知ってるようで意外と知らない「雇用契約書」についてわかりやすく解説!

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人手不足や離職率の増加で、新規の雇い入れをする機会が増えている企業も多いのではないでしょうか。
不安定な環境を踏まえ、正社員ではなく契約社員や派遣社員、アルバイトやパートなどを雇う機会も増えています。
本記事では、雇用契約書について適正な運用ができていない企業や立ち上げたばかりの企業経営者、新たに人事担当や総務などを任された方のために、雇用契約書について初心者にもわかりやすく解説していきます。

雇用契約書とは?初心者でもわかりやすく解説

雇用契約書は労働契約書と呼ばれることもありますが、雇い入れて仕事をさせるにあたって、基本的には入社日に雇用主と労働者の間で取り交わす契約です。
正社員だけでなく、契約社員や派遣社員、アルバイトやパートなど雇用形態にかかわらず必要です。
雇用契約書には業務内容や就業場所、勤務時間や休日、給与など働くうえでの基本的な事項を記載し、両者が合意して署名捺印し、1通ずつ保管するのが基本となります。

雇用契約書の作成にも役立つ労務管理システムについて以下の記事で紹介していますので参考にしてみてください。

労務管理システムの導入メリットとおすすめ労務管理システム8選

労働条件通知書との違いについて

労働条件通知書は雇用主から労働者に労働条件を通知する書類で、労働基準法により必ず通知することが義務付けられています。
これまでは書面で交付する必要がありましたが、2019年4月からPDF化した書類を電子メールに添付するなどデジタルの方法も可能となりました。
記載事項はほぼ雇用契約書と同じですが、労働基準法により、必ず記載すべき事項が細かく定められています。
では、雇用契約書とは何が違うかというと、労働条件通知書は労働者を保護するための労働基準法によって作成と交付が義務付けられた書類であるのに対し、雇用契約書は労働契約という民法のルールに基づく契約を示す書類である点です。
民法のルールでは私人間の契約は合意によって成立し、口頭の約束でも問題ありません。
ですが、通常は雇用契約書を作成するのが一般的です。

雇用契約書の重要性|雇用契約書を交わさないとどうなるのか

雇用契約書の内容は労働条件通知書とほぼ同じであり、口頭でも良いなら、法律上作成と交付が必須の労働条件通知書だけ交付すれば、雇用契約書なんて作成しなくて良いのではと思われるかもしれません。
ですが、両者は性格が異なるので、雇用契約書を取り交わすことが後々のためにも安心です。
労働条件通知書の内容は、採用にあたっての面接や内定を出した際の打ち合わせなどで確認した事項が反映されるとしても、あくまでも雇用主が一方的に通知するものです。
これに対して、雇用契約は両者の合意に基づき取り交わされます。
雇用契約書に互いに署名、押印することで、後から「そんな業務をさせられるとは聞いていない」「契約は必ず更新されると思っていた」などのトラブルになることを避けることができます。
そのため、労働条件通知書兼雇用契約書の形にし、労働条件通知書の内容もあわせて合意してもらう形を採ることで、無用なトラブルを避け、かつ、書類を2種類作成することや管理する手間も減らすことが可能です。
1つの書類にまとめることで、労働条件通知書から雇用契約書への転記ミスや同じ項目なのに内容が違うといったミスを避けられるのもメリットです。

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雇用契約書の作成方法と再発行時の手続きについて

ここでは、労働条件通知書兼雇用契約書を作成する基本的な方法と、書き方をご紹介します。
まずは、労働条件通知書兼雇用契約書の雛形を作成しましょう。
雇い入れのたびに作成していては手間もかかり、記載漏れなども生じやすいです。
必ず記載すべき事項などを網羅した契約書面を作成し、雇い入れた人ごとに合わせて内容を埋めていくようにするとスムーズにできるでしょう。
埋めていくべき基本的な項目は以下の通りです。

入社日

新卒であれば○年4月1日などですが、労働者と事前の打ち合わせなどで合意した入社予定日を記載します。

労働契約の期間

契約する雇用に期間の定めがあるのかどうかは、労働条件通知書の必須記載事項です。
契約期間に定めがある場合はいつからいつまでの契約かを明示し、「自動的に更新する」「更新する場合がある」「契約の更新はしない」のいずれかも明記します。
試用期間がある場合はその期間を記載しましょう。

就業場所

必須記載事項として、実際に就業することになる具体的な場所を記載してください。
転勤や配置転換で就業場所が変更となる可能性がある場合、その旨を記載して合意を取り付けておくと、後々、転勤などが発生した際に了承が得やすくなりスムーズです。

