人事評価は企業において重要な評価制度で、適切に行うだけで人件費の管理が可能となるだけでなく企業としての生産性を向上させることにもつながります。
適切な人事評価を行うためには、企業にマッチした評価手法と取り入れることが重要です。
人事評価の手法にはいくつか種類がありますが、今回はその中でも情意評価という手法について解説していきます。
情意評価とは?
情意評価とは、社員の仕事に対する意欲や姿勢について評価する手法のことを指します。
情意評価の特徴としては、業績や能力など具体的な数字や結果を評価するわけではなく、目に見えないものを評価することにあります。
チームや部署などでプロジェクトを行う際に、社員がどのような姿勢で業務に臨んでいるか、積極性や協調性、モラルを守った行動ができているのか、コミュニケーション能力などが評価の対象となります。
情意評価は態度や姿勢など目に見えない部分を評価するので、評価者の主観に左右されてしまうケースがあり人によっては公平な評価を得られていないと感じてしまう場合もあるので細心の注意が必要です。
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業績評価・能力評価との違いを解説
情意評価と共に評価手法として挙げられることが多い手法に業績評価と能力評価という手法があります。
これらの評価手法の特徴を知ることで情意評価との違いも理解できると思います。
業績評価
業績評価は、社員と上司とが相談して目標を設定し、その目標がどれくらい達成できたのかを評価する手法です。
具体的な数字を用いて目標を立てるため、成果が目に見えやすいという特徴があります。また、目標達成までのプロセスも評価の対象となる点も特徴的です。
例えば、訪問営業を行っている営業マンが次回人事評価までに新規顧客を30件獲得するという目標を立てた場合、何件獲得することができたのかという結果と目標を達成するために何をしたのかという過程を評価することになります。
また、特定の資格を取得するという目標を立てた場合は、資格の取得ができたのかを評価します。
メリットとしては、具体的な数値を挙げて目標を設定するため公平な評価がしやすいという点が挙げられます。
デメリットとしては、目標を達成することを優先するようになってしまい、チームとしての協調性が弱まってしまったり、評価につながらない業務に関しては消極的になってしまう可能性があるという点があります。
能力評価
能力評価は社員が業務に対してどれだけ力を発揮したのか、職務遂行能力を評価します。
例えば、チームとして自社製品を100件販売した場合と個人で同じ製品を100件販売した場合では後者がより評価されることとなります。
能力評価は主に、個人の企画力や行動力、課題を解消する力などが評価される場合が多く特殊なスキルを持っている社員を評価する際には能力評価が適していると言えます。
能力評価を取り入れるメリットとしては、個人の能力や資格などを評価対象とするので、直接的に業績に繋がらなかったとしても個人の評価が下がることはないという点になります。
デメリットとしては評価のバランスが難しく、複数の部署を跨いで評価が必要な場合などに公平性が保った評価にならない可能性があるという点が挙げられます。
業績評価も能力評価もそれぞれにメリットとデメリットがありますので、自社社員を評価する際にはどんな評価手法がマッチしているかをよく検討した上で取り入れるようにしましょう。
社員の評価に情意評価を取り入れるメリットとデメリット
業績評価や能力評価にメリットとデメリットがあるように、情意評価にもメリットとデメリットが存在します。
それぞれの特徴を理解することで足りない部分を補って自社にマッチした評価手法を取り入れることができます。
情意評価を取り入れるメリット
- 企業が望む社員を育成できる
- 多角的な評価が実現できる
- 組織の連携力を強化できる
情意評価は企業が社員の働く姿勢を評価するので、社員が仕事に対して取り組む姿勢や同僚との関わり方について具体的に改善点を提案することができます。
社員は指摘された部分を改善することで、高評価へと繋がりますし、企業としても業務態度の良い望むべき人材を育成することが可能になるというメリットが生まれます。
また、業績評価などと違い上司が1人で評価するわけではなく、上司や部下、チームメンバーなど複数人から評価されることで多角的な評価を実現できるというメリットもあります。
自分が周りからどう見えているのかを理解することで、組織においての振る舞い方を改善することができるのです。
情意評価は社員の組織内での協調性も評価対象としますので、評価をするたびに自然と協調性の強い社員を育成することが可能となり組織の連携力が強化されるようになります。
情意評価を取り入れるデメリット
- 主観に左右された評価になりやすい
- 具体的な目標設定が難しい
- 人間関係が悪化する場合も
情意評価を取り入れる場合、評価者は個人の主観に頼った評価を行ってしまうケースが多く評価者によって評価内容が変わる可能性があります。
同じ部署内でも厳格な上司と甘い上司では評価結果が異なってしまい、不公平と感じてしまう社員が表れてしまうことも考えられます。
また、情意評価は業績評価などと違い具体的な数字を目標とすることがないため、目標設定が難しいというデメリットもあります。このようなデメリットもあるため、上司の方は被評価者が目標を設定しやすくなるように明確な評価基準を提示してあげると良いでしょう。
上司だけでなく、部下や同僚からも評価してもらう情意評価の手法を取り入れている企業では、悪い評価をつけた相手との間で人間関係が悪化してしまうというケースも考えられます。ですので、複数人で広く評価する場合は匿名制にするなど配慮が必要です。
情意評価で見るべき基準(ポイント)を解説
情意評価を行う際は以下の点に注意することで、公平かつ的確な評価を下すことができます。
規律性
情意評価における規律性とは、企業や定めたルールや慣習にのっとって行動ができているかという点になります。
