本記事では、給与計算についてQ&A方式で解説しております。
給与計算についてよくある疑問
A.
【給与計算】
勤怠管理のデータから毎月の給与額や手取り額、源泉徴収額を計算します。
毎月の給与計算と一緒に、賞与(ボーナス)の計算を依頼するのが一般的です。
さらに給与や賞与の振込みを、給与計算と賞与計算とあわせて依頼できるケースもあります。
【納税や保険料の計算】
残業代や雇用保険料、社会保険料、所得税、住民税を算出する業務です。
毎月の給与から控除する住民税更新を委託することもあります。
1年に1回なので、住民税更新だけを外部委託するケースも多いです。
【年末調整】
源泉徴収票の発行や給与支払報告書の提出、申告書の取りまとめ、控除額の計算などを委託します。
従業員からの問い合わせ対応も委託が可能なケースが多いです。
ただし、税務書類の作成や税務相談など、税理士にしか委託できない業務が含まれることがあるので注意しましょう。
Q.給与計算を委託できる外注先にはどんなところがある?
A.
【税理士】
税務の専門家である税理士には、税務の代理・税務書類の作成・税務相談の依頼が可能です。
顧問契約している会社であれば、給与計算に対応しているケースもあります。
一方で社会保険手続きは代行できないため、社労士に委託する必要があるでしょう。
【社労士】
社労士(社会保険労務士)は、社会保険・労働関連の法律の専門家。
給与計算はもちろん、社会保険料や残業代の算出などの委託ができます。
ただし、税務の代理や税務書類の作成は税理士の独占業務なので、年末調整で依頼できるのは関係する給与計算までです。
【代行会社】
専門の代行会社(アウトソーシング)なら、従業員の人数が多くても対応できます。
税理士や社労士と比較して料金が安い傾向があるので、コストを抑えたい企業におすすめです。
一方で税理士や社労士の独占業務には対応できないケースがあります。
Q.給与計算委託の料金相場はどれくらい?
A.
【社労士に委託する場合】
社労士に給与計算を委託する場合、基本料金と従業員の人数にあわせた追加料金を支払います。
給与計算だけなら基本料金の相場は月額で3万円ほどです。
あとは従業員1人につき月額で500~600円ほどの料金がかかります。
【税理士に委託する場合】
税理士に委託する場合は、従業員数ごとの相場をチェックしましょう。
給与計算と賞与計算を依頼すると、4〜5名で年額14〜18万円ほどです。
15〜30名なら年額30万円〜45万円、40〜50名だと年額55〜75万円が相場になります。
【その他の依頼先の場合】
代行会社は月額料金を支払って委託する仕組みです。
10名なら1万5,000円~3万円、50名だと4~6万円、100名の場合は7~10万円が相場になるでしょう。
その他の業務を追加すると料金は高くなるので、正確な費用を確認するために見積もりをとってください。
Q.給与計算の委託先の選び方は?
A.
【委託したい業務を網羅できているか】
依頼できる業務の範囲は委託先によって異なります。
給与計算を代行してほしい、年末調整を依頼したいなど、依頼したい業務を決めておきましょう。
そのうえで委託したい業務を網羅できているか、確認することが重要です。
【コストパフォーマンス】
費用と業務内容でコストパフォーマンスをチェック。
給与計算の委託にかかる費用は、依頼先や業務範囲で異なります。
相場や見積もりの内訳を確認したうえで、料金に見合うと判断した委託先を選びましょう。
【対応の早さとセキュリティ対策は十分か】
給与計算を振込日に間に合わせるためには、対応の速さが重要です。
また、従業員の情報を委託先に渡すことになるため、セキュリティ対策もあわせて確認しておきましょう。
認証マークの有無や災害時のバックアップ体制を確認してください。
Q.給与計算担当者が抱える悩みとは?
A.
