アパレルECサイト大手のGILTでの限定キャンペーンや、クーポンサイトのグルーポン(現在はサービス終了)での限定割引クーポンを利用した経験がある方は多いのではないでしょうか?
このような期間限定でキャンペーンを開催したり、割引クーポンを発行する手法をフラッシュマーケティングと呼びます。
本記事ではフラッシュマーケティングの販売形式や実際の事例、メリット・デメリットを踏まえて、フラッシュマーケティングについて把握しましょう。
フラッシュマーケティングとは
フラッシュマーケティングとは、期間や時間限定で利用できるクーポンの発行やキャンペーンを実施する、インターネットを中心としたマーケティングの手法です。
50%〜90%の大幅な割引があることから、フラッシュマーケティングは集客性の高さが魅力でしょう。
フラッシュマーケティングは幅広い業者のECサイトで実施されていて、フラッシュセールの利用には会員登録が必要な場合が多いため商品やサービスの販売と同時に、顧客の性別や年齢の分析にも役立ちます。
フラッシュマーケティングの販売形式について
フラッシュマーケティングの主な販売形式は、モール型ネットショップ形式と共同購入型クーポン形式です。
ここでは、それぞれの販売形式について確認しましょう。
モール型ネットショップ形式
ファッション系を中心に小売販売系のECショップで多く利用されるフラッシュマーケティング手法が、モール型ネットショップ形式です。
モール型ネットショップ形式では、特定の時間に限り、会員だけが割引価格で商品を購入できます。ブランド価値を落としたくないメゾンブランドも利用するフラッシュマーケティング手法です。
共同購入型クーポン形式
共同購入型クーポン形式では、特定の時間内に規定人数が集まった場合は顧客にクーポンが発行されます。共同購入型クーポン形式は、一定の人数の集客が条件になることから、最大90%オフなど大幅な割引もある点が特徴です。
共同購入型クーポン形式は飲食店やレジャー施設、宿泊施設などが多く利用する形式で、平日の午前中など顧客が少ない時間帯を狙うケースが多いでしょう。
フラッシュマーケティングの導入事例
続いて「ショッピングモール型クーポン」と「共同購入型クーポン」、それぞれのフラッシュマーケティングの導入事例を確認しましょう。
ショッピングモール型クーポン|GILTの事例
ハイブランドも数多く出店しているモール型ファッションネットショップ「GILT」では、毎日21時から最大70%セールを実施します。商品数が豊富で、閲覧数も多く、成功しているフラッシュマーケティングの一例と言えるでしょう。
共同購入型クーポン|グルーポンの事例
フラッシュマーケティング手法として、グルーポン社は「共同購入型クーポン」を実施していました。
「共同購入型クーポン」はあらかじめ定められた時間内に、特定の購入数に達した場合に限り、割引クーポンが発行される仕組みです。
発行されるクーポンが高い割引率であることから、クーポンを利用したいユーザーは自発的にクーポンを宣伝してくれます。そのため「共同購入型クーポン」は、販売側にとってはコストがかからず大きな宣伝効果を見込める手法です。
しかし、グルーポンサイトを利用した会社がグルーポンのサービスへの信頼度を下げた事件もありました。
該当の食品店はおせちの50%オフクーポンを発行したにも関わらず、配送が遅れたり、提示内容より格段に質が落ちたおせちを発送したためです。
グルーポン社は業務改善を重ねましたが、結果的に2020年9月に日本市場を撤退しました。
フラッシュマーケティングを導入するメリット
ここでは、フラッシュマーケティングを導入する3つのメリットを確認しましょう。
即効性のある集客効果
短い期間のみ有効なフラッシュマーケティングは、ユーザーの早い意思決定が求められるため、集客効果を比較的早く実感できます。さらに開催期間が短いので、キャンペーンの実施回数自体も増えすことが可能です。
余剰在庫の売り切り
期間限定で通常価格より安く買い物できるため、「安いから」と通常は購入しない商品を買うケースがあります。
また、他の商品を購入するついでに別の商品を購入する顧客も存在するでしょう。売れ筋をあえてキャンペーンに入れることで、より「ついでの購入」も見込めます。
したがって、フラッシュマーケティングは余剰在庫を売り切るために有効です。
潜在顧客への誘導
期間限定の低価格を提示することで、既に購入を迷っている潜在顧客に対して購買を誘導できます。加えて、定期的にキャンペーンを行うと、他社より安く同じ商品を購入できるとリピーターを見込めるでしょう。
フラッシュマーケティングのデメリット·注意点
最後に、フラッシュマーケティングのデメリット·注意点を紹介します。
魅力的なメリットがあるフラッシュマーケティングですが、デメリットや注意点に気をつけて利用しましょう。
信頼度低下やトラブルには注意
先に紹介したグルーポンのおせち事件のように、提示内容と異なる結果を招くとユーザーからの信頼を失います。
また、割引後の価格として定価を表示したり、すぐに期間限定のセールを行うと景品表示法の違反に当たります。
キャンペーンの適用人数や表現の仕方に注意して、トラブルのないフラッシュマーケティングを行いましょう。
高い手数料
自社でフラッシュマーケティングを開催する場合は、手数料はかかりません。
しかし、GILTやLOCONDOなどの企業が提供するプラットフォームを利用してフラッシュマーケティングを行う場合は手数料がかかります。
有名なプラットフォームを使用することで集客力は期待できますが、利益が少なくなる点がデメリットです。
期間外の購買の減少
フラッシュマーケティングを実施していると、商品やサービスが安くなる期間以外は購入しない顧客も多くなります。
フラッシュマーケティングが購入のきっかけにもなりますが、定価での購買を促しにくくなるでしょう。
ブランディングの難しさ
フラッシュマーケティングの実現のために、商品のコストダウンを図る必要が生じる企業は多いでしょう。商品の価格を下げるためには、品質が落ちてしまいがちです。
クオリティーの低さから顧客満足度も低くなるため、フラッシュマーケティングはブランディングには不向きでしょう。
さらにフラッシュマーケティングのキャンペーンを多く実施すると、安売り店のイメージが付いてしまいます。
メリットデメリットを意識してフラッシュマーケティングを活用しよう
フラッシュマーケティングについて、販売形式や事例、メリット・デメリット・注意点を紹介しました。
集客のきっかけや余剰在庫の販売に向くフラッシュマーケティングですが、薄利多売となりやすく、ブランディングが難しい特徴もあります。
メリットとデメリットを把握して、上手くフラッシュマーケティングを活用すると良いでしょう。