2016年の税制改正によって、いわゆるインボイス制度の導入が正式に決定されました。これにより大きな影響を受けるのはこれまで消費税の納税を免除されていた免税事業者です。また、インボイス制度では様式の変更ばかりがクローズアップされがちですが、消費税の計算方法にも変更があります。
インボイス制度はいつから始まる?
インボイス制度とは適格請求書等保存方式のことで、2023年10月1日にスタートします。これにより仕入税額控除を受けるため、記載項目に沿った形でインボイス(適格請求書)を運用する必要があります。
また、2019年10月1日~2023年9月30日までは現行の区分記載請求書等保存方式により新たに定められた軽減税率が適用されますが、インボイス制度のスタート以降は適格請求書等保存方式の適用に対応しなければなりません。
一方、インボイス制度に対応した適格請求書発行事業者の登録には一定期間を要することから、制度のスタートとともにインボイスの発行を検討するのであれば、事前の登録申請が必要です。
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インボイス制度の影響を受ける免税事業者とは?
インボイス制度の導入によって最も影響を受けると考えられるのは、課税売上高が1,000万円に満たない事業者である免税事業者です。該当するのは主に個人事業主や小規模事業者で、免税事業者の場合にはインボイスが発行できません。このため従来は売上高が1,000万円に満たない限り消費税の納税義務が免除されていましたが、インボイス制度の導入以降は課税売上の消費税額から課税仕入れの消費税額を差し引くことができる仕入税額控除が受けられなくなってしまいます。また、インボイスの発行ができる課税事業者が取引先の場合、売り上げから消費税相当の金額を値引きするように要求されるといったことも懸念されます。
ただしインボイス制度導入を機に免税事業者は課税事業者に転換することも可能です。この場合、インボイスの発行が可能になるため、事業への影響は限定的となります。しかしながら、課税事業者は消費税の納税義務が発生するため、免税事業者のような免税のメリットは受けられなくなってしまいます。また、免税事業者であれば不要だった消費税の計算や申告などもおこなわなければなりません。
そこで、インボイス制度の導入後も免税事業者である場合と、課税事業者に転換した場合、双方の利点は以下のような点が考えられます。
免税事業者のままの場合
- 従来通り消費税を納税する必要はありません。
- インボイス制度が導入後も6年間は経過措置期間により、当初3年間は8割、以降は3年は5割の仕入税額控除が認められます。
課税事業者に転換した場合
- 免税事業者のままの場合より、インボイス制度の導入による影響が軽減できます。
- 2022年12月に閣議決定された税制大綱により、優遇措置が盛り込まれ対象となる課税事業者には補助金の上乗せや納税額の減額がおこなわれます。
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インボイス制度で変わる消費税の計算方法
インボイス制度では消費税の計算方法も従来と異なる点があります。それは任意で選択が可能となる点です。またその方法には「割戻し計算」と「積上げ計算」の2種類があります。
割戻し計算
1取引ごとの消費税額計算も選択式税を積上げて計算する方法です。仕訳入力で計上した消費税をの合計をもとに消費税の申告税額を算出します。
積上げ計算
取引の総額を割戻して計算する方法です。年間の税込総額から一括して税抜金額を割り戻し消費税の申告税額を算出します。
計算方法の組み合わせについて
インボイス制度の導入によって税額計算が選択式になるとはいえ、課税売上の消費税額と課税仕入れの消費税額、それぞれの計算をする場合、自由にこれを組み合わせることができるわけではありません。条件として、課税売上を積上げ計算とした場合には、課税仕入れも積上げ計算としなければなりません。また、課税仕入れを割戻し計算とした場合、課税売上も割戻し計算とする必要があります。
消費税を「払わない」「計算しない」は可能?
ここまでのようにインボイス制度の導入で免税事業者であることは、大きな影響を受ける可能性があります。ただし免税事業者のままの場合、課税事業者に転換した場合いずれであっても、著しく不利益を被ることがあってはなりません。このため一部取引は法律で規制が設けられています。
たとえば、取引完了後、受注者が請求段階で課税事業者ではないことが判明したとしても、免税事業者であることを理由に発注者が消費税相当額の全部あるいは一部を支払わないことは下請け法違反となります。
また、発注者が取引関係のある下請け業者に対し課税事業者に転換することを求めた場合、課税事業者に転換したにもかかわらず、価格交渉に応じずに単価を据え置くことも下請け法違反となる恐れがあります。
まとめ
インボイス制度のスタートによって、免税事業者は少なからず影響を受けることは間違いありません。また、課税事業者に転換したとしても消費税の計算方法の変更など経理業務の煩雑化も考慮しておく必要があります。そこで、インボイス制度の導入にあたっては、その開始前に十分な検討と準備を怠らないことが大切です。