ビジネスにおけるピボットとは何か?意味や事例、メリット·デメリットについて解説

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近年のビジネスシーンは目まぐるしく変化しています。
昨日トップを走っていたはずの業種がいつの間にか取って代わられている、といったことは珍しくありません。
そのため、企業は1つの分野に固執することなく柔軟に態度を変えていくことが求められているのです。
せっかくここまで事業を続けてきたのに、あきらめるなんてもったいない、と考えるのはもっともです。
しかしながら、時にはすっぱりとあきらめて次のフェーズに移らなくてはいけない場面がやってきます。
今回はそんな時代に適応するために重要なワードとなるピボットについて紹介していきましょう。

ピボットとは?ビジネスにおける意味を解説

pivotとは英語で「支点」や「回転軸」などを意味する単語です。
バスケットボールをやったことがある人なら、聞き馴染みのある言葉でしょう。
軸足を動かさずもう一方の足を移していく動作のことをピボットと言います。

ビジネスシーンにおけるピボットの意味

ところで、このピボットという言葉は最近ビジネスシーンでもよく聞かれるようになりました。
いろいろな人が思い思いに使っている言葉なので、厳密に意味が決まっているわけではありません。
しかしながら、一般的には「路線変更」や「方向転換」といった意味で使われることが多い言葉です。
ビジネスの場面で行き詰まったり、業績が思うように伸びなかったりするときに、違った業種に移るときにピボットという言葉が使われます。
元はと言えば流行の移り変わりが激しいシリコンバレーでよく使われていた言葉でした。
近年ではシリコンバレーに限らず、世界のあらゆる場所で事業の路線変更が求められることが多くなってきたので、それとともにピボットという言葉が使われることも増えてきているのです。

ピボットを企業が行うメリットとデメリット

路線変更は企業にとって勇気のいる選択です。
会社の業績を上げることもあれば、営業成績を下げるリスクも孕んでいます。
事業がうまくいかないからピボットだ、とすぐさま決断する前に、ピボットのメリットとデメリットをしっかりと押さえてから熟考するようにしましょう。

ピボットのメリット

ピボットのメリットはうまくいっていない事業をやめられる、というものが挙げられます。
事業を続けるにもある程度資金をかけなければいけません。
一方で、投資した分利益が出なければ企業経営は立ち行かないのです。
昔はうまくいっていた事業だけど、最近はあまり利益が出ていない、となれば会社にとっては負担になってしまいます。
そういうときピボットをすればそれ以上損失を出すことは避けられるでしょう。
またピボットすることによって新しい顧客を獲得することもできます。
あの企業がこんな事業を手掛けるのか、といった話題を作ることで、より販路を拡大できるチャンスを作ることができるのです。

ピボットのデメリット

先程ピボットをすることで新しい顧客が獲得できる、という話をしました。
一方で、これはデメリットと隣り合わせでもあります。
というのも、従来の事業のファンであった顧客が、新しい事業にもついてきてくれるとは限りません。
この事業をやってくれる企業が好きだったのに、それをやってくれないなら投資する意味はない、ということで離れていく可能性も十分にあるのです。
また、何度もピボットを続けていると軸のない会社だとみなされかねません。
どうせこの事業もいずれ切り捨てるのだろう、とみなされてしまっては顧客を獲得することはできないのです。
ピボットする際は慎重にメリットとデメリットを考慮するようにしましょう。

ピボットの日本、世界での成功事例を紹介

ピボットすることによって大成功を収めた企業は多数あります。
ここからはそれらの事例をいくつか見ながら、どのようにピボットすれば成功するのかを学んでいきましょう。

YouTube

YouTubeといえば世界最大の動画共有サイトとして知らない人はいないでしょう。
もっとも、YouTubeが立ち上げ当初から順調にいっていたわけではありません。
元々YouTubeは「Tune In Hook Up」という出会い系サイトとしてスタートしました。
とはいえ、以前から人気のあったほかのサイトを真似たようなデザインだったのでユーザーは少なかったのです。
あるときYouTubeは一大決心をしてあらゆる動画を投稿できるサイトに生まれ変わらせました。
その結果、世界最大の動画共有サイトの地位を手に入れたのです。

ミクシィ

ミクシィは2004年にSNSサイト「mixi」を設立したことで一躍有名になった会社です。
気軽に誰とでも交流ができるサイトとしてあらゆる人が利用していました。
しかしながらTwitterやFacebookといったより手軽に利用できる海外発のSNSが普及するようになると、mixiの立場は危うくなります。
そこでミクシィはピボットを決断し、スマートフォンゲーム市場に参戦しました。
そしてモンスターストライクをリリースし改めて若者に支持される会社としてカムバックしたのです。

ピボットを形成する「型」について?

一口にピボットといっても、やり方はさまざまです。
とにかく路線変更すれば良い、という風に場当たり的にピボットを行ってしまうと失敗確率は高まってしまいます。
ピボットの型をしっかりと覚えて、どれが自社に合っているかを見極めておきましょう。

テクノロジーピボット

事業を成功させるにあたって、技術革新は欠かせません。
従来ならうまくいくはずもなかったけれど、新たに技術が開発されたからうまくいく事業というものはあります。
たとえば、インターネットなどはその最たる例でしょう。
これまで温めていた構想をインターネットが普及したことによって実現した会社は数多くあります。
このように、技術革新とともに路線変更するピボットのことをテクノロジーピボットと呼ぶのです。

顧客ニーズピボット

どんな事業を手掛けるにしても顧客がいなければ成功はしません。
従来は顧客がたくさんいたけれど、徐々に少なくなり始めている、という場合はニーズがなくなっている可能性があります。
そういうときは顧客が集まり始めている分野に路線変更すると良いでしょう。
このようなピボットのことを顧客ニーズピボットと呼びます。

ピボットピラミッドについてわかりやすく解説

うちの会社もピボットしたい、とはいえノウハウがないのでどうすれば良いかわからない、という方は多くいるでしょう。
ピボットには手引きとなる考え方であるピボットピラミッドというものが存在します。
ピボットするにあたって踏まえておくべき5つの要素がピラミッド型に並んでいて、これらを順番に考えていけばピボットが成功しやすくなる、という画期的なメソッドです。
まず1つ目に顧客のピボットがあります。
自分の顧客がどれくらいいるのか、新しい分野にはどれくらい顧客がいるのか、といったことを考えましょう。
2つ目に課題のピボットがあります。
自社がどんな課題を抱えているのか、といったことを考えるのはどんな場面においても欠かせません。
3つ目に解決のピボットがあります。
2番目で出した課題を解決する方法を考えていきましょう。
4つ目にテクノロジーのピボットがあります。
解決方法を実現できるテクノロジーがあるかどうかをこの段階で考えていかなくてはなりません。
5つ目にグロースのピボットがあります。
本当に他所の分野に行って成長できる余地があるのかどうかをこの段階で評価しましょう。

ピボットの実行は慎重に

事業がうまくいっていないとすぐにピボットを考えがちです。
しかしながら、ピボットすれば何もかもうまくいくとは限りません。
慎重に現状を評価しながら、確実に成功できる計画を練るようにしましょう。

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