【給与の計算は複雑である】
職員ごとに勤務時間の差異があり、税金や保険も関係するため給与計算は複雑性の高い業務です。
時間外労働などの手当を給与に上乗せし、保険料や所得税などの各種税金と控除額を差引く必要があります。
お金に関わることなのでミスが許されず、誤っている箇所がないかのチェックも不可欠です。
支給額の決定後も、給与明細の作成と税金などの納付作業が必要です。
時間と労力を要するため、効率化が要望される業務です。
【社員情報の変更があった場合手間がかかる】
職員に扶養者が増えたり、昇給や交通費の増減などで給与は変動します。
社員の情報を更新すると共に、給与の変更作業をしなくてはなりません。
他にも時短勤務などの雇用形態の変更や、昇格による役職手当でも給与は変化します。
【業務が属人化し担当者の負担が大きい】
給与の計算には、各種保険や税関連の知識が必要です。
そのため担当者に業務が一任され、一人の職員が受け持つ作業の許容量を超えることもあります。
作業にスキルが必要なため他職員に業務が分配できず、人為的ミスが起きやすい状況が生まれます。
給与計算担当者は、物理的負担だけでなく心理的負担も増す負の連鎖に陥ってしまう可能性があります。
Q.給与計算を効率化する方法は?
A.
【給与計算を外注する】
給与計算を代行業者や社労士、税務士に外注する方法が挙げられます。
外注する場合社員の個人データを相手先に預けるため、情報流出のリスクが伴います。
委託先でどの様に社員のデータが扱われているか分からず、作業の進捗も不明瞭です。
不測の事態が起こった際、外部である発注先と連携が上手く取れずトラブルの処理が遅延する場合もあります。
【給与計算をシステムに任せる】
給与計算の担当者は、大量の入力作業と計算を同時進行で行っています。
誤りがないかチェックし、修正する作業も担当者の仕事です。
システムに作業を委ねる場合、必要項目を入力すればシステムが給与計算を自動で行います。
それにより、担当者はシステムの算出結果の確認を行えば良いだけになります。
Q.給与計算システムで効率化できることとは?
A.
【給与計算】
Excelなどに計算式を入力しなくても、基本給や残業代などを入力するだけで、システムが自動で支給額を算出します。
システム上で給与計算が完結するものを利用すれば、Web上で給与明細を確認できます。
会社の方針にSDGsがある場合は、給与明細は発行しないペーパーレス化も実現可能です。
【社会保険料の処理】
職員の基礎給与の変動や雇用形態の変化などで、社会保険料の料金は変わります。
社会保険料の変更届をシステム経由で提出すれば、給与計算の際システムが自動で保険料を変更して支給額を算出してくれます。
保険料の徴収ミスを起こしてしまうと、控除額にずれが生じ所得税の不一致にもつながります。
社会保険料の処理の効率化は、ケアレスミスの予防にも効果的です。
【経費や交通費の計算】
職員から経費や定期代などの申請があった際、書類などに不備があれば申請者に該当箇所の説明が必要です。
申し込み関連をシステム上で行うと、システムが誤りを発見し提出者にメールなどで知らせてくれます。
そのため、給与計算担当者は再提出された申請書を確認するだけで良くなります。
給与計算システムによる効率化で、申請書の往復による再計算などの徒労も防止可能です。
Q.給与計算システムでできないこととは?
A.
【勤怠の打刻・修正】
職員がタイムカードの打刻を失念した場合、申告を受けて担当職員が主導で修正作業を行います。
修正が必要とシステムが判断して承認するのは、打刻の不正に繋がるためその機能はありません。
給与計算システムではないですが、打刻ミスを防ぐシステムは存在します。
会社の入り口に打刻機を設置し、通過するだけで出退勤が記録できるシュキーンというサービスがあるので、参考にしてください。
【給与の更新】
給与の更新には、部署異動による業務内容や勤務時間の変化も関係します。
辞令などの数値化や定期化ができないのは、システムに組み込むのは困難です。
このようにディスカッションなどで人の意思により決定する事項は、システムによる自動化は難易度が高い傾向にあります。
Q.給与計算時の注意点は?
A.
