本記事では、RPAについてQ&A方式で解説しております。
RPAについてよくある疑問
A.
RPAとは、ロボティックプロセスオートメーションの略語で、パソコンで行っている事務系の定型作業を自動化できるツールのことです。
パソコン上での定型作業を速くミスなく処理できるので、仮想知的労働者と呼ばれることもあります。
RPAを使えば、これまで手作業で行っていた事務作業を正確に短時間でできるので、人的ミスの削減や事務作業の効率化、生産性の向上が期待できます。
Q.RPA活用のメリットは?
A.
【人件費の削減】
人間の代わりにRPAが作業をしてくれるので、その作業にかかっていた分の人件費を削減することができます。
RPAで自動化できる単純作業は、人間が行うと手作業で行うと時間も手間もかかる場合が多いです。RPAで自動化できるので、人件費などのコスト削減も期待できます。
【作業ミスを防ぐ】
人間が手作業を行う場合は、高確率で作業ミスが起こってしまいます。
単純作業を続けていると、どうしてもミスが発生してしまいます。
しかし、RPAは正確に業務を行うことができるので、ミスを防ぐことができます。
【生産性の向上】
RPAは24時間365日稼働できるので、膨大な量の業務も正確に処理することができます。
RPAが単純作業を行い、人間が付加価値の高いコア業務に集中して取り組むことができるので、生産性向上が期待できます。
Q.業務別のRPAの活用事例は?
A.
【地方自治体のRPA活用事例】
鹿児島県奄美市
ふるさと納税受注業務をRPAで自動化しました。
ふるさと納税の寄附データのダウンロードや寄附者に対するお礼メール送信、ふるさと納税管理システムでお礼品の出荷依頼をRPAで自動化させた結果、年間140時間の業務時間削減につながったようです。
【小売業のRPA活用事例】
株式会社ベニヤでは、オンラインショップの受注管理や在庫管理をRPAで自動化しました。
社内の基幹システムとショッピングモールの管理画面を直接操作し、受注データの取り込みや在庫管理を行い、ルーティン作業を自動化させています。
【病院のRPA活用事例】
信州大学医学部附属病院は主に購買業務における間接業務をRPAで自動化しました。
信州大学医学部附属病院ではこれまで、紙伝票の内容をExcelに入力して発注書を作成した後、財務会計システムに手動入力するというようなデータの転記作業を看護師がおこなっていました。
RPAを導入した結果、1件あたり約7分かかっていた作業を半分の時間でできるようになり、年間1,448時間程の業務削減効果がありました。
Q.RPA導入を成功させるポイントは?
A.
【現行業務の洗い出しや定型業務の選定をすること】
RPAで自動化する業務を選定するため、現行業務の洗い出しが必要です。自動化に適した業務を選定したらRPAで自動化させます。どの業務を自動化させたら業務効率化ができるか考え、計画的に導入することが大切です。
【達成目標の明確化】
RPAを導入して達成する目標を決めることが大切です。達成目標を削減時間とする場合は、各部門の現行業務を調査し、具体的にどんな作業にどれだけの工数がかかっているかを把握した後、削減時間を定め、達成目標を立てたうえで導入するといいでしょう。
Q.RPAとOCRの違いは?
A.
RPA(Robotic Process Automation)とOCR(Optical Character Recognition/Reader、光学文字認識)はどちらも業務を効率化するためのツールとなっています。
しかし効率化として行える内容に違いがあり、それぞれの長所があります。
RPAは簡単な作業の自動化を行い、誰でもできる作業をロボットに任せて人材不足の解消が行えます。
またRPAの導入により人件費の削減に成功した事例もあります。
RPAに任せられる作業は、請求書の作成、発注リスト転記業務、広告レポート作成、勤怠集計・通知、競合の価格調査、受注情報・在庫確認業務、経費精算集約、入金確認業務など幅広く業務をサポートしてくれます。
OCRは画像データの文字を読み取りテキストデータに変換する技術を持っています。
紙ベースで流れてきた請求書やレポートなどをテキストデータとして保存、運用の自動化が行えるため、今まで人が資料を読んで入力していた作業を行ってくれます。
スマートフォンやタブレット端末が普及している現在、カメラ機能を使って文字のテキスト化も行えます。
最近ではOCRにはAI技術を応用したAI-OCRが注目されており、文字認識率の精度が上がり手直しする手間も減ってきています。
またOCRの利用は入力ミスなどの人的ミスを減らすことができ、作業速度が上がるだけでなく品質の向上も狙えるツールとなっています。
RPAもOCRも業務効率化の便利なツールですが行える内容に違いがあるため、自身にあったツールを使用して効率的な業務を行いましょう。
Q.RPAとOCRとの連携でできるようになることとは?
