EUDとは?定義、推進するメリットや注意点を解説!おすすめEUCツールもご紹介!
業務のIT化が進んだこと、ノーコードツールやローコードツールの登場によって、ITの専門家だけでなく、エンドユーザー自身もシステム構築・運営に関わることが求められています。
そのような背景から、注目されるようになったのが、EUD(エンドユーザーコンピューティング)です。
本記事で、EUDの定義、EUCを推進するメリットや注意点などについて、わかりやすく解説していきます。
また、おすすめのEUCツールもいくつかご紹介いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。
EUCとは?初心者にもわかりやすく簡単に解説
最初に、EUCの概要について、見ていきましょう。
EUC(エンドユーザーコンピューティング)の意味
EUCは、「End-User Computing」の頭文字を取った言葉です。
それぞれの単語に意味については、以下の通りです。
End-User(エンドユーザー)
エンドユーザーは、商品やサービスを実際に利用する人や組織のことです。
ITの分野においては、ソフトウェア、アプリケーション、システムなどを業務で使用する社員や部門のことを指しています。
Computing(コンピューティング)
コンピューティングは、コンピュータを使って、数値計算、データ処理 、情報処理などを行うことです。
EUCの定義
EUCの定義は、「情報システム部門以外の担当者が自主的にコンピュータを利用して、業務に役立てること」です。
つまり、EUCは、プログラマーやシステムエンジニアなどのようにプログラマーやシステム開発の知識やスキルを持たない一般社員が、業務で使用するシステムの開発や運営を携わることなのです。
EUCを推進するメリットとは?
自社内で、EUCを推進していくことには、さまざまなメリットがあります。
具体的にどのようなメリットが得られるのかについて、項目ごとに見ていきましょう。
①業務に必要なシステムを自分たちで開発できる
EUCを推進する一番のメリットは、業務に必要なシステムを自分たちで開発できることです。
システム開発担当者は、部外の業務についての理解が不足してしまうことがあります。
そのため、エンドユーザーと開発者の間で、必要な機能についてのズレが生じてしまうことがあるのです。
システム開発担当者に依頼せずに、システムを自分たちで開発すれば、そのようなズレが生じることがなくなります。
本当に必要な機能を搭載したシステムが開発できるため、エンドユーザーのストレスも軽減しますし、業務効率や生産性のアップも期待できるようになるのです。
②システム管理担当者の負担が減らせる
システム管理担当者の負担が減ることも、EUCを推進するメリットです。
本来の業務に集中できるようになるため、働き方改善にもつなげることができます。
③社員のリテラシーが向上する
エンドユーザーがシステムやプログラムを理解することによって、社員のITリテラシーが向上するというメリットも得られます。
④業務が見える化
自分たちで開発・管理を行うことで、情報システムが見える化し、データ構造なども把握しやすくなります。
⑤その他のメリット
そのほかにも、社員同士で情報共有がしやすくなる、コストや時間を削減できる、システムを簡素化することで管理・保守が行いやすくなるといったメリットもあります。
EUCを推進する際の注意点や留意点
EUCにはメリットだけでなく、デメリットもあります。
どんなことに注意したら良いのかについて、見ていきましょう。
①シャドーIT(shadow IT)のリスク
EUCのデメリットは、シャドーITのリスクがあることです。
シャドーITは、企業や組織で使用するソフトウェアや機器を社員や各部門が独断で導入することや使用することで、経営管理責任者やシステム管理部門が把握・管理ができなくなってしまうことです。
シャドーITには、セキュリティ対策ができなくなる、トラブルが起こったときに責任が取れなくなるといったリスクがあります。
そのような事態を避けるためには、システムの開発や導入に関する明確なルールを定めて、徹底することが大切です。
②かえって効率が悪いシステムになる可能性
エンドユーザー主体で開発を行うと、過度な装飾やグラフ化することに力を入れるなど、見た目にこだわりすぎてしまう場合があります。
見た目を重視しすると、効率の悪いシステムを開発してしまうことにもなりかねないため、注意が必要です。
③そのほかのデメリット
そのほかにも、情報システム部門の努力が無駄になってしまうことやかえって負担が増えるといったデメリットもあります。
EUCとEUDとの違いを簡単に解説
EUCと似たような言葉としては、「EUD」があります。
両者の違いについては、以下の通りです。
EUDとは?
EUDは、「End-user development」(エンドユーザー・デベロプメント)の省略形です。
EUCとEUDの相違点は「積極性」
EUCとEUDのどちらも、エンドユーザー自身がシステムの開発に積極的に関わっていくことを指しています。
両者の違いは、積極性です。
EUDでは、Excelなどのオフィスソフトのマクロ機能でアプリケーションをカスタマイズするなどして、積極的にシステムの開発に取り組んでいきます。
EUC推進に便利なおすすめEUCツールをご紹介
最後に、EUCを推進していくうえで、便利なEUCツールをいくつかご紹介いたします。
①クラウドERP freee
クラウドERP freeeは、freee株式会社が提供しているクラウド型のERPソフトウェアです。
ワークフロー機能、レポート機能、Slackなどの外部ツール連携機能などたくさんの便利な機能が揃っているのが特徴です。
このソフトウェア一つだけで、経理、人事、労務などさまざまなバックオフィス業務を一元管理できます。
さらにAI(人工知能)も搭載されており、集計や入力作業、仕分けの自動化も可能です。
社内のさまざまな業務を効率化する場合やリアルタイムで経営状況を把握したい企業におすすめのツールです。
②iDempiere(アイデンピエレ)
iDempiereは、株式会社ネオシステムが提供しているERPソフトウェアです。
オープンソースのERPソフトウェアとなっているため、低コストで導入できるのが魅力です。
業務ワークフロー機能、権限や操作ログ管理といった内部統制に関する機能が充実しているのが特徴です。
そのほかにも、購買管理機能、在庫管理機能、販売管理機能などたくさんの機能が用意されています。
多言語対応、多通貨に対応しているため、海外に拠点を持つ企業にもおすすめのツールと言えます。
まとめ
今回は、EUCの定義、推進するメリットや注意点などについて解説いたしました。
EUCは、エンドユーザー自身がシステムの開発に関わっていくという考え方です。
このEUCを社内で推進していくことで、業務に必要なシステムを自分たちで開発できることや社員のリテラシーが向上するといったメリットが得られます。
業務が見える化、社員同士で情報共有しやすくなることも、EUCの利点です。
ただし、シャドーITのリスク、かえって効率が悪いシステムになるおそれがある、情報システム部門の努力が無駄になる可能性があるといったデメリットもあるため、注意が必要です。
社内でEUCを推進していく際には、本記事でご紹介したツールもぜひ活用してみると良いでしょう。