マイクロD2Cとは?ビジネスとしての可能性と成功事例

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D2C」はアメリカで登場した販売モデルですが、現在は世界中に広がりを見せています。この記事では、マイクロD2Cの概念やトレンド、ビジネスモデルなどを紹介します。

マイクロD2Cとは

D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、自ら企画して製造した商品を中間流通を介することなく消費者に直接販売する形態のことを指します。D2C企業には以下のような特徴があります。

  • 商品の種類を少数に絞り、看板アイテムを設定することでブランド力を構築している
  • ECをメインの販売ツールとしている
  • SNSを活用し、顧客とのコミュニケーションを重要視する

マイクロD2Cが拡大する背景

マイクロD2Cが拡大する背景として、以下のような点が挙げられます。

  • SNSの普及が進み、従来よりも消費者と接点を持ちやすい
  • 3DプリンタやCADなどの製造ツールが発展し、小ロットからでも安価に製品を作れるようになった
  • デジタルネイティブ世代は、ECサイトでのショッピングやユニークな商品を好む傾向がある

B2BB2Cとの違い

B2Bは、「Business to Business」の略で企業間の取引、BtoCは「Business to Consumer」の略で企業と消費者間の取引を指し、どちらも「誰から誰へ」という考え方に着目したものです。

しかし、D2Cは誰と誰の取引かを示すものではなく、一般消費者に「どのように」届けるかに着目しています。

マイクロD2Cのメリットとデメリット

ここで、マイクロD2Cのメリットとデメリットを整理していきましょう。

マイクロD2Cのメリット

メリットとして以下のような点が挙げられます。

  • ECサイトのみで運営することが多く仲介コストも発生しないため、製品価格を抑え顧客への付加価値として還元可能
  • 顧客の一次データを取得し、ビジネスに反映できる
  • 会社のビジョンやブランド思想などを直接購入者に伝え、企業の透明性を維持できる

マイクロD2Cのデメリット

デメリットとして以下のような点が挙げられます。

  • 認知力を上げるためのマーケティング戦略が必要
  • コアなニーズに応える製品を作るため顧客母数が少なくなり、規模を拡大するための戦略が必要
  • オンラインで取引が完結するため、実際に商品を手にとって確認することが難しい

マイクロD2Cのトレンドと成功事例

最近ではアパレルや美容業界などでD2Cを展開する企業が多く、未上場ながら企業価値が10億ドルを超えるユニコーンと呼ばれる企業も生まれています。

成功事例の紹介

以下が、D2Cビジネスで成功をおさめている企業の例です。

Warby Parker(ワービー・パーカー)

ニューヨーク発のアイウェアブランドで、2015年にはアメリカのビジネスメディアFastCompanyで「The Most Innovative Companies of 2015(最も革新的な企業)」に選ばれました。

購入前に好きなアイテムを無料で借りられるほか、スマホのアプリで視力検査ができるなど、オンラインのデメリットを感じさせないサービスを提供しており、デジタルネイティブ世代をターゲットにした戦略が高く評価されています。

Glossier(グロッシアー)

エミリー・ウェイス氏が米ファッション誌「Vogue」編集部在籍時に立ち上げたコスメブランドです。

彼女は、月間140万人が訪れる人気ブログの運営を通して得た、化粧品に対するインサイトを基に創業し、スキンケアを重視した商品を展開しています。

Instagram世代の心を捉え、SNSを利用したキャンペーンやイベントを活発に開催しているほか、TwitterFacebookPinterestYouTubeなど、あらゆるSNSを活用した消費者とのコミュニケーションを重要視しています。

BULK HOMME(バルクオム)

日本のメンズスキンケアブランドで、ボディケア商品・ヘアケア商品・フェイスケア商品など幅広い商品を展開しています。

「体験、デザイン、信念」を理念とし、こだわりのある商品を開発するだけではなく、SNSや動画共有サービスを活用した消費者との信頼関係づくりにも力を入れています。

また、D2Cブランドながら、ロフトやイオン系列の店舗でも商品を販売するなど、独自の工夫も見られます。

D2Cはビジネスモデルとして成立するか?

最後に、D2Cのビジネスモデルを解説します。ビジネスモデルを考える上で、以下の式で表せる1ユーザーあたりの利益を最大化することがポイントとなります。

1ユーザーあたりの利益=LTV−CPA

LTVとはLife Time Value(顧客生涯価値)の略です。企業が継続的に利益を得るためのマーケティング指標であり、以下の式で表せます。

LTV=販売単価×購買回数×利益率

例えば、販売単価が5,000円で販売回数が5回、利益率が65%LTVは以下のように求められます。

LTV=販売単価5,000×購買回数5×利益率65%=16,250

また、CPAは顧客獲得単価とも呼ばれます。投資した広告費用に対して新規顧客を獲得するのにいくらかかったかを示し、以下の式で表せます。

CPA=広告費用÷獲得ユーザー数

例えば、135万円の広告費用に対し獲得したユーザーが300人の場合は、以下のように求められます。

CPA=広告費用1,350,000÷獲得ユーザー数300人=4,500

すると、1ユーザーあたりの利益は以下のように求められます。

1ユーザーあたりの利益=LTV16,250−CPA4,500円=11,750

では、ここで求めた1ユーザーあたりの利益率を最大化するためにはどうすれば良いのでしょうか。以下に、利益率を最大化するための例を示します。

  • リピート率を上げる

サブスクリプション型ビジネスの場合は顧客の退会率を下げ、売切型の場合はリピート率を上げることが重要です。

  • 顧客獲得単価を下げる

顧客獲得単価(CPA)が下がれば、「1ユーザーあたりの利益=LTV−CPA」の式で示したように、1ユーザーあたりの利益を最大化できます。

  • 顧客維持コストを下げる

顧客維持のためには、コールセンターの設置やキャンペーンの開催などの対策が挙げられますが、オンラインチャットを活用した問い合わせセンターを設置する、オンラインで完結するキャンペーンのみを開催する、などの方法により顧客維持コストを下げられます。

しかし、これらは退会率の増加やリピート率の低下を招く可能性もあるため、どの要素のコストを下げるかの見極めが必要です。

中間流通を介さないことでコストを削減できるメリットはありますが、1ユーザーあたりの利益を上げるためのハードルは決して低いとは言えません。

まとめ

現在、D2Cを活用し日本国内で売上を伸ばしている企業も多く見られるようになってきました。

D2Cビジネスを成功させるためには、既存のビジネスモデルとは大きく異なる「中間流通を介さず直接取引する」という特徴を活用するだけではなく、SNSマーケティングやブランド力の確立など、あらゆる要素を含んだ経営戦略がカギとなるでしょう。

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    執筆者  STRATE編集部