【情報漏洩のリスク】
給与計算を行う際、社員のさまざまな個人情報を扱うことになります。
国土交通省によると、個人情報を扱う企業はすべて個人情報保護法が適用されます。
個人情報が漏洩してしまえば、損害賠償が発生するだけでなく、取引先などからの社会的信用の低下にもつながるでしょう。
また、社員の個人情報を漏洩させた場合は、個人情報保護法では「1年以下の懲役、または50万円以下の罰金」が課せられます。
そのため、情報が漏洩しないために適切な管理を行う必要があります。
出典:国土交通省「すべての事業者に 個人情報保護法が適用されます」、個人情報保護委員会「個人情報取扱事業者等が個人情報保護法に違反した場合、どのような措置が採られるのですか」
【計算ミスから生まれるリスク】
給与計算は、所得税や住民税など各種税金の計算も行います。
そのためミスが生じれば、税務署等の調査で後から数年分の請求が一気に押し寄せたり、追加徴税などの罰則が与えられる可能性があるでしょう。
そのため、計算ミスを起こさないように常に集中して業務を遂行していく必要があります。
Q.給与計算の流れは?
A.
【総支給額の算出】
まずは、総支給額の計算を行います。
総支給額は、以下の式で算出可能です。
基本給+時間外手当+各種手当=総支給額
総支給額を計算するために必要な項目の説明は、それぞれ以下になります。
-勤務時間
シフト表やタイムカードから勤務時間を算出します。その際、「残業」と「休日労働」について注意深く確認します。
残業には、「法定時間外残業」と「法定時間内残業」の2種類が存在し、とくに前者に対しては割増賃金を支払う必要があるでしょう。
また、就業規則で日曜日が法定休日とされている場合は、土曜日は「法定外休日」となり、割増賃金が発生しない場合があるため、覚えておきましょう。
-時間外手当
時間外手当は、「労働時間 × 1時間あたりの賃金 × 割増率」から計算します。
労働時間は、残業や休日出勤、夜勤などで働いた時間であり、1時間当たりの賃金は「(月給)÷(1か月の平均所定労働時間)」から計算します。
また、割増率については残業・夜勤で25%以上、月60時間以上の残業で50%以上、休日労働で35%となります。
-各種手当
社員は、基本給とは別で交通費や皆勤手当てなども含まれる可能性があります。
これらの手当てについては、計算方法が就業規則にあるため、よく目を通しておきましょう。
【控除額の算出】
控除額は、住民税+社会保険料+源泉所得税+その他控除で算出します。
控除額は、税金と社会保険料を指し、社員の給与から天引きして企業が代理で期間に納税する仕組みです。
それぞれ算出方法があるため、確認しておきましょう。
【手取額の算出】
最後に、手取り額の算出を行います。
手取り額は、以下の計算方法で算出可能です。
手取り額 = 総支給額-控除額
手取り額を社員の口座に振込み、計算の詳細を記載した給与明細を配布すれば、業務は終了です。
Q.給与計算担当者に求められるものは?
A.
【業務遂行の正確性】
給与計算では、少しのミスが情報漏洩やペナルティ発生の原因となるため、業務遂行の正確性が求められます。
情報が漏洩した場合、企業の信頼低下や損害賠償などが発生してしまう可能性があります。
また、ミス一つで追加徴税などが課せられるため、注意深く業務に取り組まなければなりません。
【給与計算に関わる法律などの専門知識】
給与計算には、法定時間外残業や割増賃金率など法律にかかわる専門的な知識が多数求められます。
法律について適切に理解せず、給与計算を行っていると法律に違反してしまい、罰則が課せられてしまうこともあるでしょう。
そのため、給与計算担当者は、給与計算にかかわる法律などの専門知識を保有している必要があります。
Q.中小企業が抱える給与計算の悩みは?
A.