A.
RPAとOCRで行える内容は違いますが、利用の仕方次第で連携して更に効率的な業務を行うことができます。
OCRの画像データをテキストデータに変換する機能とRPAの設定した項目への入力の自動化機能を合わせることで紙ベースの請求書を会計システムに登録する作業などを自動で経理処理を行えるようになります。
人が手作業で行う業務を全てロボットが自動で行えるため、大幅な作業時間の削減が見込めます。
名刺や手書き資料の自動デジタル化にも活用でき、顧客情報の整理、データベース化を自動で行えます。
デジタル化して資料を保存することで必要なときに検索してスムーズに資料の閲覧が可能となります。
Q.RPAとOCRの組み合わせ事例は?
A.
RPAとOCRを組み合わせて運用している活用事例をご紹介します。
まずは経理業務の帳票処理負担の軽減です。
OCRの紙資料をデータ化する機能とRPAの登録作業の自動化により社員の帳票処理の負担を大幅に軽減しました。
月末や年末などに帳票処理のために人員を割き、残業して業務を行うことが多くありますが、RPAとOCRを組み合わせることによって問題が解消されました。
次の事例は手書きの申請書の自動処理です。
不動産会社で毎月大量の管理帳票が発生していましたが、平均で1件90秒かかっていた帳票の処理がRPAとOCRにより半減され、社員の作業時間を大幅に削減することができました。
Q.RPAは経理業務でも活用できる?
A.
RPAは経理業務でも活用可能です。
主に、次のような業務が自動化できます。
・購買業務
・財務業務
・在庫管理業務
・経費精算業務など
これらの業務は定型化しているものが多いため、RPAにあらかじめ作業内容を設定することで作業を自動化できます。
Q.RPAで経理業務を効率化した事例は?
A.
【事例1:大幅な人員削減によりRPAを導入】
会社の組織改善で経理部の人員が大幅に削減になったことがきっかけでRPAを導入し、効果を得た企業があります。
どのようなことかと言うと、今まで人の手で行っていた月次のルーティンワークをRPAに任せることにしたのです。
その結果、削減された人数でも、仕事の質を保ったまま業務ができるようになりました。
ルーティンワークはRPAの得意とするところなので、作業効率化に繋がります。
【事例2:人に頼っていた業務を自動化】
ある企業では、経理業務が属人化していたことにより、次のような問題が発生していました。
・データ量が多く、単純作業に時間を割きすぎている
・作業を属人化していると引き継ぎに手間と時間がかかる
・人が作業するとどうしてもミスが発生するため、ヒューマンエラーをなくしたい
このような理由からRPAツールを導入したところ、作業効率が大幅にアップしました。
RPAを導入して効率が上がったのは次の通りです。
・転記ミスなどのヒューマンエラーがなくなった
・作業が属人化しなくなり、引き継ぎも楽になった
・作業にかかる時間が短縮した
RPAは、初めにどのような作業を任せるのか設定する必要がありますが、設定作業は1度だけで済みます。
設定が終わった後は、RPAは指定されたとおりの作業を確実にこなせるのです。
【事例3:面倒な精算業務をRPAで自動化】
社員が経費を立て替えた際に発生する精算業務もRPAで自動化できます。
例えば、社員が申請した交通費に対してRPAが経路を検索し、正しいものかどうか・規定の範囲内に収まっているかなどのチェックをします。
精算業務を手作業で1件ずつ行う作業は、効率が悪いものです。
精算業務をRPAで自動化することにより、社員が立て替えた経費の支払いもスピーディーに行えるようになります。
Q.経理業務は将来なくなる?
A.
結論から言えば、RPAを導入しても経理業務が完全になくなることはありません。
なぜなら、RPAは単純で定型的な作業は得意ですが、将来を見込んだ費用計算などを考えるのは苦手としているからです。
RPAにより経理業務を担当する人数が減る可能性はあります。
これからの経理担当者は、今まで以上に経営戦略などを見据えた業務が求められるようになるでしょう。
Q.RPAの導入支援とは?
A.
RPAを導入する場合は、業務の棚卸や適用範囲の選定や業務プロセスの見直しを行い、実際にどのようなシステムを導入するのかを定めた上で、運用していかなければなりません。
RPAの導入は事前準備が重要で、決して手軽に導入できるとは言い難いです。
RPA導入支援会社は、このような導入準備をサポートしてくれます。
しかし、RPA導入支援サービスを行っている会社は複数あり、それぞれの会社により特徴やサービス内容も異なります。
そのため、自社に合ったRPA導入支援会社を選ばなければなりません。
Q.RPAの導入支援を上手に活用するポイントは?
