目次
マーケティングで使われる「ペルソナ」の意味を正しく理解できていますか?
曖昧にしか理解していない方やペルソナとターゲットとを混同している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事で、ペルソナの意味、設定方法、注意すべき点などをご紹介していきます。
ペルソナとは?言葉の意味・定義を解説
最初に、ペルソナの意味、定義について解説していきます。
ペルソナの本来の意味は仮面?
ペルソナ(Persona)は、古典劇で役者が使う「仮面」や「役柄」などを意味する言葉です。
スイスの心理学者であるカール・グスタフ・ユング氏(Carl Gustav Jung)が、このペルソナを「自己の外的側面」としたことから、心理学の概念と捉えられるようになりました。
マーケティング用語としてのペルソナとは
ペルソナは、マーケティングの分野でも頻繁に用いられている言葉です。
マーケティング用語としては、製品やサービスの対象となる「架空のユーザー像」、「典型的な顧客像」などの意味で使われています。
たとえば、「30歳女性、既婚、大阪在住、子供1人、猫と犬を飼っている、仕事と子育ての両立で忙しい」などといったように詳細な定義を行って行くのがペルソナの特徴です。
ペルソナとターゲットはどう違うのか?
ペルソナと似たような言葉としては、ターゲット (Target) があります。
ターゲットは、「標的」や「対象」を意味する言葉です。
このターゲットは、「30歳女性、独身、神奈川県在住」と実在する人物や集団に対して用いられることがほとんどです。
ペルソナのように詳細な定義も行いません。
ターゲットは「大まかな分類」、ペルソナは「より詳細に人物や集団像を作り上げていく」と捉えると、両者の違いが理解しやすくなることでしょう。
マーケティングにおけるペルソナ設定の重要性
次に、マーケティング分野においてのペルソナ設定の重要性について見ていきましょう。
ユーザーの視点に立つことができる
ペルソナを設定しておくことで、ユーザー側の視点で捉えられるようになります。
企画の際には、企業側の立場を優先しがちです。
最初の段階で詳細なペルソナを設定しておけば、ユーザー側の立場を意識しやすくなり、本当に求めているものを提供するためのアイディアも生まれやすくなります。
ペルソナは、ユーザー側と企業側とのズレを防ぐために、とても重要なのです。
担当者同士の認識のズレを防ぐ
担当者同士での認識のズレを防ぐという意味でも、ペルソナは非常に大事なものです。
仮にペルソナ設定を行わなかったら、各社員によってイメージするターゲットがバラバラとなり、企画を進めるのが難しくなってしまうことでしょう。
社員同士で共通の認識を持つためにも、ペルソナ設定は欠かせません。
ペルソナの設定方法と流れ
ペルソナ設定のやり方は、以下の通りです。
①情報収集
最初にやることは、ペルソナにしたい人物に関する情報収集です。
具体的なデータが揃っていないと、詳細なペルソナを作り上げるのが難しくなってしまいます。
顧客アンケートや営業担当者へのインタビューを参考にすることやインターネットやSNSなどで口コミ情報を集めるなどして、できる限り多くのデータを用意しておきましょう。
②集めたデータの整理と絞り込み
データを集めたら、整理を行ったうえで、必要な情報のみを絞り出していきます。
③データを参考にペルソナ設定
データを絞り込んだら、その情報を参考にしながら、ペルソナ設定を行います。
ペルソナ設定で必要となる主な項目は、以下の通りです。
- 年齢
- 性別
- 配偶者や子供の有無
- 独身者か既婚者なのか
- 職業
- 住んでいるエリア
- 趣味
- 特技
- 学歴
企画内容に合わせて、よく聴く音楽、飼っているペット、休日の過ごし方、悩み事などの項目も設定していきます。
ペルソナを設定するメリットと事例を紹介
ペルソナを設定しておくことで、さまざまなメリットが得られます。
ユーザーファーストを意識できる
ペルソナ設定のメリットは、ユーザーファーストを意識しやすくなることです。
具体的な人物像が用意されていることで、ユーザーの好みや求めているものが見えやすくなり、売れやすい商品やサービス開発が可能となります。
仕事の進行がスピードアップする
ペルソナには、仕事の進行がスピードアップするという利点もあります。
詳細なペルソナ設定を行っておくことで、担当者の間で統一の認識が生まれやすくなります。
その結果、コミュニケーションがスムーズになり、ゴールへたどり着くまでの時間も早くなるのです。
無駄な労力やコストを削減できる
ペルソナ設定を行うことで、本当に必要なものが見えやすくなります。
不要なものを取り除いていけば、無駄な労力、コスト削減にもつながっていきます。
ペルソナ設定の事例
ペルソナは大手企業も積極的に活用しています。
有名な成功事例として、Soup Stock Tokyoのケースについて見ていきましょう。
Soup Stock Tokyoでは、「秋野つゆ」という架空の人物を作成しました。
37歳女性、都内在住、都心キャリアウーマン、社交的で個性的などといったように細かい設定をしていったのです。
この「秋野つゆ」が満足するようなお店づくりをしていったことで、Soup Stock Tokyoは、10年間で40億円以上の売り上げを達成する大成功を収めました。
ペルソナ設定時の注意点について
最後に、ペルソナ設定時の注意点について解説いたします。
理想像にしないこと
ペルソナを作る際には、理想像にするやめておきましょう。
なぜなら、理想像を設定してしまうと、実際のユーザー像とはかけ離れてしまうからです。
自社にとって都合が良い理想像ではなくて、実際にいそうな人物に仕上げることがポイントです。
理想像になるのを避けるためには、さまざまなデータを参考にしてみると良いでしょう。
ペルソナを作りすぎないこと
1つのプロジェクトに対して、複数のペルソナ設定を行っても問題はありません。
ただ、あまりたくさんペルソナを作りすぎてしまうと、定義が曖昧になってしまうことや担当者が覚えきれないなどの問題点も出てきますので、注意が必要です。
うまくいかないときにはペルソナの見直しも必要
もしも、プロジェクトがうまくいかないときには、ペルソナの再設定が必要です。
ずっと同じペルソナ設定のままにしておくと、ユーザーへアプローチできなくなり、良い成果が得られなくなってしまうおそれがあります。
成果が出ないのに、そのまま同じペルソナを使い続けていると、時間も無駄になってしまいます。
一度ペルソナを作り上げたら、それで終わりにするのではなく、必要に応じて見直しを行うようにしてください。
注意点を意識して効果的なペルソナ設定をしよう
以上、ペルソナのペルソナの意味、設定方法、注意点について解説しました。
ペルソナを設定しておくことで、ユーザーファーストを意識できる、仕事が早くなる、無駄な労力やコストが削減など、さまざまなメリットが得られます。
ただし、ペルソナは、時間がやコストかかりやすくなることや設定を間違えると成果が出にくくなるなどのデメリットもあります。
そのため、定期的な見直しも行ったほうが良いでしょう。
本記事で紹介した設定方法、成功事例、注意点なども参考にしながら、自社の商品やサービスにマッチしたペルソナを作り上げてみてください。