今回は「キャズム」という概念について解説いたします。
技術進化が激しい現代におけるマーケティングの重要なキーワードですので、しっかりと覚えておきましょう。
キャズムとは何か?
「キャズム理論」とは、導入期で成功した製品が、成長期の中であらゆる制約や条件に負けて溝(キャズム)に落ち、消えていくという現象を捉え、そのキャズムをいかにして乗り越えるかを考えるマーケティング内の理論です。
アメリカの組織理論家であるジェフリー・ムーア氏が、著書「キャズム」の中で提唱し、知られるようになりました。
冒頭でも述べましたが、キャズムは、技術進化が激しい現代の「ハイテクマーケティング」において活用される概念です。
キャズム理論の大前提とは?
キャズム理論を知る前に、前提となる「イノベーター理論」を知っておく必要があります。
イノベーター理論とは、アメリカの社会学者、「エベレット・M・ロジャース」によって提唱された、新商品や新サービスが市場へ浸透する際の理論です。
「イノベーション=新しい概念・新しいもの」というベースに基づき、それらがどのように普及していくかを実証的に研究したことで、イノベーター理論は以下5つに分類されました。
- イノベーター(革新者:革新的採用者)
- アーリーアダプター(初期採用者:初期少数採用者)
- アーリーマジョリティ(前期追随者:初期少数採用者)
- レイトマジョリティ(後期追随者:後期多数採用者)
- ラガード(採用遅滞者:伝統主義者)
これら5つの段階でイノベーションは普及していくわけですが、それぞれ5つの顧客群は、特有の共通した思考・傾向、すなわち顧客ニーズをを持っています。
この5段階における「アーリーアダプター」から「アーリーマジョリティ」に進む際のハードルは非常に高いとされており、これがすなわち「キャズム」に該当するのです。
「キャズム理論」は、この大きなハードル=キャズムをどのように越えるかを理論づけしたものになります。
キャズムを越えるにはどうしたらいい?
このキャズムを乗り越えればいいのでしょうか?
以下、代表的な方法を3つ解説します。
アーリーマジョリティへのアプローチをする
キャズムを越えるには、メインストリームの導入分であるアーリーマジョリティへ存在をしっかりとアピールすることが重要です。
アーリーマジョリティに存在をしっかりと伝えることは、キャズムを乗り越える上で非常に有効な手段となり得ます。
アーリーマジョリティへのアプローチで重要な点は主に以下の通りです。
- 利用する時のリスクを最小化して提供する
- 数字を提示し具体性を持たせる
- 実績を強調し優位性を持たせる
ユーザビリティに配慮する
ユーザーにとって使いやすく、便益が期待できる商品であることは、メインストリームに参入する上で必要不可欠です。
イノベーター・アーリーアダプターは多少ユーザビリティに問題があっても、商品に関心を持ってくれればうまく使いこなしてくれますが、世の中の大半の人はそうはいきません。
そのため、顧客の意見を十分に聞き、改善を図り、トライアンドエラーを繰り返し、良いUI・UXを提供する努力を怠ってはいけないのです。
市場を狭く定義しシェアをとる
キャズムを乗り越えるためには、商品の改良・改善とともに、マーケティング手段を工夫することも重要視されます。
その最良の手段とは、「市場を狭く定義して、確実なシェアをとる」ことです。
狭い市場におけるシェアを獲得したら、同じように隣の市場も狭く定義し乗り込み、結果的に、狭い市場を1つずつ確実に自分たちのものにすることを目指します。
そうすることで売上に直結し、キャズムを乗り越えたことを実感できるはずです。
まとめ
以上、「キャズム」の概念・理論について解説いたしました。
昨今のマーケティングにおいて避けては通れない概念であることをご理解頂けたと思います。
キャズムを然るべき手段で乗り越えることが、メインストリームに商品を提供する重要な要素であることを覚えておきましょう。
キャズムに関するアンケート
調査概要
対象者:全国の30歳〜59歳の男女/経営者・役員
サンプル数:300人
居住地:宮城県,東京都,愛知県,大阪府,福岡県
調査方法:ネットリサーチ
アンケート実施日:2023年2月15日
調査メディア: STRATE[ストラテ]:https://strate.biz/
【質問:キャズムという言葉の意味を知っていますか?】
質問に対しての回答選択肢は以下
1.知らない
2.知っているが、正しく意味を理解していない
3.知っており、正しく意味を理解している
30代〜50代の男女を対象とした「キャズムという言葉の意味を知っていますか?」というアンケートで最も多かった回答は「知らない」で77%でした。
次いで多かったのが「知っているが、正しく意味を理解していない」と回答した方の12%。「知っており、正しく意味を理解している」という回答が11%で、キャズムという言葉を知っていると回答した方は全体の3割近くに及びました。
【キャズムという言葉を知っており、正しく意味を理解していると回答した割合は30代がもっとも高く、17.65%】
キャズムという言葉を知っており、正しく意味を理解していると回答した割合を年代別でみてみますと、30代が最も高く17.65%、次いで40代の8.82%、50代が6.25%という結果になりました。
30代経営者の2割近い方がキャズムという言葉を知っており、正しく意味を理解していることが分かりました。
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