A.
RPA導入支援を上手に活用するポイントは、導入する目的や課題を明確にすることです。
RPAの導入にあたり、各企業から発売されているツールを購入し、自社の業務プロセスで利用することを検討している企業が多いかもしれません。
しかしRPAの効果を引き出し、効果的に活用するためには、目的や課題を明確にする必要があります。
RPAツールのライセンスを購入し、すぐに自社で適用できる体制が整っていれば問題はありませんが、目的や課題を明確にして、RPA導入支援サービスを受けることを検討するのが望ましいです。
Q.RPAの導入支援やコンサル選びの注意点は?
A.
RPA導入支援会社を選ぶ際にポイントがあります。
・導入しているRPAツールに対応しているか
・コンサル費用が予算や見込み効果に見合っているか
・導入社や利用者数が多いかどうか
の3つです。
すでに導入しているRPAツールがある場合は、新しく導入するシステムがスムーズに対応するか確認しなければなりません。
また、RPAの導入や運用にあたり、コンサル費用や導入費用、運用保守費用などの費用が発生します。これらの費用が、予算や見込み効果に見合っているか検討する必要があります。
導入社や利用者数が多い会社は、実績が強い会社なので安心して依頼できます。
具体的な導入社数や利用者数はサイト上には公開していないので、会社へ直接問い合わせなければなりません。
Q.導入支援サービス付きのおすすめRPAツールは?
A.
【株式会社FCEプロセス&テクノロジー】
RPAツール「ロボパットDX」を提供しています。
RPAツールを提供するだけではなく、導入支援が手厚いことが特徴です。
担当コンサルタントが3ヶ月間導入支援サポートをしてくれます。
【株式会社インテック】
「UiPath」「WinActor」「Microsoft」の3つのRPAツールを提供しています。
RPAの導入判断を行うため、2〜3業務をトライアルでRPA化します。
トライアル導入で検討してから、本格的にRPAを導入するか決めることができます。
ツール学習支援サービスがあるので、社員にRPAの知識がなくても安心して利用できます。
Q.RPAの導入方法・流れは?
A.
【現在の業務の棚卸】
社内の業務について、業務の概要、担当者、使用しているシステム、工数といった要素を整理して、可視化します。これによって、RPA導入がスムーズになり、業務自体が抱えている課題が判明します。
【RPAを導入する業務の選定】
RPAに適した業務と、適していない業務があります。棚卸により整理された業務の中で、業務フローがパターン化しているような定型業務であるか、毎日もしくは毎週、毎月など、その業務が定期的に発生するか、大量のデータを扱う業務かなど考慮しながら、RPA導入に適した業務か選定しなければなりません。
【導入するRPAツールの選定】
次にRPAツールの選定です。RPAツールには、さまざまな種類があります。ツールを選ぶ際の基準として、自社が抱えている課題や自動化したい業務に適していることが重要です。それ以外にも、価格や、運用のしやすさ、サポート体制の充実度なども考慮して、慎重に選定する必要があります。
Q.RPA導入の注意点と失敗を回避する方法は?
A.
【目標や指標の明確化】
RPA導入の失敗事例には、成果が出ているのかどうかが分からない場合があります。これは、導入段階で、目的や指標を明確にしていなかったことが原因です。RPA導入の目的には、業務効率化、ヒューマンエラー防止、働き方改革の推進などがあります。RPA導入後の効果測定を行うためには、何を目的にしているかを定め、現時点での残業時間やミスの発生率など、その変化が比較できるように指標化し、目標値を設定しておくことが大切です。
【テスト導入】
RPAを初めて導入する場合は、テスト導入をするといいでしょう。まずはひとつの業務に絞って、RPAの動作確認をし、運用ができるかどうかを実際に経験すれば、導入失敗のリスクを最小限に抑えることができます。また、RPAツールの中には、無料トライアル版もあるため、利用するといいでしょう。
Q.RPAツールの種類は?
A.
