リファレンスチェックを実施する際の注意点
リファレンスチェックを実施する際の注意点を採用企業側と採用候補者側それぞれで説明します。
企業側の注意点
求職者の同意を必ず得る
リファレンスチェックは求職者に関する情報を前職の関係者など第三者に提供してもらいます。
個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)では、個人データを第三者が提供する際の制限規定が設けられており(23条1項)、求職者本人の同意を得ずに個人データを提供してもらうことはできません。
コンプライアンスの意識が高い企業では、個人情報保護法についても把握しているため同意なしのリファレンスチェックには応じてくれないでしょう。
無理矢理にリファレンスチェックを行うことは、個人情報保護法に抵触する可能性があり、企業のブランドイメージを損なうことになるため気をつける必要があります。
リファレンス先に拒否される場合もある
リファレンスチェックを依頼する人は、大抵は現役で働いている社会人です。
繁忙期などで仕事が忙しい場合はリファレンスチェックを断られてしまうこともあるでしょう。リファレンス候補から断られてしまった時を想定して、予め採用候補者に複数のリファレンス先を紹介してもらうことをおすすめします。
また、電話やオンライン会議ツールを用いてのリファレンスチェックはどうしても時間がかかってしまうため、忙しいリファレンス先には断られてしまう可能性もあります。
空いた時間で手軽に回答することができるオンラインアンケート形式であれば、回答者側に負担が少ない状態でリファレンスチェックができるため、活用してみても良いでしょう。
また、求職者が現在転職活動をしていることを職場に伏せているケースもあり、このような場合リファレンス先を探すことが難しい場合もあります。
求職者にリファレンス先の紹介を拒否されてしまった場合は、なぜできないのか理由を聞いた上で、現在の職場以外で紹介できる人はいないかを聞いてみると良いでしょう。
質問できない内容もある
リファレンスチェックだからといって何を聞いても良いわけではありません。
厚生労働省の「公正な採用選考の基本」によれば、以下のような事項を応募用紙に記載させたり、面接で尋ねることは就職差別につながる恐れがあるとされています。
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること(家族の地位や学歴、収入など)
- 住宅状況に関すること
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観や生活信条に関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合に関する情報(加入状況など)
- 学生運動や社会運動に関すること
- 購買新聞・雑誌・愛読書などに関すること
リファレンスチェックの結果はあくまで参考程度に
リファレンスチェックは求職者自身から聞けない客観的な評価や実績、人柄といった部分を聞くことができる点は大きなメリットですが、リファレンス先が必ずしも公平な判断をしてくれるとは限りません。
求職者は基本的に、自分にとって良い回答をしてくれる人を紹介したいでしょうし、リファレンス先がマイナス面を正直に答えてくれない場合もあります。
ですので、リファレンスチェックはあくまで採用における参考に、面接で感じた疑問や印象を確かめるために利用する、といった認識で取り組むのが良いでしょう。
リファレンスチェック後の不採用は慎重に
面接を行い、内定をだした後にリファレンスチェックを行う企業もいるでしょう。
リファレンスチェックの結果、経歴詐称や学歴詐称などが発覚したことで内定の取り消しを検討することもあるかもしれません。
ですが、厚生労働省の「『採用内定の取消』に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性」によれば、内定を出した時点で内定者と企業との間には労働契約が成立したとみなされるため、経歴詐称などが発覚したとしても内定取り消しが認められない可能性があります。
なので、リファレンスチェックは最終面接前などに実施すると良いでしょう。
おすすめの類似リファレンスチェックサービス
類似サービス: Parame Recruit
(4.5)
月額料金 | 1.5万円/回 | 無料お試し | 要問い合わせ |
---|---|---|---|
初期費用 | 0円 | 最短導入期間 | 最短即日導入可能 |
Parame Recruitとは、株式会社Parame Recruitが運営しているリファレンスチェックサービスです。 採用候補者をよく知る人物からの他己評価を取得することで、書類や面接だけではわからない採用候補者をより深く知ることができます。
