「リスクヘッジ」は、ビジネスシーンにおいて非常に重要とされるスキルの一つです。
様々なシーンで聞かれるこのリスクヘッジですが、意味を正確に理解できていない方も少なくないのが現状です。
仕事を共にするチームや、クライアントとの認識をしっかりと擦り合わせるためにも、リスクヘッジの意味を正しく理解しておくべきです。
今回はリスクヘッジの意味や重要性、リスクヘッジ能力について詳しく解説します。
リスクヘッジってどいういう意味?
リスクヘッジとは、「危険を予測し、それを避けるべく対策を図ること」を意味します。
リスクという言葉には、日本語に訳すと、危険という意味とともに「予想通りにいかない可能性」という意味も含まれています。
思いがけないトラブルや、回避が難しい状況下においての悪影響をできるだけ抑える対策や、減らす手段もリスクヘッジの一つです。
言い換えると、想定されるリスクに対し、さまざまな対策や手段を打つことと言えるでしょう。
どんな業務においても、リスクヘッジを考えることは必要不可欠です。それにより事業そのもののリスクが軽減され、品質の改善に繋がります。
意識を高め、リスクヘッジが組み込まれたプロセスの構築・マニュアル化が実現されることで、より効率的な業務に繋がると言えるでしょう。
「リスクヘッジ」と「リスクマネジメント」の違い
リスクヘッジの類語に「リスクマネジメント」があります。
リスクマネジメントとは、「将来的に生じる可能性が考えられるリスクに対し、適切な対策や行動を取る」「起こり得るリスクの大きさをあらかじめ予測して、そのリスクに対応できる体制を事前に備える」と言う意味を持ちます。
リスクマネジメントは全体のリスクを軽減するために対策を打つことを指しますが、リスクヘッジはリスクマネジメントの一部として、リスクを軽減するための方法論として用いられます。
ビジネスにおけるリスクヘッジの重要性
ミスを防ぐため、「確認すること」が基本
仕事においてミスは付き物ですが、必要のないミスや損益を生むミスは、しっかりと避ける対策を打つ必要があります。
仕事におけるリスクヘッジの手段として、何よりも効果的なのが「確認」作業です。
基本中の基本の作業ですが、仕事の進め方や考え方、個人の能力など人それぞれ異なるものを、一緒に仕事をするチーム単位で、お互いの特性を踏まえてしっかりと理解し、足並みをそろえて仕事をすることが重要です。
先々の行動を見越すためのリスクヘッジ
目先のことばかりに囚われて、自身の価値観に頼って仕事を行うと、先の展開をよめずに大きい視点での業務が行えなくなる恐れがあります。
万が一の事態や思いがけないトラブルのために、予防線を張っておくことも重要です。
特に役職が上がった際など、複合的な業務をこなす必要がある場合、トラブルの芽を早めに摘んでおくべきです。
大きな挑戦をする場合の準備
日々の小さな仕事や取り組みにおいてのリスクヘッジの重要さは前述した通りですが、大きなプロジェクトや事業にチャレンジする際には、より高いリスクヘッジの能力が必要です。
ハイリターンな仕事に取り組む場合、ハイリスクを伴うことはよくあります。
なるべく、危険な橋をわたる割合を減らすことで、「ローリスクハイリターン」な仕事に変換し、失敗の可能性を限りなく0に近づけていくことが大切です。
その場合において「保険」などは分かりやすい例です。
リスクヘッジ能力を高めるコツや考え方
論理的思考
単純ではない複数の物事を合理的に整理し、因果関係を明らかにすることを「論理的思考」と呼び、英語では「ロジカルシンキング」と呼ばれます。
論理的思考能力を身につけることで、日々起こるあらゆる出来事に対し、「なぜそうなるのか?」「どうしてこうなるのか?」と自分自身に問う習慣が生まれます。疑問が解決したら「なぜそれを疑問に感じたのか?」という細部まで分析をする癖をつけると尚更よいでしょう。
多角的な思考
決められた枠の中だけでしか物事を思考できないと、気がついたらゴールが遠のいていったり、一定のアプローチしか実行できなくなり、悪い状況から抜け出せなくなる恐れがあります。
多角的に考え、視野を広げ、先入観・固定観念を拭うことで、成功につながる場合も多々あり、リスクヘッジ能力も向上します。
終わったことの考察
アクシデントや悪い事態が「なぜ起こってしまったのか?」と自分自身で考察することも重要です。
事態に対し、うまく対応ができたとしても「他にもっとよい手段はなかったか」などと振り返ることを習慣化させ、考察や分析を行うと、新しい気付きや冷静に対処できるメンタルの獲得にも繋がります。
日常から実践できるよう心がける
上記の3つを、普段から実践できるように心がけます。
アウトプットする方法としては、
- 頻繁にメモを取る
- 感じたことをブログやSNSに書き綴る
- 尊敬する先輩や上司の言動や行動を観察する
など、さまざまな方法が考えられますが、試した上で、自分に一番向いている方法を選びましょう。
リスクヘッジの実行方法
併せてリスクヘッジの実行方法もご紹介します。
リスクの洗い出し
例えば、イベントを開催する際に、「準備段階」「社内スタッフ」「外注スタッフ」「開催当日」など、あらゆるケースにおいてどのようなリスクがあるかを全て洗い出します。リスクが起こる可能性が高いタイミングや状況も確認しておきます。
リスクの分析
リスクの発生頻度や発生した場合の影響・損失を分析し、優先順位をつけます。
優先度が高いものからリスクヘッジを実施すると効率的です。
リスクヘッジの実行
リスクに応じた対策を思案します。イベント開催に例えると次のようなリスクヘッジが考えられます。
- 前日から搬入を行い、当日の時間の遅延がないようにしておく
- スタッフが当日スムーズに動けるよう、研修をしっかりと行い、マニュアルの準備をしておく
- 人手が不足して慌てないよう、スタッフを増員しておく
予算や状況をしっかりと捉え、最も効果の高いリスクヘッジを行える準備をしておきましょう。
まとめ
リスクヘッジを行う準備に万全を機しても、必ずしもリスクが現実化するとは限りません。
リスクは現実化しないほうが望ましいため、講じたリスクヘッジが結果的に杞憂だったとしても、周知やフィードバック、評価は積極的に行うべきです。
そうすることにより、組織にリスクヘッジの重要性が浸透し、しっかりと根付いていくことでしょう。
日々の業務を遂行する上で、想定外のトラブルや出来事は常に隣り合わせです。
その際に冷静に対処できるように、日頃からリスクヘッジの考え方を染みつけておくのが理想的です。
まずは、業務を行うチーム間などで、リスクヘッジという言葉の意味やニュアンスをしっかりと擦り合わせて統一し、具体的な指示出し、相手の意図をしっかりと確認する作業から始めるとよいでしょう。
まずは、互いの認識に齟齬が生じないようにすることも、重要なリスク管理の一つです。