【デスクトップ型】
サーバーに接続せずパソコンだけで作業を完結できます。
デスクトップ型は、通常のパソコン操作と同じ感覚で利用でき、サーバーやネットワーク環境がなくても作業を進められます。
しかし、担当者のスキルやパソコンのカスタマイズ方法などによって、効果が大きく左右されてしまいます。
RPAツールを入れる作業ごとに端末が必要になり、端末ごとにランセンスを購入する必要があるため、コストも高くなります。
【サーバー型】
パソコンとサーバーを接続して、自動化の作業を行います。
サーバー上で複数のロボットを一括で管理できるので、ロボットの作業が進行中に端末が占有されることなく、別の作業を同時に行うことができます。
ライセンスあたりの価格は、デスクトップ型よりも割高に思われますが、導入規模が拡大するほど運用コストは抑えられます。
しかし、サーバーの準備や、ネットワーク環境の構築が必要になるため、導入ハードルが高くなります。
Q.RPAツールの種類選びに迷った際の比較ポイントは?
A.
RPAツールの種類選びに迷った際は、自動化したい業務や作業規模に対応できるか、プログラミングの知識がなくても操作ができるか、ツールの提供形態などで比較するといいでしょう。
RPAツールで自動化したい作業の種類や規模、専門的な業務に対応できるか、同時に何人が利用できるのかは確認するといいでしょう。
プログラミングの知識がなくてもシナリオを設定できる製品は、操作が比較的簡単なので専門的な知識がなくても簡単に利用できます。
RPAツールの種類には、デスクトップ型とサーバー型があります。
利用用途によって種類を選ぶといいでしょう。
Q.種類別のおすすめRPAツールは?
A.
【Robotic Crowd】
クラウド型のRPAサービスです。
ソフトウェアのインストールにかかる手間や導入コストをかけずに利用できます。
申込後すぐに利用開始することができ、現在使っているブラウザから簡単に操作することができます。
【BizteX cobit】
クラウド型のRPAサービスです。
通常はRPA導入は、利用開始まで時間を要することが多いですが、BizteX cobitは、最短で即日に利用開始できます。
【Automation Anywhere Enterprise】
サーバー型のRPAサービスです。
企業プロセスを管理し改善を行うビジネスプロセス管理と、RPAを組み合わせて作られたRPAツールです。
高度なセキュリティを備えており、アメリカでのRPAツールではシェアNo.1です。
【BizRobo!】
サーバー型のRPAサービスです。
国内400社以上で導入実績があり、高い評価を受けているRPAツールの一つです。
ロボット管理者や作成者向けのトレーニングサービスが用意されているので、RPAツールを初めて導入する企業には安心です。
Q.RPAとAIを組み合わせた活用事例は?
A.
【地方自治体の事例】
ある地方自治体では、紙媒体で管理していた書類データ化する作業をRPAによって自動化したいと思い、AI搭載型のOCRを導入し、検証を行いました。
様々な帳票をAI-OCRによって読み取り、読み取ったデータをRPAが処理する、というフローを構築するため、検証を行なっており、本格的な運用はまだ始まっていませんが、実用化された場合、地方行政におけるペーパーレス化、業務効率化が大きく進むこととなるでしょう。
【金融業界の事例】
ある保険会社での事例です。
顧客からの問い合わせが増加し、オペレーターだけでは対応が難しくなったことからAI搭載型のチャットボットとRPAを導入することとなりました。
まずはAI搭載型のチャットボットが顧客からの1次対応をし、課題解消に必要な情報を聞き出します。その後RPAが聞き出した情報をシステムに登録して処理を行うことで、問い合わせから対応完了までを自動化することが可能となりました。
人材不足の状況でも顧客対応の質を落とすことなく、業務効率化を実現し、コストの削減にもつながっています。
Q.RPA導入で失敗しないためのポイントは?
A.
【マニュアルの作成】
RPAの導入にあたっては、マニュアルを作成すると良いでしょう。
運用を一人の担当者に任せていると、担当者不在の時や急な退職時に運用方法がわからず、1から運用しなければいけないことになる場合もあります。
人であれば、なんとなくでわかっていた部分が、ロボットには伝わらないため、例外的な部分まで詳細にマニュアルを作成しておくことで、属人化を防ぐことができます。
RPAに関する知識をつけておくことで、万が一のトラブルにも柔軟に対応できるため、ベンダー側が提供しているセミナーに参加するのも有効です。
【トラブル時の対策を決めておく】
万全の運用体制を整備していても、トラブルは起きるものです。
例えば、長期的なシステム障害によってRPAを稼働させることが難しくなった場合に、すぐ人による作業へ戻すことができるような体制を事前に構築しておけば、業務が止まってしまう時間を最小限にすることができます。
そのためにも、普段からRPA人材の育成に力を入れておくことが重要です。
企業によっては、RPAの導入にあたって専任のチームを編成するケースも多く、時間をかけてRPA導入までのプロセスを計画しています。
Q.RPAとは?