ノーマライゼーションとは?厚生労働省が推進している基本理念や具体的な事例を解説

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近年、ノーマライゼーションという言葉を「よく耳にする」方は多いのではないでしょうか。このノーマライゼーションという理念は、厚生労働省も推進しており、基本的な理念や8つの原理が存在します。そこで、本記事では、これらについて具体的な事例を用いながら、わかりやすく解説していきます。

【ノーマライゼーションとは?言葉の意味と概要をわかりやすく解説】

ノーマライゼーションとは、1950年代に始まった社会理念の1つで、「健常者と障害者を区別することなく、同様の生活がおくれるように支援していこう」という意味の言葉です。しかし、最近ではその意味とは別に「お互いに特別な区別はせず、社会生活を共にしていくことがあるべき姿」という、いわば接し方や一社会人としての「道徳的考え」も含まれる言葉となっています。

またノーマライゼーションは、1950年代に北欧諸国から発祥した考えで、「当時、障害をもつ方のいる施設にて、扱いに問題があったことがきっかけとなり、被害者の親を中心に始まった運動」と言われています。そしてのちに、1959年デンマークの法律として成立することになりました。その後、スウェーデン知的障害者連盟のベンクト・ニィリエ氏が、ノーマライゼーションの理念を「社会の主流となっている状態にできるだけ近い日常生活を、知的障害者が得られるようにすること」をモットーに再定義しており、8つの原理が掲げられることになります。こうして徐々に、世界中に広まる考えとなったのです。そして現代の日本では、「福祉政策における基本的な考え方(理念)」として、広く浸透しつつあります。

【ノーマライゼーションの8つの原理とは】

ここでは、上記で述べた「8つの原理」について、それぞれの考えを解説していきます。

【(1)1日のノーマルなリズム】

これは、「自分の意志にそう生活リズムがおくれる環境であるべき」という考えです。

【(2)1週間のノーマルなリズム】

これは、「健常者と同じように、他の組織やグループに所属し、活動することができる環境が自然である」という考えです。

【(3)1年間のノーマルなリズム】

これは、「1年間における季節の変化や恒例行事、伝統行事などのイベントが、障害者であるがゆえ参加権利を剥奪されてはいけない」という考えです。

【(4)ライフサイクルでノーマルな発達的経験】

これは、「障害があっても、できるだけ健常者と同じようなライフサイクル(時期)をおくれる環境であるべき」という考えです。

【(5)ノーマルな個人の尊厳と自己決定権】

これは、「本人の意志による選択や希望は、できるだけ尊重されるべきである」という考えです。

【(6)文化におけるノーマルなセクシャリティと結婚の保障】

これは、「不必要に男女を分離せず、協力し合える環境づくりが必要である」という考えです。

【(7)属する会社におけるノーマルな経済的水準とそれを得る権利】

これは、「障害のある方でも、経済活動に参加する権利、または場所にいるべきである」という考えです。

【(8)地域におけるノーマルな環境水準】

これは、「障害のある方でも、健常者や一般市民と同様な施設環境であるべき」という考えです。

【ノーマライゼーションの考え方や理念が重要視されている理由】

ノーマライゼーションの考えが重要視される理由には、様々な意見や見解があるかと思います。ですので、本記事では『近年、「多様性を認める社会があるべき姿」といった傾向にあることが、大きく影響しているのではないか?』という見解で、ノーマライゼーションの重要性が増した理由を考えていきます。

そもそも、ノーマライゼーションに近い考えを持つ人は、ほかにも多くいたでしょう。しかし、定義やまとまった考えもなしに、行動へ落とし込むのは難しいでしょう。例えば哲学には、「物事の真理や根源を追求する学問」という意味のほかに、「知恵を愛する」という意味も含まれます。しかし、それでは議論があったさい、話はまとまらず、間違った解釈や行動を起こす人もいるかもしれません。ゆえに、現代では「物事の真理や根源を追求する学問」という定義が一般的となっています。それと同じように、福祉政策を考えるのにも、具体的な定義と、考えを行動に移しやすい原理が必要です。だから、ノーマライゼーションの考えや理念、8つの原理が重要視されているのだと考えられます。