面接だけではわからない候補者情報を取得できる
Parame Recruitは、独自のアルゴリズムによって、採用候補者の性格傾向を分析することができます。
信憑性の担保が可能
Parame Recruitでは、推薦者には身分証明書での本人確認を実施しているため、なりすましを防止することができます。
チャットで追加質問ができる
回答を取得した後に、推薦者と直接チャットによるやりとりを行うことが可能です。回答結果の中で気になった項目や、曖昧な部分を深堀することはもちろん、追加の質問も可能なため、面談前にしっかりと情報を収集することができます。
類似サービス: ASHIATO
(4.5)
月額料金 | 30,000円〜/人 | 無料お試し | 要問い合わせ |
---|---|---|---|
初期費用 | 0円 | 最短導入期間 | 最短即日導入可能 |
ASHIATOとは、エン·ジャパン株式会社が運営しているリファレンスチェックサービスです。 従来のリファレンスチェックは、採用候補者のマイナスな面を調査するネガティブチェックの側面が強いものでしたが、ASHIATOは、採用候補者のこれまでの「活躍の足跡」を可視化することで、入社後の活躍から定着率向上までに寄与していくことができます。
面接ではわからない人となりがわかる
ASHIATOは、これまで15万社の採用支援を行ってきたエン・ジャパンだからこそできるノウハウを詰め込んだ独自のアンケートを実施することによって、通常の面接ではわからない候補者の、それまでの働きぶりや、周りとの協調性を知ることができます。
入社後の活躍・定着まで支援
リファレンスチェックによって、採用候補者と一緒に働いてきた人から「当時の働きぶり」、「人柄」、「相性が良いチーム」、「パフォーマンスを発揮した場面」などの情報を取得できることで、入社後の人材配置・チーム編成に活かすことが可能になります。
スピーディーなヒアリングとレポート回収が可能
ASHIATOによるヒアリングは、候補者1名あたり5分程度でヒアリングを行うことが可能です。 レポートの回収も平均で3営業日ほどで可能なため、選考フローのスピードを落とすことなく利用することができます。
類似サービス: レキシル
(4.5)
利用料金 | 6.6万円(税込)/人 | 無料お試し | 要問い合わせ |
---|---|---|---|
初期費用 | 11万円(税込) | 最短導入期間 | 要問い合わせ |
レキシルとは、株式会社ビットミックスが運営している採用におけるリスク対策ツールです。 採用したスタッフが、「協調性に欠けている」、「ストレスに弱い」、「不平不満ばかり言う」、「経歴が疑わしい」、「SNSトラブル」、「情報漏洩」、といったネガティブ要素によるミスマッチを解消することができます。
精度の高い第三者チェックを実施
レキシルでは、第三者からのインタビューを通した「経歴チェック」、「評価チェック」を実施しています。 面接における、過去の役職や学歴の過大申告、経歴詐称のリスクを早期に発見し、入社後のトラブルを事前に防ぐことが可能です。
Webによるバックグラウンド調査が可能
第三者へのインタビュー調査だけでなく、Webによるバックグラウンド調査も可能です。 ネット検索情報やSNS情報、個人ブログ、マスメディア情報などの調査手法を用いて、性格や素行に問題がないか、入社後に情報漏洩につながるリスクを抱えていないかといった要素を調べ、リスクヘッジを行うことができます。
法令遵守の安心サービス
レキシルは、弁護士、社労士監修のサービスで、個人情報保護法への抵触リスクを排除、厚生労働省の示している候補者の適正や能力に関係がないとされる項目(出生地や家族に関することなど)の情報収集はせず、労働基準にも配慮しているため、安心して利用することができます。
求職者側の注意点
企業側と同様に求職者側にもいくつか注意点があります。
信頼できる人を紹介先として推薦する
リファレンスチェックは求職者側で回答者を紹介するケースが一般的です。
そのため、自分と良好な関係にある信頼できる人を紹介するようにしましょう。
多くは直属の上司や同僚を推薦するケースが一般的で、一緒に働いた期間が長い身近な人物が的人です。
求職者が管理職だった場合は、直属の部下にリファレンスチェックを依頼するケースもあります。
紹介先に対してしっかりと説明を行う
ただリファレンスチェックをお願いしますというだけでは不十分です。
リファレンスチェックを実施している企業は増えているとはいえ、一般的な認知度はまだ十分ではないため、リファレンスチェックを行う目的や流れをしっかりと説明しておく必要があります。
求職者の方でわかっている情報があればできる限り伝えておくことで、理解が深まりリファレンスチェックを引き受けてもらえる確率があがります。
具体的には、目的や方法、所要時間、当日の流れなどを事前に伝えておくと良いでしょう。