企業定めたルールを理解しているかはもちろんですし、ルールを守るために行動しているのかを査定します。評価される社員の役職にもよりますが、管理職である場合は周囲に対してどんな影響を与えているかも評価の基準となることがあります。
組織の秩序を構成する上で、その人がどんな行動を取っているかをしっかりと評価することが重要です。
積極性
上司から指示された仕事ただこなすのではなく、自ら改善点を提案したり効率的に業務をこなせるように行動できているかという積極性を評価基準とします。
企業としても、受動的な人材よりも能動的に行動することができる人材の方がより生産性を向上させることができますし、チームの成長にも良い影響を与えます。
場合によっては、上司が指示を出すことが難しい場面もあるので、そういった時に如何に自ら行動できるのかが重要になるのです。
責任性
どんな仕事であっても自分が関わった仕事には多かれ少なかれ責任が伴うものです。情意評価においては、この責任性についても評価の基準となります。
自分が関わった仕事を最後までやり通そうとする姿勢や、どういった責任がかかるのかを認識しているかを評価することで、新人の頃から責任感を持った人材の育成にもつながります。
協調性
情意評価において協調性は非常に重要な評価基準で、社員が周囲と協力して業務を行うことができたかを評価します。
同僚との良好な関係が築けているのか、チームの雰囲気にうまく溶け込もうと努力をしているのかなといった点に注目すると良いでしょう。
また、ただ周りに合わせるだけでなく、より良い成果を出すために積極的に議論に参加し同僚や部下の意見もしっかりと取り入れることができているのかという部分にも注目が必要です。
以上の4点を意識して評価を行うことで、公平かつ具体性を持った情意評価を下すことができます。
情意評価をする上での注意点
情意評価の評価基準については説明しましたが、以下の注意点に気をつけて評価を行わないと意図せずに社員の不満を招く結果となってしまうかもしれません。情意評価における注意点を説明するので参考にしてください。
ハロー効果
ハロー効果とは、評価を下す際に良い特徴や悪い特徴など目立つ部分に引きずられてしまい、全体としての評価も偏ってしまう現象のことをいいます。良い特徴に引きずられてしまい、全体の評価も高くなってしまうことをポジティブ・ハロー効果、その逆をネガティブ・ハロー効果と表します。
情意評価は評価者の主観が反映されやすい評価手法ですので、ハロー効果については最大の注意が必要です。
特徴を連動させて評価するのではなく、1つ1つをしっかりと客観的に評価することがハロー効果を避けることに繋がります。
寛大化傾向
情意評価は態度や姿勢など目に見えないものを評価するという特性から、評価者の主観に頼ってしまう部分が大きく、それ故に部下からの反発や人間関係の悪化を恐れて評価が甘くなってしまうことがあります。これを寛大化傾向といいます。
寛大化が起きることで、全体的に高評価の社員が多くなってしまい評価そのものの意味がなくなってしまうという危険性があります。
評価の対象となる社員を日頃からしっかりと観察して適正な評価を下すように心がけましょう。
中心化傾向
中心化傾向は極端な評価を避けるあまりに平均的な評価になりやすくなってしまう傾向を指します。
中心化傾向が進むと、本来は高評価とされるべき成果が過小評価になってしまったりその逆のケースも起こってしまい結果と評価が釣り合わないことになってしまいます。
このような場合、評価される側の社員から不信感を抱かれたり信頼が得られない可能性があるので注意が必要です。
情意評価は態度や姿勢といった目に見えない部分の評価をするため、慎重に行う必要があることを忘れてはいけません。客観的かつ公平な評価になるように意識して評価することが重要です。
情意評価の書き方と例文
書き方
情意評価の書き方としては以下の点に注意して書くことが重要です。
- 客観的な視点で評価する
- 良い部分と悪い部分の具体例を挙げる
- 改善点を挙げる
普段から社員の行動を観察したり1on1ミーティングを行うなどして社員の人間性を把握することが重要です。
人事評価においては、多くの企業で評価シートを用いて評価を行いますがいずれも客観的視点に立って評価を行うようにしましょう。
また、良い点だけでなく悪い部分についても具体的な例を挙げることで社員も自分を分析しやすくなります。
人事評価はただ評価を行うだけでなく、その後のフィードバックも丁寧に行うことが社員のメンタルケアや自己成長にも繋がります。
例文
例文1
遅刻や過度な欠勤もなく、関わった仕事に対しても最後までやり遂げていた。 課題が発生した際にも周囲と協力して積極的に解決に取り組んでいた点も評価できる。また、業務の効率化を図るためにタスク管理システムの導入を提案するなど行動力も高評価に値する。 今後も他の従業員のお手本となるような行動、態度を期待している。 |
例文2
困難にぶつかった時にすぐ諦めてしまう場面が目立った。周囲と相談せずに自分だけで解決しようとしたり、初めから無理だと決めつけずに課題解決のためには何が必要かを考える癖をつけて欲しい。 また、自分が関わっている仕事1つ1つに責任が発生していることを自覚することで自己成長へと繋げることができるはずだ。 わからないことや悩みがあれば、遠慮なく聞いて欲しい。 |
評価基準を意識した情意評価を
情意評価の特徴や、取り入れる際の注意点、その他の評価手法、書き方などを紹介しました。
情意評価だけでは評価基準が曖昧になってしまい公平性を欠いてしまう可能性もありますが、業績評価や能力評価では評価するのが難しい社員の内面的な部分を多角的に評価することができるという大きなメリットもありますので、自社の状況に応じてこれらの評価手法をうまく組み合わせて評価することが重要です。
適切な評価ができれば、社員のエンゲージメントも高まり仕事に対するモチベーションも向上します。
今現在情意評価を取り入れている方も、本記事を参考にして自社の人事評価の見直しを図ってみてはいかがでしょうか。