点は同じでも、そこに至る道すじはまったく異なることが理解できるでしょう。
整理すると以下のようになります。
やったこと=経験
わかったこと=学び
次にすること=学びを踏まえた行動
つまりYWTは、効率的に試行錯誤するための振り返り手法であり、経験を振り返って見出したポイントを適用し、次の行動に移るのに役立ちます。
対して、KPTは振り返りの対象がプロジェクトや業務です。
目標が達成できるか否かを評価基準とし、達成のための改善を実行することが目的となります。
一概に言えませんが、どちらかといえばYWTのほうがパーソナルなイメージとも言えるでしょう。
個人の経験を振り返るには適しています。
KPT法を活用して課題の明確化を
KPT法は、業務やプロジェクトにおいて振り返りを実施するのに最適なフレームワークです。
個人でもチームでも実施可能であり、非常にシンプルでありながら効果的に活用できる手法だと言えます。
課題を明確にするだけでなく、維持すべき内容、評価されるべき事柄も認識できるため、より前向きに次の行動に移れる点も秀逸です。
人と人とがぶつかる会議体ではなく、人と問題が対峙できる環境を構築し、それを効率的に回していくのに大いに役立つでしょう。