【業務が属人化する】
少人数の職員で会社を切り盛りしていることの多い中小企業では、給与計算を社員1名に任せる傾向が高いです。
1名のみが給与計算担当の場合、その職員のスキルアップは図れます。
しかし、急病などでその社員が欠席した場合に問題が浮上します。
欠勤が連続してしまうと給与計算が止まってしまうため、給金の未払いにまで発展する可能性があるでしょう。
【ミスが発生しやすくなる】
給与計算担当者が1名で、当人のみで業務の確認作業を行う場合が、ミスの発生しやすい環境です。
業務上のミスを予防するには、二重チェックの体制が不可欠です。
金銭を扱う業務を全て個人に任せるのは、給与の振り込みミスや不正防止の観点からもよろしくありません。
【繁忙期における人手不足】
常時でさえ業務の進行にひっ迫傾向のある中小企業では、繁盛期の人材不足が深刻です。
通常の業務なら雇用して人員を補えば良いですが、給与計算の作業に当たる職員には専門知識が必要です。
現在人事や労務業界では、慢性的な人手不足に陥っています。
給与計算のスキルを持つ人材は貴重なため、大手企業との争奪に勝てず雇用が困難なのが現状です。
Q.中小企業が行う給与計算効率化にはどのような手段がある?
A.
【給与計算を外注する】
自社内で給与計算を行うということは、その担当職員のみが社内全員の給与を把握しているという状態です。
中には個人情報を給与担当に握られていると感じ、要らぬ不信感を抱く職員も存在します。
そこで外部に給与計算を委託することにより、社内の人事労務職員が他社員の給与を知ることはなくなります。
給与担当職員も、社員全ての個人データを秘匿するストレスから解放されます。
【給与計算システムを導入する】
給与計算は自社内に関する事なので、他の業務と異なり利益が生まれることはありません。
システムに給与計算を任せ、職員は収益性のある業務に専念させましょう。
それにより作業が効率化し、会社の利益上昇が見通せます。
【自社リソースで行う】
外注やシステムに頼らず、自社で人的資源を確保する方法です。
アウトソーシングを行うと、初期費用や月額費用が発生し、情報流出の危険性も高まります。
雇用による人材確保が困難な場合、自社で適正のある職員を教育し給与計算担当を増やす手法もあります。
Q.給与計算を効率化する手段の選択方法は?
A.
【効率化したい業務内容から考える】
給与計算にかかわるすべてを効率化するのではなく、効率化したい業務の優先度を考えましょう。
一度にすべてを改善しようとすれば、コストや時間が膨大になってしまうため、現実的ではありません。
そのため、業務の規模や費用対効果を元に改善の必要性があるか検討する必要があります。
【企業規模から考える】
給与計算を効率化したい場合、システムの機能やプランが自社の社員数や雇用形態など企業の規模に適しているかを確認しましょう。
数百人規模であれば、柔軟にカスタマイズができる自由度の高いERP型が適切な場合もあります。
またベンチャー企業である場合は、コストを抑えつつ、組織の成長に合わせてさまざまなシステムとの連携を強める方がよい場合もあります。
Q.中小企業におすすめの給与計算サービス・システムは?
A.
【freee人事労務】
まずお勧めするのは、クラウド会計サービスとして高い知名度を誇る「freee 人事労務」です。
勤怠管理や給与計算などさまざまな業務をシステム一つで効率化できます。
スタートアップから中小以上まで企業規模に合わせたプランが提供されているため、業種規模問わず使いやすいです。
【フリーウェイ給与計算】
「フリーウェイ給与計算」は、コストパフォーマンスの良さが魅力的な給与計算ソフトです。
5名まで無料で使用でき、6名以上から月額1,980円で人数無制限で利用できるのにもかかわらず、給与計算に関するさまざまな業務の効率化を実現できます。
そのため、コストを抑えて業務の効率化を図りたい中小企業にもおすすめです。
【マネーフォワード クラウド給与】
「マネーフォワード クラウド給与」は、業界最多クラスの連携サービスを誇る給与計算ソフトです。
勤怠管理や経理などのマネーフォワードが提供するシステムとの連携ができるほか、外部のツールとも連携できる点が魅力です。
年末調整や帳票の出力まですべてWeb上で簡潔可能であるため、給与計算の効率化を実現できるでしょう。
Q.給与計算を自動化するメリットは?
A.
