経費精算の際に欠かすことができない領収書ですが、様々な業務でデジタル化が進められていく中で、この領収書についてもデータ化して管理しようという動きが活発化しています。
本記事では電子領収書について、概要や利用するメリット、デメリットなどについて解説しますので参考にしてください。
電子領収書とは?
電子領収書とはデジタル領収書とも呼ばれ、PDFなどのデータ化した領収書のことを指します。
紙の領収書をスマートフォンなどのカメラで撮影してデータ化したもの、スキャナーを使って電子化したものも電子領収書として扱うことができます。
従来の経費精算業務では、領収書の数が多くなるほどに紛失リスクが高まったり管理の煩雑化が起きることもありましたが、電子領収書ではペーパーレス化ができるため、管理体制の強化や業務効率化につながります。
多くのベンダーから領収書のデータ化サービスがリリースされており、働き方改革の一環として領収書の電子化から取り組む企業も増えています。
電子領収書を利用するメリット・デメリット
メリット
領収書の管理スペースが削減できる
法人税法によって領収書は7年間の保管を義務付けられています。
そのため、ファイリングなどをしてオフィスの中に保管スペースを確保しておかなければいけませんでした。
電子領収書に移行することで、電子データとしてパソコン内やクラウド上で領収書を保管することができるため、管理スペースを用意する必要がなくなります。
また、紙の領収書では7年もすると劣化や紛失の恐れもあります。電子化した領収書であれば劣化の心配はもちろん、バックアップによって紛失リスクの回避も可能です。
領収書を短時間で探せるようになる
紙の領収書を管理しているときは、大量の領収書の中から必要なものを探すには手間がかかりました。綺麗にファイリングして保管している場合でも、領収書の数が多くなるほどに、やはり検索にかかる時間は増えてしまうでしょう。
電子領収書であれば、システムからファイル名や日付、品目など条件を絞って検索することができるため、すぐに必要な領収書を見つけることができます。
デスクの前から移動することなく必要な領収書を探すことができるため、領収書を探す時間が大幅に短縮されます。
コストカットにつながる
電子領収書は印刷する必要がないため、ペーパーレス化によるコストカットが実現できます。
データをメール添付で送信することが可能なため、郵送にかかっていた費用がカットできる点もメリットです。
印紙が不要になる
紙の領収書は、印紙税がかかる課税文書に含まれるので記載金額が一定額以上になった場合収入印紙を必ず貼らなければいけません。
しかし、紙に記載する必要がない電子領収書では、記載金額に関わらず印紙は不要です。
印紙税の額は1枚につき数百円といったものですので、取り扱う領収書の数が増えるほどにコストカットの恩恵は大きくなります。
デメリット
電子化できない領収書もある
領収書を電子化するには一定の要件を満たしている必要があり、これが満たされていないものについては紙で保管するしかありません。
業務効率化やコストカットを目的として電子化システムを導入したのに、自社で取り扱っている領収書が電子化できないものが多く、紙と電子領収書が混在してしまうと逆に手間が増えてしまう可能性もあるため注意が必要です。
領収書の電子化にあたっては、ルールを設けた上で事前に社内での周知を徹底するようにしましょう。
コストや時間がかかる
領収書の電子化には税務署への申請・承認が必要となります。これは領収書の電子化を開始する3ヶ月前までに行う必要があり、実際に承認が下りてからもこれまでの紙の領収書を電子化していく作業が発生します。
大量の領収書を効率的に電子化するためには専用ソフトの導入、または高性能なスキャナーやパソコンを購入しなくてはいけない場合もあります。
また、社員へ電子化までの流れをレクチャーするには担当者の学習期間が必要な場合もあるため領収書の電子化には初期費用と時間がかかる点がデメリットとなります。
ですが、領収書の数が多くなるほどに結果としてカットできるコストが大きいため、長期的にみれば十分なメリットがあります。
電子領収書の発行・保存方法
電子領収書の発行方法としては、手動でPDFなどのデータ形式のものを作成するか、紙の領収書をスキャナーやカメラで読み取って電子化する、電子領収書発行システムを利用する方法が一般的です。
月の経費精算が少ない場合は手動やカメラを利用しての電子化でも問題ありませんが、見栄えが良い電子領収書を発行したいのであれば、やはり電子領収書発行システムを利用した方が良いでしょう。
システムの利用にはコストがかかりますが、暗号化や電子認証技術が用いられているためセキュリティに優れています。
クラウドで利用できる電子領収書発行システムであれば、発行した電子領収書をクラウド上に保管しておくことができるため、保管スペースもいらなくなります。
紙の領収書が必要な場合でも電子帳票を印刷できるものが多いので安心です。
電子領収書の印紙の扱いについて
印紙税法では領収書の発行にあたっては、一定の要件を満たすものについては印紙を貼り付けることが義務付けられています。
しかし、これはあくまで「文書」において適用されているものなので、電子領収書においては該当しません。
電子領収書を導入するための必要な手続き
税務署へ電子化の申請をする(現在は不要)
以前は、領収書の電子化を行う場合は、電子化を開始する日の3ヶ月前までに税務署へ申請をする必要がありました。
しかし、電子帳簿保存法の改正があったことで2022年1月からは税務署への申請が不要となっています。
ですのでしっかりと業務フローを見直したりツールの比較検討をして準備を万全にしてから領収書の電子化に移行しましょう。
まとめ
電子領収書について概要や活用するメリット・デメリット、発行方法などについて解説しました。
多くの業務で電子化を進め、業務効率化やペーパーレス化が実現されていますが、その中でも領収書の電子化はより身近で始めやすいものと言えるでしょう。
電子帳簿保存法の改正により、税務署への申請も不要となったので導入はさらに容易なものとなっています。