業務内容

必須記載事項として、従事する業務をすべて記載します。
具体的な業務を列記したうえで、そのほか、それに付随する業務として画一的にならないようにするのが一般的です。

始業及び終業時刻

必須記載事項として、労働開始時刻と終了時刻を明記してください。
シフト制や変形労働時間制など定期的な時間で働くのではない場合、シフト勤務などのルールを記載しなくてはなりません。

休憩時間

必須記載事項として、労働時間のうち休憩時間として何分与えるかを記載します。
何時からが昼休みなど、具体的な時刻の記載は必要ありません。

所定労働時間を超える労働の有無

必須記載事項として、いわゆる残業の有無を記載します。
残業は毎日でなくても、発生する可能性があるなら、その可能性があることを明示しておくのがベストです。

休日

必須記載事項として、労働する必要がない休日を記載します。
企業の定休日や週休2日の場合ならその決まった曜日などです。
たとえば、「毎週土・日及び国民の祝日」「年末年始(12月29日~1月3日)」といった形やシフト制で曜日が決まっていないなら、「週あたり2日」「月あたり10日」といった形です。

休暇

必須記載事項として、年次有給休暇の日数や付与条件、そのほかの休暇について記載してください。

就業時点転換に関する事項

交替制勤務がある場合の必須記載事項です。

賃金

必須記載事項として基本給の金額や賃金の決定方法、支払い方法、締め日や支払い時期を明記します。
通勤手当や残業手当、住宅手当など基本給以外の手当を支給する場合には、その金額や決定方法も記載しなくてはなりません。

退職に関する事項

必須記載事項として定年の有無や年齢、定年後再雇用制度の有無、「退職する1ヶ月前までに届け出ること」など自己都合退職の手続きについて明記します。

保険制度に関する事項

健康保険、年金保険、雇用保険、労災保険の加入の有無について記載しましょう。

企業情報

企業の名称・所在地・役職・氏名を明記します。
会社代表者であるケースも多いですが、社内規定などによって雇用に関する決定権限を持っている人が、契約当事者となります。
労働者ごとに労働条件通知書兼雇用契約書を作成して、内容に誤りや漏れがないか、あらかじめ定めたルールに基づきダブルチェック、トリプルチェックで確認しましょう。
企業欄に押印または署名までしておきます。
労働者との契約を取り交わす際に書面を提示して内容を説明し、契約の締結年月日と労働者が記載すべき労働者の住所、氏名を記載してもらいます。
同じ書類を2通作成する方法もありますが、双方の押印または署名が揃ったところで契約書をコピーして、労働者にはコピーを保管してもらう形でかまいません。
近年では、労働者にはPDF化したデータをメールで送付する方法も採られています。
契約書の原本が企業で保管します。
入社年月ごとにファイリングするなど、後日検索がかけやすいように管理してください。

雇用契約書の再発行について

後日、雇用契約書の再発行を労働者から求められたら、どうすれば良いのでしょうか。
契約書というのは本来再発行すべき書面ではありません。
ですが、労働者にとっては大切な事項が定められた書類ですし、災害などで消失してしまったなど必要に迫られていることもあります。
この場合、新たに作成し直すのではなく、保管していた原本をコピーして渡すようにしましょう。
日付や内容もそのままの状態でコピーします。
もし、変更がある場合、労働条件通知書兼雇用契約書そのものの変更手続きが必要であり、再発行という形では対処できません。

雇用契約書は雛形(テンプレート)をカスタマイズしながら作成するのがおすすめ

雇用契約書は労働者との大切な合意事項を定めるものであり、漏れやミスなどがあっては大変です。
必ず明記すべき事項などを抜かしてしまわないためにも、雛形(テンプレート)を作成しておき、雇用形態や勤務スタイルなどに応じてカスタマイズして利用するのがおすすめです。
雛形も自社で作成するのではなく、専門家が作ったテンプレートを利用することで漏れやミスを防ぐことができます。
労働条件通知書は厚生労働省がホームページに掲載していますし、雇用契約書や労働条件通知書兼雇用契約書は社会保険労務士や弁護士事務所、人材紹介会社など労務のプロが提供しているので、自社で使いやすいものを探して活用しましょう。

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正しい雇用契約書を作成してトラブルを回避しよう

雇用契約書は労働条件通知書と異なり、必ず交付しなければならないものではありません。
ですが、労働条件について互いに合意したことを証明し、後々のトラブルを防ぐためにも雇用契約書を取り交わすことが大切です。
労働条件通知書兼雇用契約書としてまとめて作成すると、漏れや齟齬が生じずスムーズです。
必須事項の記載漏れなどを防ぐためにも、専門家が作成したテンプレートを手に入れ、カスタマイズして活用しましょう。

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    執筆者  STRATE編集部