【複雑な業務を簡易化し他の業務の時間を確保できる】
給与計算システムの1番のメリットは、何と言っても給与計算の業務の簡易化です。給与計算にかかる作業のほとんどは自動化されることになるため、これまで費やしていた時間を他の業務に充てることができるようになります。
【法改正時の対応業務が楽になる】
給与計算システムは法改正にも対応しているので、急な法改正による源泉所得税率や保険料率の変更などに対応しなくてはならなくなったという場合でも余裕を持って業務を行うことができます。対応が漏れてしまい計算ミスをしてしまうという心配もなくなります。
【明細書などの書類を簡単にプリントできる】
給与計算システムの機能の1つに給与明細などの書類を必要とする書式で印刷することができるというものがあります。従業員名と書式を選択するだけで自動でレイアウトされるので、自分で書類を1から作成する必要がなくなります。
Q.給与計算を自動化するデメリットは?
A.
【コストがかかる】
給与計算システムだけの問題ではありませんが、システムを新しく導入するということは新たなコストが発生するということです。システムのタイプによっては初期費用が必要になったり、月額費用が発生したりします。費用をかけずしてシステムを導入することは不可能なので、予算が合うかどうか、費用対効果がプラスになるかどうかをよく検討しましょう。
【情報の消失や漏洩のリスク】
給与計算をシステム化するということは、情報が全てデータ化するということです。紙で保管するのとは違い、データにして保管すると情報漏洩のリスクはもちろんですが情報の消失のリスクも高まります。セキュリティ効果の高いソフトを選んだり、バックアップ機能があるシステムを選べばリスクは減少します。
【独自制度への対応などカスタマイズが困難】
給与計算システムには初めから給与計算を行う機能が搭載されています。その機能が自社と合えばいいのですが、求めるものと合わない場合もあります。カスタマイズができることを売りにしているものもありますが調整するのが難しく、独自の規定に対応できないという場合もあるため事前の確認が重要です。
Q.各給与計算システムのメリットは?
A.
【Exelのメリット】
Excelのメリットは手軽に導入ができることと、元々あるものを利用するため追加の費用が発生しないことです。無料で使えるテンプレートがインターネット上で多く公開されており、テンプレートを活用してアレンジすることで、簡単に自社の規定に合うものを作ることができます。
【クラウド型システムのメリット】
クラウド型の給与計算システムのメリットは、導入費用が安いことと提供会社のサポートやアップデートで計算の作業をスムーズに行えることです。インターネットに接続することができる環境なら端末さえあればどこからでもアクセスが可能です。
【オンプレミス型システムのメリット】
オンプレミス型の給与計算システムは、自社の規定に合わせたカスタマイズができること、自社でサーバーを保有するため、高いセキュリティ効果を持つことがメリットです。複雑な給与の規定があったり、セキュリティを重視したい場合におすすめです。
【インストール型システムのメリット】
インストール型の場合はローカル環境にソフトウェアがインストールされるため、ネットワークでの情報漏洩や不正アクセスなどのリスク軽減が可能です。それだけではなく、オフラインでの作業ができるためインターネット環境が必要ありません。処理速度も高速なので、業務の効率化が叶います。
Q.労務管理の業務とは?
A.
【勤怠管理】
従業員の勤怠・就業状況の管理を行うのが勤怠管理です。出勤・退勤時間、休憩時間、出社日数を把握して、就業規則で定められた時間内で就業できているか、法律を守れているかどうかを確認します。給与計算にも大きく関わる業務なので、労務管理の中でも重要とされる業務の1つです。
【給与計算】
決められた日付までに給与の計算を行うのが給与計算の業務です。毎日の業務ではないため、締日を過ぎてから行うことが多いです。日々の業務と併行することがほとんどであり、担当者は他の業務と兼任しています。給与の支払日が1日でも遅れると生活に支障をきたすこともあるため、正確さとスピードが求められます。
【社会保険や年末調整手続き】
お金が関わる業務は給与計算だけではありません。新入社員が決められた労働時間や労働日数などの保険加入の要件を満たしている場合は申請を行います。労務管理で行われている保険の手続きは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険などがあります。
また、年末には年末調整の手続きを行います。従業員から書類を集め、データ入力や問い合わせの対応などがあります。1年に1度とはいえ、かなり大変な業務です。
【その他】
他には福利厚生業務や安全衛生管理などがあります。福利厚生業務は住宅手当や慶弔時の見舞金などもらって嬉しいものなどがあります。従業員の生活をサポートするために欠かせません。安全衛生管理の代表的なものは定期健康診断です。従業員の健康面・精神面の衛生管理として年に1回行われています。
Q.労務管理を楽にする給与計算システムの機能とは?