【ノーマライゼーションとバリアフリーの違い】

違いについて話す前に、そもそもバリアフリーとは何なのか? について解説します。

バリアフリーとは、「障害者の生活に障壁となるものを取り除く」という意味をもち、障壁となるものを自力でどうにかできる環境づくりのことを言います。例えば、階段といっしょに坂も作ることで、車椅子の方でも上れるようにしたり、車椅子専用のトイレを設けたりして、障壁を取り除いたり付け加えることで「バリアとなるものを取り除こう」という意味です。しかし最近では、アメリカでおこる「人種差別」や「性的差別」に対しても使われる言葉となっています。では具体的に、「ノーマライゼーション」と「バリアフリー」は何が違うのだろうか?ということについてみていきましょう。

「ノーマライゼーション」と「バリアフリー」の違い。それは「ノーマライゼーションの考えを、具体的な行動に落とし込んだものがバリアフリー」と言えるでしょう。具体的に何が違うのか?ということを議論するのは難しいですが、そもそもあるノーマライゼーションの考えを実践し、様々な場所や地域で行われているものが「バリアフリー」なのです。ですから、戦略と戦術の違いのように、戦略=考えをねる・根本となる考え方(ノーマライゼーション)をした結果、戦術=実践に落とし込む(バリアフリー)が生まれた。と言えるでしょう。

【ノーマライゼーションの事例】

ノーマライゼーションの事例は様々あり、上記で述べたバリアフリーもその1つです。そして本記事では、その中から認知の少ない2つの事例について解説していきます。

【旅行サービス】

旅行サービスでは、障害者はもちろん、看護や介護の必要になる高齢者も対象とした旅行ができるサービスです。しかし現在では、全ての方が対象にはなっておらず、一部のプランやボランティアがある程度です。とはいえ、この活動は最初のほうで述べた「8つの原理」の3つ目である「1年間のノーマルなライフスタイル」に乗っ取ったものと言えます。ですので、まだまだ知られていない活動ですが、確実にノーマライゼーションは広まっており、その考えを実践する事例も増えていると言えるでしょう。

【ガイドヘルパー】

ガイドヘルパーは、障害者に付き添える方がいなくても、外出を手伝ってくれるサービスです。障害者の多くは、移動が困難であったり自力ではできない場合があります。そういった際に、このサービスを利用することで解決できます。また、この職も「8つの原理」の要素を兼ね備えたものであり、増えつつあると言えるでしょう。

【ノーマライゼーションの理念や手法を取り入れる際の注意点】

上記では、ノーマライゼーションの事例についてみていきましたが、これらを取り入れるにおいて、実は様々な問題や課題、注意すべき点があるのです。ここでは、それらについて「どんな問題があるのか?」そして「どんなことに注意すれば良いのか?」を解説します。

まずは、問題や課題について知った上で、どんなことに注意すべきか、という順番で考えていくことが重要です。そして、ノーマライゼーションを実践するにおいて大きな問題・課題は、次の2つあります。1つめは「知識不足」、2つめは「イメージとのギャップ」です。ここでは、それぞれ2つを解説したのち、注意点をみていきましょう。

【知識不足】

これは、ノーマライゼーションを行う側の「ノウハウが足りていない」ことを意味します。一般的な認知ではもちろんのこと、知識不足で始めてしまっては、危険が生じたりトラブルになってしまうことがあります。ゆえに、よく勉強しておくこと、そして「自分は間違ってはいないだろうか」と、常に注意しておくことが大切です。

【イメージとのギャップ】

これは、障害者や高齢者などと接する時、「イメージしていた感じと異なる」ことを意味します。例えば、理想の職業や組織、グループを想像して所属したものの、「思っていたのと違うな」と感じた経験がある方は、多いのではないでしょうか。これはそれと同じで、実際にやってみるのとイメージされるのとでは、ギャップが生じて精神的負担を抱えたり、トラブルになってしまう可能性があります。ゆえに、柔軟な考えをもっておくこと、ギャップを想定して準備しておくことが大切であり、ノーマライゼーションの実践において注意すべき点です。

【まとめ】

いかがだったでしょうか?ノーマライゼーションの考え方や理念、なぜ厚生労働省にも推進されているのかということについて、理解できたのではないでしょうか。また、本記事を読んでいただいて、少しでも読者の考えや活動の役に立てることを願っております。それでは、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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    執筆者  STRATE[ストラテ]編集部

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