A.
【給与や賞与の計算】
給与計算システムの機能としてまず挙げられるものに給与・賞与の計算があります。正社員・パート社員・アルバイトなど多様な雇用形態に合わせた設定や複雑な計算式も設定できるようになっています。入力する手間が省けるため、作業効率が大きくアップします。給与計算に必要な就業データは、勤怠管理システムやCSVデータから取り込むことができるのでより簡単です。
【保険料の計算】
各料率に基づき、健康保険・厚生年金保険・雇用保険などの社会保険料を自動で計算することができます。
健康保険は協会けんぽと組合健保の両方に対応しており、複数料率を保持できるようになっています。拠点の所在地・加入組合ごとに料率を設定できるため、所在地によって加入しているところが違うという場合も対応できます。
労働保険も、労災保険と雇用保険を自動計算するようになっています。複数の事業に対する料率の設定ができるのはもちろんですが、二元適用事業にも対応可能です。
【明細書の発行】
給与計算システムでは給与明細の印刷も可能です。中には、給与明細が書かれた紙を出すだけではなく、シールをはがして閉じるタイプの明細書、封筒とセットで使える明細書などバラエティに富んだ給与明細を印刷できる給与計算システムもあります。
ただ印刷するだけでは物足りないと感じている場合や、印刷したらただ渡すだけの状態にしたいという場合におすすめです。
Q.労務管理を楽にするシステムの選び方は?
A.
【サポートが充実しているか】
給与計算は主に毎月の締め日や振込の前後、年末に行います。そのため、その時期になるとトラブルが発生しやすくなります。
あらかじめ対応できる時間帯などを確認しておくのはもちろんですが、メール・電話・チャットなど対応してもらえる窓口の種類や返事にかかる日数なども確かめておくといざトラブルが起きたときにスムーズな対処が可能です。
【会社の規模や自動化したい業務にマッチしているか】
給与計算ソフトの機能は、総支給や社会保険の控除額を計算するだけではありません。源泉徴収票を作成したり、マイナンバー管理や労務管理など、様々なことができるようになっています。
ここで重要なのは、自社には給与計算システムのどの機能を必要としているのかということです。必要な機能に絞ってシステムを選べば、費用もかなり抑えることが可能です。
自社の規模や導入の目的について今一度考えてみましょう。
【操作性が優れているか】
社内に導入するシステムは色々な担当者が扱います。そのため、操作を覚えてもらうための一定の時間が必要です。操作性が低いものだと、操作が難しく覚えるのにも時間がかかるため教育コストがかかってしまうのです。
操作性は実際に操作してみないとわからないことです。操作を実際に行うために、トライアルで一度使ってみることをおすすめします。
Q.給与計算を自動化して業務効率化を実現した事例は?
A.
【事例①】
ある小売業の企業は、完全カスタマイズのシステムを利用していたものの、コストが高いことを負担に感じていました。カスタマイズしていた機能をパッケージ内のシステムで完結できる給与計算システムを導入したところ、コストが減り、社内にも喜びの声が出ました。
【事例②】
ある菓子製造業の企業は、多い時は月に80名ほどの給与計算をしていました。約6時間かかっていた給与計算時間が、給与計算システムを導入したところ約1時間30分で終わるようになりました。それだけではなく、会計事務所への報告や関連の行政に見せるための資料作成の時間がほぼゼロになってびっくりしています。
Q.給与計算の外部委託でお願いできることとは?